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バタラカッラ 最後の血統  作者: カンボロ


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遠祖

アビマニュは立ち尽くし、長い旅の後で息を切らしていた。彼は混乱と信じられない思いを抱えながら、その建物を見つめた。


「ここは…一体何の場所だ?」

彼は心の中で静かに、しかし疑問に満ちた声でつぶやいた。


近づこうとした瞬間、羽ばたく音が静寂を破った。導きの鳥がもう一度翼を広げ、高く舞い上がり、雲の向こうに消えていく。その背に残されたのは、まだ理解できない運命の入り口に立つ自分自身だけだった。


突然、建物の中から一人の老人が歩み出てきた。


長く垂れた髪、鍛え上げられた体、そして周囲の景色に溶け込むようなボロボロのローブ。顔立ちははっきりとしており、若かりし日の勇壮さが刻まれていた。瞳は物悲しげでありながら鋭く、直接アビマニュを見据える。


「ふふ…七重の結界を越えし者よ、よくぞここまで来たな。」

その声は寺院の境内を幽かに震わせ、森を越えて広がる。楽しげな響きと、底知れぬ深さを兼ね備えており、静かな風が嵐を内に秘めるようだった。


アビマニュは動かず立ち尽くした。体はまるで時を超えた石像のように硬直していた。


「誰一人として、私の許可なしにこの門を越えた者はないと思っていた…だが、お前は違ったか。」

老人の目はさらに鋭くなるが、すぐに口元に微かな笑みが浮かんだ。「神々は、驚きという贈り物を好むものだな。」


アビマニュは何も答えず、慎重に見つめ続けた。しかしその瞳の奥には、深い好奇心と癒えぬ傷が潜んでいた。

(あの物乞いが約束したのは…この人なのだろうか? 私を導く存在…?)心の中で思う。


老人は一歩近づき、じっとアビマニュを見つめた。「で、名を聞かせてくれ、坊や。」

その声には柔らかさと神秘が混ざり、まるで時を超えた知恵の響きのようだった。


アビマニュは頭の中で渦巻く空虚感を飲み込む。まだこの老人が誰で、何を意味するのか完全には理解していない。しかしゆっくりと手を挙げ、指で名前を示す。「すみません、話せません…私の名前は、ア・ビ・マ・ニ・ュです。」


老人は一瞬、動きを止めた。その名前が意識に衝撃を与えたのだ。笑みは一瞬で消え、驚きと困惑の表情に変わる。アビマニュを見つめ、ただの好奇心だけでなく、長く忘れ去られていた記憶が突如として蘇ったかのようだった。


「さあ、中へお入り……」

男は静かにアビマニュを迎え入れた。


「きっと頭の中に数えきれぬほどの疑問があるだろう。……私も同じだ。」

「だがその前に――休むがいい。」

「私は少し出て、食事を用意してこよう。……知っているか? 客を迎えるのは、本当に久しぶりなのだよ。ははは……」


その笑い声は、長き沈黙を破るように響いた。

まるで忘れられていた感情が、ふいに蘇ったかのように。


永遠を背負わされた男の孤独――そこへ現れたのは、一人の口を閉ざした少年。

その存在は均衡を揺るがし、退屈という名の牢獄を打ち砕いた。


神々は一体、この不死なる人間に、何を望んでいるのか……?


-----


昼食のひととき、窓の隙間からそよ風が吹き込み、涼やかな空気を運んできた。


友か? 子か? 孫か? それともただの他人か?

幾百年もの孤独を過ごしてきたこの老いた男は、今ようやく――人間であることの温もりを、わずかに思い出すことができた。


男は静かに、その胸に湧き上がる感情を受け入れていた。


「口のきけぬ子よ…アビマニュ。」

低く、静かな声でつぶやく。まるでこの名前が再びこの世に現れるべきでないもののように。手を顎に当て、白く細いひげを撫でながら、現実であることを自分に確認しているかのようだった。


しばし二人の間に沈黙が流れる。風は止み、老人は長く息をついた。その視線はより深く、重くなり、目の前の少年の魂を見透かすかのようだった。


「ここで何を求めているのだ、坊や?」

ついに口を開く。声には威厳と慎重さ、そして神秘的な重みが漂う。「神々が、お前をここに送った理由は必ずある。」


アビマニュは深く見つめ返す。答えは口に出さない。しかしその瞳は千の言葉より雄弁に、失われたもの、悲しみ、そして耐えきれぬ苦しみを物語っていた。すべてを失ったかのように感じる者の痛みを。


老人は静かにうなずく。理解しているかのように見えた。


「ふむ…お前は世界に壊された子か…?」

低くつぶやく。「目を見れば分かる。」 一瞬間を置き、さらに低く、ささやくように続ける。「それでも…なぜ神々は、お前をこの場所へ導いたのだろう…」


アビマニュはゆっくりと手を動かした。

「弟が…危険にさらされている…すぐに助けなければ…夢の中で、物乞いに出会い、その影を見て、大きな鳥が僕をここへ導いたんだ…助けてくれませんか?」


男はアビマニュを鋭い目で見つめ、その魂の奥深くまで見透かすようだった。

そして、ゆっくりと手をアビマニュの肩に置き、目を閉じた。一瞬の間、二人の間に流れる運命の震えを感じ取るかのように。


目を開けると、かすかな微笑がその顔に浮かんだ。

「運命が、君をここへ導いたのだ」と、重くも落ち着いた声で語った。「これからの日々は試練と重荷に満ちるだろう…君の弟については、運命に干渉できない。

しかし、もし君が強くなりたいのなら…多くの人々を助けられる力を手に入れたいのなら…私が力を貸してやろう。私は君が誰であるか、少しだけ感じ取った、坊や…

君の中には大きな力が宿っている…それはバタラの子孫にのみ与えられるものだ…

そしてどうやら、君は私の血を引く者のようだ。


アビマニュは驚きに包まれた。男の言葉は、まるで思考を無理やり押し込むかのように彼の心に届いた。まだ完全に意味を理解できていない。


震える手で、彼は問いかけた。

「あ…あなたは、一体誰ですか?」


男はかすかに笑みを浮かべ、重くも落ち着いた声で答えた。

「私か…誰だろうな?ははは…ただの、なかなか死なない年寄りさ。」


彼は一瞬息をつき、より真剣な口調で語り始めた。

「私はバタラの一人、宇宙に選ばれし七人の人間のうちの一人だ。名は…バタラ・ワリ。私たちはアシュラを打ち倒すために選ばれた…呪われし天使を。

そして君、アビマニュ…君はダルマスータ…ダルマの子、バタラの血を引く者だ。」


アビマニュはただ黙っていた。呼吸を整え、男の口から出る一言一言を待った。それはまるで、世界の秘密を解き明かす鍵のようだった。


「昔のことだ」と男は懐かしむように語り始めた。「私たちバタラが聖なる使命を果たしたとき、宇宙の使者は現れなかった。命を伝える者、スワン・ヒャン・ウィセサは、二度と姿を見せなかった。


私たちはどうすべきか分からず、結局、平凡な人間としての生活を送ることにした。

世俗の中で静かに暮らし…結婚し、子を成す日々を過ごしたのだ。


しかし、私たちの子孫たちは次々と命を落とし、深い悲しみを残した…

そしてついに、私たちは世俗の欲望から離れ、静寂と安らぎの中に身を置き、この移ろいゆく世界で残された魂を守る道を選んだのだ。」



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