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転生魔女のがんばり日誌  作者: 諫山杏心
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16話 商業ギルド





できあがった魔法薬を瓶詰めした私達は、

それを持って街へと出ていた。

そう。商業ギルドへ薬を売る許可を得るためだ。


フェイン様の屋敷から馬車で約1時間ほどの街・アストラル。

それがこの街の名前だ。


王国の中でもそこそこ発展した方の街であり、

前にフェイン様と家具やインテリアを見に来た時にも

結構賑わいのある街だという印象を受けた。


街の中をフェイン様について歩く。

ちなみに私とフェイン様はどちらも、

ローブに着いたフードを深く被っている状態だ。

フェイン様は有名人だからね、色々と対策をしなければいけない。


そしてとある大きな施設の前でフェイン様は立ち止まり、

後ろにいる私に体を向ける。


「さあ、着いたよ。ここがアストラルの商業ギルドだ。

早速中に入ろう」


そう言って彼はギルドの扉を開け、中に入る。

私もそれに倣って中に入る。


そこにはたくさんの人がいた。

ただ、全くむさ苦しくはない。

村では見たこともないような身なりが良く、清潔な人達ばかりだ。


私は周囲の様子を見ながらフェイン様に着いていく。

フェイン様はカウンターの前で立ち止まり、フードを取る。

彼が取ったのだ、私も取るべきだろう。慌てて私もフードを取った。


「フェイン・デリスです。ギルドマスターと話せるかい?」


そう微笑みながら言うフェイン様に、

カウンターの金髪のお姉さんがハッとした顔になる。


「フェイン・デリス様、ようこそお越しくださいました。

すぐギルドマスターに確認を取ります。少々お待ちください」


そう言ってお姉さんはカウンター奥の扉の向こうに消えた。

さすがフェイン様、彼ならどの場所も顔パスで通れそうだ。


そんなことを思っていると、すぐにカウンター奥の扉が開く。

先ほどの金髪のお姉さんだった。


「フェイン様、ギルドマスターがお待ちです。中へどうぞ」


そう言い、カウンターの横を通って部屋に入るように促す。

彼女の指示に従い、私達は扉の中に入った。







私達は部屋に通され、ソファに腰掛けた。

その向かいで少しぽっちゃりした優しげなギルドマスターが微笑む。


「いやはや、お久しぶりですな、フェイン様。

…そちらの方は?」


そう言ってギルドマスターは私の方に目を向けた。


「彼女は私の弟子、リリス・マックワイヤーです」


「フェイン様の弟子になりました、リリスと申します。

今日は魔法薬の販売許可を得るために参りました。

よろしくお願いします」


「ほうほう、礼儀正しいお嬢さんだ。

私はこのギルドのギルドマスター、レイル・シリカ。

私の方からもよろしくお願いしますよ、リリスさん」


頭を下げて挨拶する私にレイルさんは優しく笑う。

よかった、見た目だけでなく性格も優しいようだ。

お互い挨拶を終えた私達を見て、フェイン様が話し始める。


「それで早速なんだけど、

今リリスが言った通り魔法薬の販売許可が欲しいんだ。

彼女は天才でね、

初めて作ったとは思えないほどの品質の物が出来上がったんだ。


これが僕が作った魔法薬。

そして、こちらがリリスが作った魔法薬だ」


そう言いながら彼は魔法薬の入った瓶を机の上に並べた。

それらは見た目はほぼ何も変わらず、

言われなければ誰がどれを作ったのか分からないだろう。


レイルさんはそれらを見比べ「ふーむ」と声を出す。


「これは中々ですな。鑑定しても?」


「もちろん」


そう言い彼はまずフェイン様の作った魔法薬を手に取り、

じっくりと観察し始める。

…「ほう」「これは中々」「さすがフェイン様だ」などと声を漏らしながら。


「いやはや、さすがフェイン様ですな。

低級睡眠薬のはずなのにランクがAだとは…。

こんなに質のいい低級睡眠薬は見たことありませんぞ」


ハッハッハと笑いながらレイルさんが言う。

え、レイルさんってランクとかがわかるの?


