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記憶の齟齬

作者: 桐原まどか



突然ですが、皆さんには誰かとの間に記憶の齟齬そごはありますか?

私はあります。

母との間に。

我が家は私が幼い頃に父が亡くなり、母子家庭です。

で、母は母なりに色々してくれた。

例えば、ホットケーキミックスを使って、熱々のドーナツを作ってくれた事。

プリンの素を買ってきて、丼サイズのプリンを作って、食べさせてくれた事。

風邪を引いて、熱を出した時、つまらないだろう、と古本屋さんから漫画を買って来てくれた事。

他にも思い出は色々ありますが、その中で、不可解な物があります。

それは…〈母はよく、ボンゴレスパゲッティを作ってくれた〉です。

あさりを買って来て、砂出しします。市販のスパゲッティを茹でます。

市販のボンゴレの素にあさりを入れ、麺を入れ、炒めます。

はい、ボンゴレ、出来上がり。

私には、このボンゴレスパゲッティを何回か食べた思い出があります。

ところが。

何かの折に、その事を話したら。

母は「知らない」と言うではないですか!

「いやいや、母さん、作ってくれたじゃん!」私は言いました。

ドーナツ、プリン、漫画などは合致するんです。ところが。

こと、ボンゴレスパゲッティの話になると、「私は知らないぞ?」になります。おかしい…。

では、私のこの記憶は…?

つい先程、民放のとあるバラエティー番組を観ていました。

とある芸能人夫婦が、手紙一通のみで、互いの思い出の場所に辿り着けるか?というものです。

二人は無事会えたのですが…旦那さんの方が「ここには来てないはず」

と仰っていたのです。それを聞いて、久々に蘇ったボンゴレスパゲッティ。

私は母に話しかけました。

やはり、ドーナツ、プリン、漫画は一致しました。

しかし、ボンゴレスパゲッティだけが合わない。

母が日々の忙しさに紛れて、忘却の彼方に追いやってしまったのか?

私の記憶がおかしいのか?

…謎です。本当に謎です。

母が私をからかっている、などの線もないと思われます。

そんな事しても、何も得られませんもの。

…おかしいなぁ、私の記憶にはスープに浮かんだ輪切りの唐辛子に、スプーンとフォークでクルクルした事まで残ってるのに。

追及しても解決しそうにないので、寝かせようと思います。

しかし、不思議だなぁ…。

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