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転生魔女のがんばり日誌  作者: 諫山杏心
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12話 魔力と愛を込めて





スープは出来上がったので、後はメインディッシュだ。

メインディッシュはガッツリとステーキだ。

こちらには魔力を込める。


まずは肉の水気を切りたいけど、

…この世界にはキッチンペーパーなんて物はない。

この工程は省いちゃうか。


まず私はニンニクを手に取った。

皮を剥いて薄くスライスする。

スライスしたニンニクは後で使うので小皿に入れておく。


次に肉を手に取り、肉の表になる面に格子状の切り込みを入れる。

そして、大変なのはこれから。…綿棒で肉を叩いて、全体を同じ厚みにする。

前の世界の体では余裕だったが、子供の体では少し大変だ。

ちょうど良い力で肉全体を叩いていく。


よし、こんなものか。


肉を叩き終えたら、お次は塩胡椒。

本当は振りかけるだけで良いんだけど、魔力を込めるために少し揉み込む。

魔力を込めることをイメージしながら肉を揉むと、

私の体から青い光のような物が肉に流れ込み、そのまま肉の中にぼんやりと留まる。

きっとこれで良いのだろう。多分。


魔力を入れ終えた私は手を洗い、フライパンを手に取る。

それをコンロの上に置き油をひき、火をつける。

火の付け方は元の世界と同じように捻って着火するタイプだった。ありがたい。


弱火にして熱しているフライパンの中にスライスしたニンニクを投入。

じっくりと炒めて、香りが出てきたらニンニクを小皿に取り出しておく。


そしてフライパンをしっかり強火で熱して、いよいよお肉の登場だ。

塩を振った面を下にして肉をそっと入れて焼く。

ジュワッと良い音と良い匂いが部屋に立ち込める。


…そろそろ良いだろうか?肉をひっくり返してみる。

すると肉にはしっかりと焼き色がついていた。とても美味しそうだ。

そのままその面も強火で焼く。


そろそろ良いだろうか。そう思って私は火を止め、フライパンに蓋をした。

後は余熱でじっくりと火を通し、取り出したニンニクを乗せたら完成だ。


私は料理を盛り付けるための皿を取るために、食器棚の扉を開けた。

中の食器までもが白い。徹底的だな。

そう思って苦笑いした私は、食器に手を伸ばした。








「………うまぁ」


ステーキを頬張りながらフェイン様が言った。

今私はフェイン様とともに食事の席についている。


料理を皿に盛り付けてすぐにフェイン様を呼んだ私は、

そのまま料理をテーブルに並べた。

すぐに部屋にやってきたフェイン様は、

私の料理を見て目を輝かせていた。


「え…こんなに美味しそうなの初めて…」


そう呟いて目をキラキラさせ、口を開けっぱなしにしている。

その口からはちょっとよだれが垂れていた。拭いてください。

そう思いながらも「温かいうちにいただきましょう」と彼に声をかけた。


私と彼は席に着き、ナイフとフォークを手に取り早速食事を始めた。

そして冒頭に至る。


「えぇ、何この肉。こんな美味しい肉うちにあったの…?知らなかった…。

噛むたびに肉の旨みの汁が出てきて手が止まんないんだけど…」


そこまで言って肉をゴクンと飲み込んだフェイン様は、

ナイフとフォークを置きスプーンに手をつける。スープを飲む様だ。

彼はそのままスプーンでスープを掬い、口に運んだ。


「…………………!?」


ピシリ、フェイン様が固まった。

何!?口に合わなかった!?


「フェイン様!?ごめんなさい、口に合いませんでしたか!?」


「…………………ぅ」


「う…?」


「美味いッッッ!!!」


ガッと目を見開き、フェイン様が叫んだ。

私は驚いてしまい「きゃあっ」と声が出てしまう。


驚いたままの私をよそに、

フェイン様はガツガツとスープに手をつけ始める。


「何このスープ。今までこんなスープ飲んだことないんだけど。

今まで飲んできたスープがただの塩水に感じるくらいなんだけど。

何この旨み。肉の旨み…?でも肉は入っていない。じゃあこれは何の味で…」


「あ、あのー?」


ぶつぶつと呟き始めたフェイン様に私は恐る恐る声をかけた。

すると彼はハッとした様子でこちらを見て咳払いをした。


「ゴホン。

…いや、愛し子の作る料理は、その。

今までのどんな料理よりも美味しいね。

こんな料理を食べれる僕は本当に幸せ者だ」


先ほどの興奮した様子を見られたのが恥ずかしいのだろう。

どこか硬い口調でそう話す彼に、私はクスリと笑う。


「お口に合ったのなら良かったです」


「う、うん。とても美味しいよ。

それに、魔力のコントロールも中々だ。

魔力を込めたのはステーキだね?

たっぷりと君の魔力が入っていて素晴らしいよ。

スープの方は…少し魔力が入ってしまってはいるが、

初めてにしてはかなり制御できているよ。

…うん。君は感覚を掴むのが上手いね」


「本当ですか!?」


「うん、本当だよ。

魔力の扱いも料理も上手い弟子ができて、私は本当の幸せ者だ」


そう言って微笑むフェイン様に、私は笑顔でお礼を言った。

幸せ者は私の方である。

こんなに優しくて素敵な人が師匠で、

ご飯も美味しそうに食べてくれて。






その後の時間はゆっくり食事をしながら、様々な話をした。

どんな魔法や魔法薬があるか。魔法薬はどんな材料を使うのか。


そして彼が喜ぶ姿をまた見たくなった私は、

夕食にオムライスを作った。

もちろん中身は昼に残した鶏肉を使ったチキンライス。

ソースは赤ワインを使った濃厚なデミグラスソースだ。


それを見たフェイン様はまたも目を子供のように輝かせた。


…人に手料理を食べてもらえるって嬉しいんだな。


そう思いながら、私はオムライスにスプーンをそっと入れた。





ブクマ・星評価ありがとうございます!


書いててステーキ食べたくなったお話です笑

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