来たるユディシュティラ
あの日から――
私がこの地に足を踏み入れてから、すでに五年の歳月が流れた。
その日以来、彼らは私に名と称号を与えた。
ダルマスータ・スリャガチ(陽来復)――“太陽の帰還”。
彼らにとって、私は「百のうちの一人」。
生まれながらにして異常なほどのプラナを宿した者。
そして確かに、私の身体はその流れを本能のように理解していた。
術の基礎、プラナの制御、呼吸と動作の均衡――
それらは私にとって新しい学びではなく、
むしろ遠い記憶を呼び戻すかのようだった。
だが、道は決して容易ではなかった。
一息の中にどれほどのプラナを巡らせ、
いつ解き放つか――
その一点を極めるために、肉体も魂も削られていった。
師たちは時に驚きの眼差しを向け、
時に、恐れと警戒を混ぜた沈黙で私を見つめた。
幾年もの修行の果てに、私は「身軽の術」を体得した。
しなやかな竹の上を揺らさずに歩き、
枝から枝へと舞い、風そのものと一体になる。
私の日々は苛烈そのものだった。
一日十六時間を超える鍛錬。
睡眠は体を維持するためのわずかな休息。
食事は倒れぬための手段でしかない。
この世界に、私の関心はひとつだけ――
己を鍛え、極め、そして“無”に至ること。
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しかし、その静寂の日々はある夕暮れに破られた。
その日、ソウケツ寺全体を悲嘆が包み込んだ。
報せが届いたのだ。
――ユディシュティラ、パンダワの指導者が死んだ。
彼はシンケツとの任務中に命を落とした。
四人の仲間と、無数の人々を救うために。
⸻
山風が旗を揺らす。
夕陽が石畳の庭を赤銅色に染め、
無数の白い旗が、古代の祈りの文字をはためかせていた。
数百の修行者が整列し、
沈黙の中、私たちはその人を待っていた。
やがて、重くも確かな足音が響く。
白衣を纏った一人の男が、門の奥から現れた。
――パンドゥ。
ソウケツの最高指導者。
バタラ・グルの直弟子であり、
人の姿をした神の意思だと噂される存在。
彼は石段の上に立ち、私たちを見渡した。
その瞳は静かに、しかし圧倒的な力を宿していた。
「お前たちもすでに聞いているだろう。
ユディシュティラ――アリヤは使命の果てに命を落とした。」
彼の声は低く、揺れながらも確固としていた。
「仲間たちを、そして多くの命を救うために……
彼はその身を捧げたのだ。」
広間の空気が凍る。
誰一人として声を発せず、
パンドゥの眼差しには深い悲しみと、それを押し殺す強さがあった。
「だが、悲しみに沈む時ではない。」
「ソウケツは止まらぬ。パンダワには次の導き手が必要だ。」
静かな息を吐き、彼は言葉を続けた。
「今ここに、バタラ・グルの御心により、五つの名を告げる。
力、知恵、そして心の清らかさ――
その三つを最も均衡させた者たちである。」
広場を覆う沈黙。
風が止まり、誰も瞬きをしなかった。
パンドゥは深く息を吸い、
そして、一人ずつ名を呼んだ。
「第一――ソウダルタ。」
「第二――アマルタ。」
「第三――カタルタ。」
「第四――ウィダルタ。」
一瞬、時間が止まったようだった。
そして彼の視線が、
列の最後に立つ――私へと向いた。
沈黙が伸び、声が静かに零れた。
「そして第五……
ジューダ・イスタマ。」
――私の名。
耳を疑った。
だが、周囲の視線がそれを否定する。
誰もが私を見ていた。
さざめきが広がる。
驚き、戸惑い、ある者は憤りを、
ある者は不安を宿した瞳で。
私は十八歳。
候補者の中で最も若く、
修行の年月も浅い。
それでも、私の名は呼ばれたのだ。
他の誰よりも前に進むために。
パンドゥは再び口を開き、
声に揺るぎない力を込めて言い放った。
「今告げた五名には、“五戒の試練”が課される。
その中から――
次代のユディシュティラが現れるであろう。」
その瞬間、すべての音が遠のいた。
風も、旗も、呼吸の音さえも消え、
私の心臓だけが静かに打ち続けていた。
――栄光か、あるいは破滅か。
この名が呼ばれた瞬間から、
私の運命はそのどちらかへと歩み始めたのだ。
「五人の候補を選んだ。
その中から――新たなるユディシュティラが生まれるだろう。」




