表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/79

68話 英雄の条件

『さあ、ソファーへぴょん』

 手を引かれ誘われるままソファーに座る。テーブルの上には豪華な料理が並んでいる。会議の間に軽食は取ったものの、それ以外は今日一日、何も食べていない。ノームとウンディーネに両腕におっぱいを押しながら抱き締めていて体を動かせない。

『私達が食べさせてあげますぴょん』

 シルフとサラマンダーがテーブルの上で四つん這いになって犬のような尻尾とウサ耳を振りながら、料理を乗せたスプーンを目の前に持ってきた。

『食べたいですかぁ? おねだりしてください、ご・主・人・様ぁ』

 シルフは蕩けた顔で煽情的に煽ってくる。対照的にサラマンダーは子犬のように上目遣いで尻尾をぶんぶん振りながら料理を押し付けてくる。

『ダーリン、ダーリン、はい、どーぞ』

 口に一度に飲み込めないほどの料理を口につめられる。いつものことながら、加減を知らない。腕がむにっとしたものに挟まれる。ウンディーネが手を太ももで挟み、料理を一つ摘まんだ。

『ボクからも……口移しがいいかな? んべー』

 ウンディーネは目を閉じ、舌を出す。喉の奥までしっかり見える。

『もしかして? 興奮した? いいよ、ボクの全てはユウのものだから』

『ずるい~、お姉ちゃんも~!』

 ノームが料理を一つ摘まんだが、手を滑らせて胸の谷間に落とした。

『ユウくん~! 取って~!』

 古典的な手だが、ノームの豊満な胸なら効果は抜群にある。手を伸ばすと、料理が谷間から落ちた。取らなければ。谷間に手を突っ込む。

『ちょっと!? ユウく~ん~!? あんっ!?』

 苦難の末に料理を取ることが出来た。ビキニなのだから谷間に手を突っ込む必要は無い。

『ご主人様。そちらだけで遊ばれては寂しいですぅ』

 シルフが膝の上に座る。

『ご主人様の足で、尻尾が……んっ! あっ!』

 シルフは腰を擦り付け、赤面している。尻尾が足に当たる。当たる度に喘ぎ声が聞こえる。

『ダーリン!』

 ソファーの背が倒れサラマンダーに押し倒された。

『唇も~らい、んっ』

 サラマンダーが唇に吸いついている。甘いものを食べていたのか、ケーキのような甘さを感じる。

『ズルい! ボクも!』

 サラマンダーが押しのけられウンディーネに口付けされる。柔らかい。無理矢理では無く重ねるような口付け。

『ご主人様。私は?』

 次はシルフがウンディーネを突きとばし口付けをする。何度も何度も求めてくる。情熱的だ。

『んっ……ふぅ……ごちそうさまでした』

 シルフが視界から消えた。ノームに突きとばされていた。

『うん、いいよね?』

 ノームの唇が触れた。優しく触れるだけ……

 ノームが体の上から退き、体を立てる。直後に、服を掴まれ、脱がされた。ウンディーネが服の匂いを嗅いでいた。

『はぁ……ユウの匂い……』

 シルフが足に座り、体を触り始めた。サラマンダーももう片方の足に座り、頬擦りしている。

『こんな酒池肉林、味わえるのはご主人様だけですよぉ?』

 みんな酔っているのか、媚薬みたいなものを使ったのか、いつもよりも、とても積極的だ。

『ダーリンがお酒飲まないのに私達が飲むわけないよ』

『もちろん、料理にも何も入れてない。これはね……』

『お姉ちゃん達からのご褒美だよっ』

 ご褒美と言うわりに好き放題しているだけである。後ろからノームに抱き着かれる。豊満な胸が自分の背中で潰れている。

『ボク達は愛し合っているんだから良いんだよ? ぺろっ』

 体を舐められた!? 舌で体を撫でまわしている。

『はぁい、ご主人様。デザートです』

 シルフはデザートのクリームを指で掬い、自分の口にねじ込む。

『もぉっと、ちゅぱちゅぱしてくださいね』


「ユウ! ちょっといいかしら?」

 部屋の前から声が聞こえる。アメジスト達だ。タイミングが悪すぎる。

「あ、開いてますし、入りますね~」

