えーここ異世界じゃないのでも………
異次元転生というのと別に
私たちが近づいていたライトは
どうやら自然の木が燃えている松明のようだった
近づくにつれて火が焦げる臭いがしてきた
そして冷静になったせいか、この通路らしきもの
といっても正方形の空間なのかもわからないのだが
そこは感じ方によって違う見える宇宙がある
そんな説明もあるとは思う
つまり一人一人それぞれ見る宇宙が違うということ
それは一人一人の価値観が違うからそれによって
これが宇宙であるという価値観が変わってしまう
そういうことから違った宇宙があるように見える
そういうこともいえなくはない
そもそも宇宙といったところ誰がこれが宇宙ですと
確証をもって言えたりまたどうして価値観が違うものたちが
同じ宇宙を共有していると言えるのかも不明瞭
それにそもそも多次元というが次元という概念を
同規定するのかでもめてしまうことばかり
どうもああいうのはわかりやすい部分だけ
面白可笑しく表現されているだけなんだろう
ーーー
そこにたどりついたとき
わたしがみたのは意外な光景だった
どういうからくりかわらかないが
そこには私たちが今いたばかりの劇場があったのだ
「おい」
英孝がそうつぶやいた
そりゃそうだよね、だって普通はおきまりで
そこにあるものはなんかモンスターだったり
天使や神が登場
そんな流れだよ
いやこれこそ現実、本当の現実
私たちは次元のゆがみにはまって
とばされてしまっただけなのかもね
世界を見るときに、情報ばかり
表面的なことに囚われると
物事の本質が見えない
そもそも異世界転生物に巻き込まれたという
根拠から考えてみよう
余りにも多くの情報は実際の現実に
合わないものも多い
ただもちろんここに突然
ドラゴンが現れたら
情報がどうのといっていられない
といっているのがつかのま
背中を小さくつつかれる感触があった
振り返ると蒔絵がとんでもない形相で
ある場所を見ろと指さしていた
私はそちらをみてみた
そして最初に浮かんできたのが
(ふーん、そうきたか)
というなんだかこういう状況にはあわない
そういう感想でしかなかった
一応英孝に伝えてみる
彼は振り返ったなり事の次第を理解して
とんでもない形相にそれこそなった
人というのは危機にならないと
限界点に立たないとどうも世界と
真実に向き合わないそんな
ナマケモノな脳をもっているらしい
だが私たちはこのときは素早い脳の回転で
それに応じることにした
逆にあれと思うぐらい体が動いたのだ
実はそこにあったのは確かにモンスターだったが
恐ろしい龍かと思いきや
ただの龍のようには見えなくもない
少し大きめの人型の爬虫類系モンスターで
しかなかったのだ
どこをどうやったのかは忘れたが
3人鮮やかないやなんか違う感じで
そいつを撃退した
何か違う感じで
どうやら違う感じで
………
後ろの松明の先の景色も気になるが
ドラゴンもどきのざこいモンスターの
後処理も気になった
どこかに宝石があるのかと思いきや
特にそれはないよと言われた
え言われた
そういわれたのである
何しろ私たちは3人ではなくて6人だった
そして後の3人は見知らぬ人みたいだった
明るいところにきたので
お互いの服装を確かめあったから
わかるのだけど
いわゆる冒険者みたいな恰好を
3人ともしていたのだ
まあそれはそれでカッコいいのだが
それとは別にそうその3人組
いや彼らからしたら我ら6人組だろうけど
おそるおそる名前を聞いた
「おいなんだよリーナス俺の名前まだ
覚えてくれていなかったのか」
何俺はリーナスというのか。
「サムだよ。もうパーティ組んで1週間なのに
ひどいな」
ひどいひどいとその他二人どころが便乗して
英孝と蒔絵までいっていた
それをみて
蒔絵がすかさず
「リーナスさんも天然が過ぎますよ。
ねえサムさん」
その瞳の奥のずるがしこい輝きは
私は一生忘れられない
そんなこともしてなんとか私が人身御供になって
その他二人の名前も聞きだした
後の二人はバーンと二―
二―は妖精のようないでたちでいわゆる
耳がとんがっているあの種族で女性らしい
くわしくはわからないが体形はそうなっていた
英孝はエリウス、蒔絵はエーマ
まあそんな感じの名前
全部一度に覚えられないよ
それで私たちが一週間前にギルドの新米要請プログラムを
卒業して組み合わせをいろいろ相談の上してこうなった
そうだ
そもそもバーンとは私たちは養成学校でも同室だったらしい
彼がおとなしそうな口数少ない魔導士だったので
よかった
しかし名前を憶えてもらっていないことで
かなり不機嫌そうではあったが