「ランクというものがあるんですか?」


思わず問いかけると、レイルさんは「説明していませんでしたね」と笑う。


「実は私は鑑定のスキルを持っていましてね、

鑑定した物の名前・効果・ランクがわかるんですよ。

そしてランクにはGからAまでの品質があります。

もちろん最低品質なのがG、最高品質なのがAです。

…フェイン様の作った魔法薬はもちろん最高ランクのA!

いやはや、さすがですな」


そうニコニコと笑い上機嫌で言うレイルさんは、

「さてさて次はリリスさんのですね」と私の作った魔法薬を手に取る。


「ふむ、これは…………は?」


パシリ。レイルさんが固まった。


「…………ええええええ!?」


レイルさんの叫び声が部屋にこだました。

至近距離にいた私は思わず両手で耳を塞ぐ。

えっなになに!?


「あ、あの!どうかしましたか?」


「そんな、まさか!有り得ない…!」


ブツブツとレイルさんは呟き始める。

そんな彼を見てフェイン様はニヤニヤしながら問いかける。


「よくできているだろう?どうだい、鑑定結果は」


「よくできているどころではありませんよ!

なんですかこれは!…ランクA+なんて、見たことがありませんよ!」


「…………へ?」


変な声が出た。エイプラス?

つまり、最高品質のAよりもランクが高いということ?

…私が作った物が?

私はポカンとした顔をしてしまった。

レイルさんもあんぐりと口を開けている。

そんな私達を見てフェイン様は大きな声で笑い出す。


「アッハッハ!いやあいいね、君達のその顔!

実はその低級睡眠薬はね、リリスが初めて作った魔法薬なんだよ。

初めてなのにこの僕が作った物より良い品質の物を作り上げたんだ。


この子は…神の愛し子だ。

魔力だけじゃない、スキルも備えている。

発想も自由で素晴らしい。

きっと商業ギルドにとって、かけがえのない人物になるよ」


「ス、スキルも!?」


バッとレイルさんが私を見る。

その顔はまるで「信じられない」とでも言いたげだ。


「リ、リリスさん!!」


「はいっ!!」


バッと勢いよくレイルさんが立ち上がり、私もつられて立ち上がる。


「ぜひ!貴方の作る魔法薬を!

この商業ギルドに売っていただけませんか!?」


「は、はい!?はい!!もちろん!!」


こちらに飛び付かんとする勢いで迫り来るレイルさんの迫力に、

私はただ頷くことしかできない。

こ、怖い…!


「もちろん買取値はプラスさせて頂きますよ!

通常、この量の低級魔法薬というのは銀貨2枚ですが、

この低級魔法薬は金貨4枚は出せますなあ!」


「えっ!」


思わず声が出た。

この世界の通貨は銅貨・銀貨・金貨・大金貨に分類される。

銅貨1枚で元の世界でいう100円くらいだ。

そして銅貨10枚は銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、

金貨10枚で大金貨1枚と同等の金額になる。


つまり、通常は2,000円の低級魔法薬が、

40,000円に化けたわけだ。すごい。


レイルさんの言葉を聞いたフェイン様はニコニコと笑顔になる。


「いやあ良い値になったねえ。

低級でこれだったんだ、上級を持ってきた暁には

どれくらいの値がつくんだろうねえ」


フェイン様がそう言うと、レイルさんがまたこちらに目線を向ける。

その目は、何かを期待したようなキラキラした瞳だ。


「リリスさん!!」


「はいっ!!」


レイルさんにガシッと手を握られる。


「今後、魔法薬を作られた際は是非!

是非我が商業ギルドをご利用ください!

もちろん良い値で買い取らせて頂きます!

ですので是非!!是非、我が商業ギルドを!!」


「はははははい!!もちろん!!」






その後、私達は今後の事を話し合った。

商業ギルドが早急に卸して欲しい魔法薬のことや、

今後作ろうとしている物の話。


そして今日得た報酬を使い、

商業ギルド加入の手続きも終えた。


ギルド員の身分を表す銅色のプレートを、

私は愛おしい気持ちで抱きしめた。





ブクマ・星評価ありがとうございます!


ついに商業ギルドが出てきましたね!

ずっと出したかったんです商業ギルド!

ここからリリスちゃんの才能大爆発です。

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