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くらいところ  作者: ぞい
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合唱団に惹かれて

 スペイン語を専攻することになっているわしは、後のメインキャンパスがこの寮からはかなり遠い山の上になるので、入学準備の際には、あちらへと移動したり、すぐ裏のキャンパスに行ったりして慌ただしい日々を過ごした。向こうのキャンパスの外れの学舎で説明があった後、出入口でキャンパスの合唱団の先輩方からチラシを手渡された。皆、それぞれが濃くていいお顔をしていたので、もう運動部に属するのはこりごりと思っていたわしは好印象を抱き、サーオリ(サークルオリエンテーション)でその合唱団を見に行くことに決めて、もう他の勧誘には目もくれず合唱に対して思いを馳せていた。


 中高の頃、ユーミンやオフコース、新しくても柴田淳などの音楽を好んで聞いていたわしは、カラオケに行っても、オレンジレンジやらHYといった流行りの曲についていけず、好きな歌を歌ってみては、「知らんわぁ、それ」と冷やかされていたような気がする。歌が好きな気持ちは確かにあったので、これを機に、ほとんど誰も知らない状況の中で音楽に一から向き合うことができたらどれほど素敵なことだろうかとわしは思っていた。地元からは同じテニス部の二人が来ていて、二人はサーオリをどうするのかしらと思いつつ、わしは寮で小浴槽に湯を張って入浴し、からだを洗う男子学生を眺めていた。


 サーオリ自体は寮のすぐ裏のキャンパスで実施されたので、わしは高校の部活仲間の田内と一緒に、その合唱団のブースへと行ってみた。やる気ない高校のクラス合唱のイメージが強かったわしは、大人数ではないからこその落ち着いた爽やかさのようなものを感じ、「サッカーによせて」という曲で自然に涙が出てきた。田内はというと、先輩の一人が気に入ったとのことで、そのまま一緒に新歓へと参加して、無料のイタリアンとカラオケを満喫した。田内のお気に入りの先輩がわしらの共通のメール担当になり、次はまた後日、少し外れの駅前にあるというスタジオでの体験練習に参加することになった。

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