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第66話 皇位の継承戦①

 島国であるヒノワ皇国へ向かうための海岸に到着して、第六皇子ウラカワ・モリモリを待っていたヒロ達。

 しかし現れたのはモリモリではなく、第一皇子シゲシゲだった。


「何処から情報が漏れた?」


「呆。そのような大所帯、大荷物であることが証拠なり」


 鎖国を辞めさせようとしているプロキアの使者を斬り捨てようと、シゲシゲがゆっくり刀を構える。


「……それよりワタシは、どうやってここに来たのか気になるな」


「どういうことだ?」


 魔術礼装を一瞬で展開して警戒態勢に入ったサリエラが、真剣な面持ちで青く輝く海を指差す。


「数十もの家臣を率いているが、船は一隻も見当たらない。それどころか、奴らの身体は全く濡れてないし、風で乱れた痕跡もない」


「確かに……小さくしてポケットにしまえる船を使ったとか?」


「それか本当に海の上を走ってきたか、だな」


「平然とそんな頭のおかしくなる話しないでよ……」


「転生者の能力は不可能を可能にする。考えたらキリない」


 奇天烈な会話を繰り広げる二人に呆れたエリーゼに対し、ミライが注釈を入れていた。


「問。どのようにする」


「どのように、って」


「選。潔く帰るか、ここで朕に斬られるか」


 作戦会議をするプロキアの一行に痺れを切らしたのか、シゲシゲが二択を投げかける。

 だが、ヒロ達の答えは最初から決まっていた。


「食べ物を粗末にする奴の口なんて聞くわけな」


「フッ」


 返答を最後まで聞く前に、シゲシゲの姿が消えた。

 そして姿を現したときには、既に刀の刃がサリエラの杖を両断せんとしていた。


「驚。貴様、魔術師ではないな」


「何でも出来るしやっている、天才宮廷魔術師だよ!!」


 そう叫びながら弾き飛ばそうと力を込める。

 だがシゲシゲは後ろに力を受け流し、サリエラの体勢を前に崩し、その背中に刀の柄を押し込む。


「ッ?」


「慢心したな?」


 しかし、サリエラの魔術礼装は単純な物理攻撃を通さず、受け流す。

 そんな初見殺しに引っかかったシゲシゲのアゴに向けて、逆立ちの姿勢から蹴りをかました。


「驚。存外にやる」


 しかし、シゲシゲには効いている様子がなかった。

 サリエラも想定内と言わんばかりに、ヒロへ発破をかける。


「今だ、変身しろ!」


「当然だ! 戦士装備レッドフォーム!!」


 ヒロが赤い鎧兜を顕現させ、剣で第一皇子へと斬りかかる。

 だが刀で受け止められたせいで、鍔迫り合いの形になってしまう。


戦士装備レッドフォームなのに互角!?」


「嘲。転生者の癖に、その程度とはな」


「転生者の優位性、無くなってきてるんじゃないの!?」


 力負けして押されたヒロが、軌道を横にずらして後ろに飛ぶ。

 しかし侍も、まるで読んでいたと言わんばかりの踏み込みを見せ、鎧戦士の胴に入る。


「終。一薙ぎで十分だ」


 そしてシゲシゲが、敵を上下真っ二つにするべく一閃を放つ。

 その凍った炎のような眼光を見て、ヒロはすぐさま「この最強装備を断ち切ってくる」と確信する。


狩人装備イエローフォーム!!」


 すぐさま光速で動くための装備へと換装し、体勢を低くしてから前へと緊急回避する。

 それと共に超高速でタックルを放ち、何とかミライ達から引き離そうと試みた。


「……ぉ」


「呆。無駄な足掻きよ」


 その斬撃は、まるでハヤブサのようだった。

 獲物をロックオンし、目にも止まらぬ速さで追尾し、仕留める。

 そんな初撃を外した直後の切り返しで、ヒロの両脚は切り取られた。

 光すらも捉えるほどの正確性とスピードで狩られた獲物は、不時着するまで、何が起きたのか理解ができなかった。


「待ってろ、すぐにくっ付けて」


「させるわけがないだろう」


 サリエラの進路を塞ぐように、シゲシゲが刃で邪魔をする。


『照射しろ!!』


 ヒロ達の心を読み危機を察知したミライが、マオにウォルター達の護衛を一任する。

 そして前に躍り出て、両腕から陽魔術から成るレーザーを放ち、振り回した。


「ぐぁああーーっ!!」


「苛。足掻くな、俗物が」


 シゲシゲは軽い動作でかわしてみせたが、家臣は焼き払われてゆく。

 そして注意がミライに向いた隙にサリエラが脚を回収して近寄り、素早く回復魔術でヒロを五体満足の状態へと戻す。


「正直ビックリだぞ。ワタシもヒロも、手も足も出んとは」


「俺もバサナとの戦いで強くなったって思ってた。けど何だよこれ、インフレが過ぎるだろ」


「ワタシの礼装も、あの刃を向けられていたら斬られていた。どうする」


「……絆ノ装備(ブルームフォーム)を使う」


「……いまの状況だと厳しいぞ」


 絆ノ装備(ブルームフォーム)は、ヒロが出せる中で文字通り最強の装備だ。

 しかし、マオの魔力を受け取らなければ発動できず、受け取った魔力とヒロ自身の魔力を同時に大量消費する関係上、五分程度で魔力切れ状態になり、完全無防備となってしまう。

 また、基本的にマオへ近寄らなければ発動できないが、その距離は遠く離れている。

 マオが飛ばした魔力をシゲシゲに邪魔されてもアウトのため、とても現実的では無かった。


「ならどうする?」


「殿を務めた後、ワタシの魔術で速攻逃げる」


「オーケー。ミライ、頼むぞ」


 ヒロ達が念じた時点で、既にミライは動いていた。

 シゲシゲの攻撃をかわしながら、後ろの仲間たちへ海に向かうよう指示を出す。

 心を読まれていると判断したシゲシゲが無心の攻撃に切り替えた直後、ヒロとサリエラによる魔力の矢が侍の背中を突き刺す。


「まだ終わりじゃないぞ!!」


「ワタシ達を無視するなぁッ!!」


 明確な戦力差があるにも関わらず向かってくる二人へと踵を返した様を見たミライが、先に海へと向かった仲間の後を追う。


「今のうちに、海を凍らせて走ってく!!」


 そして『凍れ』と魔術を放ち、凍らせた海の上に足を乗せたとき。


まて! そのようなことをすれば、水神様がお怒りに!!」


 今までの鋭い眼を一気に開けたシゲシゲが、ミライ達を止めるべく全速力で踏み込んだ。

 その直後だった。


「な、なんだ!?」


「ッ、遅かったか!」


 晴天だった空が当然黒雲に覆われ、肌を照りつけるような暑い空気も急激に冷え込んでいった。

 そしてミライ達が向かう先に、雷と共に渦を巻いた突風が発生する。


「恐。水神様がお怒りになられた。海を渡りヒノワへと向かう不届者が現れしとき、全てを藻屑とすべく竜巻を起こすのだ」


「それ早く言えよ!?」


 冷や汗混じりに淡々と語るシゲシゲに、ヒロは盛大にツッコミを入れていた。

 ミライも必死に逃げようとするが、大嵐は瞬く間に海岸へと到達し。


「うわああああっ!?」


 そこに居た者すべてを飲み込み、彼方へと吹き飛ばした。

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