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バタラカッラ 最後の血統  作者: カンボロ


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岩山秘術

「こちらへ来なさい、坊や。」

少し離れた場所に立つアビマニュに向かって、バタラは手招きをした。

アビマニュが近づくと、バタラは顎を上げ、大きな岩を真剣な眼差しで見つめた。


「この岩を見ろ。硬く、強く、揺るぎないものに見えるだろう。

だがな……岩よりも硬いものがある。」


アビマニュは無表情のまま彼を見つめる。

するとバタラは自信に満ちた笑みを浮かべ、自分の胸を親指で指した。


「それは――私だ!」


そう言って彼は豪快に笑ったが、次の瞬間、瞳に厳かな光を宿した。

「よく聞け、坊や。これから見せるものは誇示のためではない。

ただの見せ物でもない。お前の人生に刻まれる最初の教えだ。」


バタラは足元に転がる小石を拾い上げ、掌に握りしめた。

目を閉じ、まるで石に語りかけるように静かに息を整える。

そして腰を深く落とし、まるで彫像のように微動だにせず、全身から圧倒的な気迫を放ち始めた。


長く息を吸い込み、そして吐き出す。


次の瞬間――


右の拳を振り下ろし、眼前の大岩を打ち砕いた。


轟音と共に岩は粉々に砕け散り、破片が四方に飛び散る。

バタラの声が森全体に響き渡った。


「――アジアン・ワトゥグヌン(岩山秘術)!!!」


岩が裂ける音が森を震わせ、静寂の朝を吹き飛ばす。

鳥たちは驚き、群れをなして空へ舞い上がった。


アビマニュは呆然と立ち尽くし、目を見開いた。

これまでの人生で見たどんな光景よりも、想像を超えた力だった。


(これが……アレックスが言っていた“力”なのか?

世界の闇を打ち砕く力……エンジェルを救うことができる力……?)

アビマニュの胸に、そんな声が響いた。


「私はこれを“アジアン・ワトゥグヌン”と呼んでいる。」

バタラはちらりとアビマニュを見て告げた。

「この名をよく覚えておけ。いつか――お前もこれを成し遂げられる日が来るかもしれない。」


そう言うと、彼は掌の小石を投げ捨て、手を払って埃を落とす仕草をした。

振り返り、アビマニュに大きな笑顔を向ける。


「さて……どうだ? 驚いただろう! ははは!」


だがその笑いはすぐに止み、代わりに静かな威厳が声に宿る。


「よく覚えておけ、坊や。今お前が見たのは、何百年にもわたる修練の果ての力だ。

決して一朝一夕に得られるものではない。もしこれを学びたいなら……果てしなく険しい道を歩む覚悟を持て。

その道は、幾度となくお前を挫けさせるだろう。本当に価値があるのか、自分自身に問いかける日が来る。」


彼はアビマニュの肩に手を置き、静かに言った。

「いつお前が準備できるか……それは私が決めることではない。

自然が、世界が、お前に告げるのだ。

だが一度この道に足を踏み入れたなら――もはや後戻りはできぬ。」


バタラ・ワリは胸を張り、砕け散った岩の前に立ち尽くした。

大岩は鋭い断面を残し、粉塵はまだ空気に漂っていた。

アビマニュはただ見つめ、全身を震わせながら、その圧倒的な力の意味を心に刻もうとしていた。


バタラはアビマニュに向かって問いかけた。

「どう思う、坊や?」


アビマニュはバタラ・ワリの目を見つめた。

その瞳には迷いが浮かんでいたが――やがて確信がその迷いを押しのけていった。


彼は両手を動かし、力強く意思を示した。


――私は学べることをすべて学びたい。この宿命を受け入れ、どんな困難にも立ち向かう覚悟がある。たとえ死ぬことになっても。

成功できるかどうかは分からない。だが、もし成し遂げられたなら……必ず妹を救い出す。会えるまで探し続ける。守ってみせる。彼女だけでなく、助けを求めるすべての人を。そして――闇の組織を根絶してみせる!


バタラ・ワリはその手の動きを一つひとつ、じっと見つめた。

やがて、にかっと大きな笑みを浮かべる。


「よく言ったな、坊や。その強く、まっすぐな決意……実に良い。」

「子供らしい未熟さもあるが、それも成長の証だ。お前は良い子だ。」


そして彼は力強く頷き、声を張った。

「よし! 私が鍛えてやろう。もっと強くなれるようにな!」


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