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俺のチャネリングドア  作者: 一汁一菜
1/4

1.不思議な体験

ふっと何気におもいついたお話です。


わかつきひかる さんのYutubeの小説道場の動画を見ていて、再び、小説を書こうと思いはじめました。


よろしくお願いいたします。


 今朝、オレは不思議な夢を見た。


 ふいに誰かになっていたんだ。

 いや、誰かの頭の中に居たという方が正しいだろうか。

 とにかく、不思議なことが俺の身に起きたのだ。

 まずは、オレの話を聞いてくれ。


 それは、ぼやーっとした意識の中から始まったんだ。そして、ふいに視界が急に開け、周囲の音や、体の感覚が入ってきたんだ。

 普通は、それだけで、十分驚くよな。だって、俺は家のベットで眠りについていたハズなんだ。


 中間テストがやっと終わって、連日の徹夜疲れがどっと来て、家に帰るなり、飯も食わずに、しばらく寝ると母に告げて、二階の自分の部屋に入るなり、服を脱ぎ捨てベットにもぐりこんだんだ。

 そのはずだったんだ。


 それが、ベットで目を覚ますでもなく、急に地面に立っているって感覚が来たんだ。


 周囲は中世ヨーロッパ風の異世界。

 

 ・・・・・だったら、ついに俺にも異世界召喚到来!やったー!

 

 で、大喜びするところなのだが、場所は夜の落沼おちぬま駅前の仲見世商店街だった。つまり、俺の家から徒歩10分くらいの場所だった。

 

 落沼おちぬま駅商店街は、学校から俺の家につながる通学路の途中にある、繁華街で、昼は買い物の主婦や主夫が、夕方は学校帰りの学生が、そして夜は帰宅途中のサラリーマンで賑わう、どこの町にもあるありふれた商店街だ。


 それが、自分の体だって認識はあったんだ。

 でも、服の感覚や、体の感覚がいつもと違っていたんだ。目線も少し低かったし、髪も耳にかかった感じがあった。そして、なにより下半身に、風がすーと回り込む感じがしてたんだ。


 これは、短パンはいてる感じだ。でも、小学生以来、そんなものは履いていないんだ。あれって、しゃがむと、半金見えちまうし、高校生にもなってハズイだろ。


 そして、声をかけられた。振り向けば、超頭の悪そうな風体のヤンキーが目の前に居た。駅前ではよく見かける連中だが、関わりたくもないので、どこの学校とかは知らん。


「おう、ネエちゃん、シカトすんなよ。コラ」


 メンチ切るっていうのかな、すげえ汚い面に、汚い言葉が俺の眼前に迫って来た。

 んんん、今、コイツ、俺をネエちゃんと呼ばなかったか? なんと失礼な!

 ひげもなく、体毛も薄く、肌も白くて、やや女顔なのは認めるが、その股間には、温泉に行けば、周囲がひれ伏すもっくんが鎮座してるんだぞ。

 

 あ、でも、今は、もっくんの存在が全く感じられない。


 一体、どうしたんだ。こんなチンピラ如きに恐れおののく、俺ではないはずだ。

 俺のもっくんが縮み上がっているだとお!

 

「あん、うっせーぞ、この馬鹿。汚ねえツラ、近づけんな」


 俺はそう言葉を発した。心ではそう思った、だから口に出たんだ。だが、声がなんかおかしい。


 え、これ俺の声? なんというか、いつも自分が話す声とは違ったんが、


 なんというか、女性声優が、イケメン男子ぽく話すような感じだったんだ。


 そして、不快な気持ちを抱えながら、俺は左足をまわし、チンピラの右横腹をえぐった。とても軟な腹だった。

 

 チンピラは、ぐえっとうなって、胃液のようなものを吐瀉し、地面に膝まづいた。視界に映った俺の左足は、しまりのあるアスリートのしなやか足だった。赤いスニーカーに黒のソックス、そして短パンをはいてた。

 

「この、アマ・・・・」


 アマ? また、この手の奴か


 チンピラは、ものすごい形相で、俺をにらみつけた。気が付けば、周囲に数名の男たちがいた。数はざっと五人だ。

 

 男たちは、俺に襲いかかりだすが、俺はボクサーのスウェイバッグのように、男たちの攻撃が自分の身にあたる寸前で、体を引くんだ。蹴りにはしゃがんだり、ジャンプするなどして、俺は男たちの攻撃を華麗にかわした。


 やるじゃん、俺。


 それはとても気持ちのよい行為だった。いつも頭では思うんだ。カンフー映画のように、

アクロバット体操でもするかのように相手の攻撃をかわすってさ。


 俺は、極力争いごとをしない主義なんだが、それでもイケメンではないが、女性っぽい容姿に、わりと冷めて辛辣な口調のおかげで、何度か喧嘩を一方的に売られたことがったんだ。


