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バタラカッラ 最後の血統  作者: カンボロ


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我、汝の仮面を纏い、名と誉れを背負いて、戦わん。

アビマニュは静かに手を掲げた。

その掌を上下にゆっくりと振る。

まるで――「落ち着け…落ち着け…」と告げるかのように。


オイビソノは眉をひそめた。

だが、目の前の男に敵意がないことは直感で分かった。


次に、アビマニュは自らを指差す。

唇を動かすが、声は出ない。

代わりに、簡単な手振りで伝えた。


――「俺は…話せない。」


オイビソノの表情が変わる。

その仕草に宿る誠実さが、彼の心に直接響いた。


そしてアビマニュは手を差し伸べた。

握手を求めるように。


オイビソノは一瞬ためらう。

だが、その瞳は揺るぎなく、千の言葉を超える力を放っていた。


ついに、オイビソノはその手を取る。


――ブワァァァンッ!!


閃光が弾け、魂が肉体を離れた。

時空を越え、二つの存在は疾走する。


意識が戻った時、オイビソノは見知らぬ場所に立っていた。

そこは静寂に包まれた森。

風が枝を揺らし、どこか懐かしい匂いが漂う。


「ここは……どこだ?」

オイビソノの声は低く、だが緊張を帯びていた。


その問いに答えるように、アビマニュの声が脳裏に響く。

今度は鮮明に、直接心へ届く。


「ここは、我が師の次元……バタラ・ワリの領域だ。」


アビマニュの眼差しは鋭く、しかし奥に悲哀を宿していた。

「俺の肉体は、子供の頃に声を失った。

だが……魂の次元では語れる。」


彼は一歩踏み出し、オイビソノを真っ直ぐに見据える。


「そうだ……お前と同じ。

俺もまた――ダルマスータだ。」

「俺は声を失った……両親を失ったあの日にな。」

アビマニュの声が空気を震わせ、二人の間に波のような記憶を呼び覚ます。


「あの日から、俺は死んだも同然だった。歩む道はなく、日々は空白の頁のように虚しかった。

だが、ある日――世界が完全に闇に沈んだ時、一人の浮浪児が俺を見つけた。汚れた手、無邪気な笑み、そして年齢に似つかわしくない大きな決意を持って。」


アビマニュの瞳が遠くを見つめ、過去の影が揺れる。

「さらにもう一人を加え、俺たちは三人で生きた。兄弟のように。

食べ物を分け合い、笑い、泣き……そして、本来なら子供が背負うべきではない夢までも分かち合った。」


彼は一瞬言葉を止め、深く息を吸い、再び語り始める。声は重く、しかし確固たる響きを帯びていた。

「あの子はいつも言っていた。平和を、と。

この国から暴力団を消し去り、根絶やしにすると。

大人たちが恐れて足を止める中、幼いその子はすでに考えていた。中に潜り込み、内側から壊す方法を。

その夢は子供の空想ではなく、誓いだった。

そして結局、運命は彼を奪ったが……誓いそのものは消えはしなかった。」


アビマニュは顔を上げ、真っ直ぐ前を見据えた。まるで天に杭を打ち込むかのように。

「だから私はここにいる。あの夢を継ぐために来たのだ。

たとえ自由を失うことになっても――私はお前の仮面を被り、名を背負い、誉れを担って戦う。

私はさらに深く暴力団の闇に潜り込み、その内部からそれを打ち砕く。

それが私がここに来た理由だ。」


言葉が終わっても、その決意はなお空気を震わせていた。


オイビソノは静かに耳を傾け、やがて薄く笑みを浮かべる。

「中にいるのは並の敵ではない。お前の道は茨だ。」


アビマニュはその視線を受け止め、微笑んだ。確固たる笑みを。


オイビソノは立ち上がり、足をずらし、低く腰を落とす。独特の構えが形を成す。

「ならば……ここで俺を倒せ。そうすれば、俺はすべてをお前に託そう。迷いも、後悔もなく。」


アビマニュは一歩踏み出す。表情は静かに、声は力強く。

「そのために……俺たちはここにいる。」


二人の視線が交わり、鋭く絡み合う

その時こそ――バタラ・ワリの次元にて、二人のダルマスータ、相対す。

友にあらず、敵にあらず、ただ己が力、己が魂を試す者として――。


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