 だいたいは、ガラの悪い男たちが、俺を女だと思って、まとわりついてきて、服を掴んだりしてくるんだ。

 とにかく、1秒でも関わりたくない俺は、その手を無言で振りほどいて、さっさと道を急ぐのだが、しつこい奴の場合は、しきりに迫ってくる。


 しつけえぞ、このカス! だいたい、こんな感じで相手を威嚇するんだが。


 それを聞いた相手は、青くなって大体腰抜かしたりするんだ。声がマジ男だからな。


 それに、俺は女装なんかしちゃいない。肌が白いだけで化粧はしていないし、睫毛が長いのは生まれつきだし、髪だって耳がかくれる程度の長さなんだ。16歳だから加齢臭だってしないしね。


 オフ時の服装は、普通にズボン履いてるし、靴はスニーカーだし。ただ上着がややだぶだぶなんで、そこで男か、女かの判定ができなかったのだろうと思うんだ。


 姉貴や妹と買い物してたりすると、ほぼ間違いなく、姉妹と思われてしまう。これが俺にとって最も辛い。女顔の宿命だ。


 それで、俺の威嚇に腰をぬかした男は。 


 なんだ男かよ。紛らわしい恰好すんなよ。 で、大概はあきらめてくれるのだが。


 昨今は、若者も、おじさんも、お年寄りも、キレやすい人が多くて、恥かかされたってんで、落とし前をつけにきちゃうんだよ。


 今度は、遠慮なしに殴りかかってくるんだ。


 いや、普通に見知らぬ相手を殴るって、ないでしょ。これ犯罪だよ。おまわりさんが居たら現行犯逮捕されちゃうし、下手すりゃ、夕方のニュースや、Youtubeの映像ニュースに出ちゃうんだよ。


 とにかく、俺はなるだけ攻撃を受けないように、受け流すのだが、多人数だと、よけきれず何発かくらってしまうことがある。

 防戦一方になって、のされる。なんてことにはなったことはないが、映画のようにはいかないって事なんだ。


 でも、今日の俺はいつもと違った。体が軽く、しなやかに動く。パンチや蹴りが、相手の急所をえぐっている感触がある。


 ものの数分もかかることなく、5人の男たちは、最初のチンピラ同様、吐瀉して地面に倒れこんだ。


「弱いくせに、いちいち、からむんじゃねーよ、このアホどもが」 


 我ながら、いい捨てセリフだ。声に違和感があるが、清涼感もあって、妙に清々しく気持ちがいい。


 やったー、ざまーみろ!

 おまえ、誰なんだ?


 え、俺の声がした。俺の声というより、さっき、チンピラに発した、女性声優がイケメン男子の声をあてたような声だった。


 え、おまえって。俺が俺に話しかけている???


 そしたらよ、急に視界が薄暗い部屋の天井に変わっていたんだよ。そんで、ベットから起き上がったんだ。


 なあ、これどう思うよ。コタツうううう。


 コタツは俺の問いかけに応えるかのうように、ごろごろと喉をならした。


「お兄ちゃん、コタツ相手にナニ話し込んでんの、学校遅れるよ」


 我が妹が、俺を心配そうに語りかけてくれた。その目は、痛い子を見るようなまなざしにも近かったが、俺は妹の可愛さに免じて兄への軽蔑をなかったことにしてやる心の広い男なのだ。


 しかし、今、俺の体験話を妹に言おうものなら、次はゴミを見るような目をかけられかねない。流石にそれは、広い心にも穴が開いてしぼんでしまうから、「わかったよ」と返事をするのだった。


 あ、ちなみに、コタツと言うのは猫の名前な。


 3年前、冬の寒い日に川べりで凍えていたトラ縞の子猫を拾って、我が家の一員としたんだ。俺はかなりの寒がりで、家に帰れば居間のコタツにもぐりこむんだ。


 そんで、コイツは俺にめっちゃ懐いている。ことあるごとに、俺にまとわりついてくる。


 寒がりの俺はコタツにもぐりこむまで、こいつがまとわりついて来ても、コタツ、コタツとぼやくもんで、コイツが「コタツ」を自分の名前だと勘違いしたってやつさ。


 おおお、と、もう7時をまわっちまった。補習に遅れっちまう。


 俺は、朝の身支度をすませ、一階の台所に降りた。父と母は共働きで会社の管理職、とうに家を出ている。大学生の姉貴は講義は午後からなんでまだ寝てるようだ。

 

 ソフトボール部の名スラッガーの妹は、朝練で、俺が台所に降りてきた時には、もう玄関を出て行った。


 俺は、めしに味噌汁をぶっけ、めしを流し込むようにかきこんで、あわただしく出て行った。


 そして、高校の正門をくぐった頃には、コタツに話した不思議な体験ってやつも、すっかり、頭の中からすっ飛んでいた。

 今日からまた、変わり映えもしない月曜日が始まるんだ。

とりあえず、第1話を書き終えました。

今のところ、3話くらいまでは、頭にあるのですが、それ以上はどこまで膨らますか、思案中です。

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