 無情にもドアは開いた。この惨状を目にしたアメジスト達は冷ややかな目をしている。

「ルビー、このクズろくでなしケダモノ精霊たらしの首を持って来て」

「かしこまりました。姫様」

「ユウさん、サイテーです、二度と顔を見せないでください」

 ウンディーネから服を奪い取り着る。そして、4人に着替えさせ、部屋を片付けさせる。その間にアメジスト達を何とか引き留める。

 部屋が片付いた頃合いを見計らって部屋に戻る。綺麗に着替えた精霊達が待っていた。

『お茶です。アメジスト様』

 先程まで乱れに乱れていた人物とは思えないほど平静だ。

「用事?」

「言伝ね、明日、合同訓練に参加しろって、教官役でね」

「教官!? むしろ自分が教えて欲しい。戦闘のプロではないんだけど」

 ……ルビーと目が合う。

「それよりルビーが自分に戦闘を教えて欲しい」

「は?」

 目を丸くしている。

「ダメですよ、お姉ちゃんは人に物を教えることが何よりも苦手なので」

 ギフテッド、期待できない感じか。

「むっ、それなら、私と戦って覚えればいいだけです!」

「それはそれで一方的にお姉ちゃんがボコるだけになりそ~」

『サフィには悪いけど、ダーリンがこんな奴に負ける訳無いからね!』

 これは話が拗れそうなそうな予感だ。

「いや、ルビーの方が流石に強いわよ。だって、エルフ最強よ。ユウ如きが勝てるわけないじゃない。面白い冗談だわ」

『ご主人様の本気の力を見てないからそう言えるのです。まあ、アメジスト様には分からないと思いますが』

「はぁ!? ふふふっ! いいわ、明日の演習でルビーが勝ったらこれから毎食シルフにはご飯を作ってもらうから!」

『かまいません。ご主人様が勝てば、全員揃ってラビッタ衣装です』

「ぶへっ! ゴホッゴホッ!」

 お茶を吹き出してしまった。何てことを……あんな際どい変態衣装を着させるのか? どんな羞恥プレイよりも酷い。

「い、いいわよ! ルビーなら勝てるもの、ね?」

「え、あ……え、あの、姫様?」

 凄く困っている。ルビーは強いが、勇者でも、魔王でも無い。ただの剣術の達人である。勇者や魔王がチート過ぎて、剣術の達人というだけでは……

「ま、まあ、精霊の皆様、明日はよろしくお願いします。ついでにユウも」

 ついでかよ! まあ、敵意を向けられなくなっただけ良くはなっている。

「ユウ。復讐したいだけだったのに私達は何でこんなことになっているのかしらね」

 自嘲気味に笑っている。紆余曲折、あまりに長い道のりだ。背負うには重すぎるものを背負い続けている。家族の復讐が、国を揺るがす事態になり、世界の終焉に繋がってしまった。もう何が何だかさっぱり分からない。

「そろそろ部屋に帰るわ。また明日ね」

 アメジストはお茶を飲み干してから部屋を出て行った。


「トモ、まだみんなの回復には時間がかかるって」

 トモヤが世界の各所に準備しておいた隠れ家の一つ。トモヤは準備をここでしていた。

「ありがとう、ケイ、一番働いている、少しは休んだら?」

 ケイスケは首を横に振る。

「戦えないからさ、少しでもトモの為になりたいから」

 ケイスケの能力、静止させる力、静止中は全てのものが硬質化してしまい攻撃を通さなくなる。だから、ケイスケはほぼ戦闘に参加しない。

「照れくさいな。ケイの働きは誰もが認めてる。倒れる前に休んでくれ」

「トモがそういうなら」

 フラフラと部屋を出て行った。

「ケイスケさんは何故、見捨てず助けようとするのデスか? どうせ、次の世界まで待つことになるだけデスのに」

 ゴーレム生成の能力を持つ、通称博士がホログラムのタブレットでゴーレムの改良をしながら口を開いた。

「優しいからかな」

 トモヤは淡々と答える。

「ほぅ」

「ケイがこの世界や俺の居た世界とは別の世界から転生していることは?」

「もちろん、知っていマス」

「ケイの世界は、ギリギリの所で世界が保っている。超能力者によるテロで崩壊寸前らしい。水面下でことが起こっていて一見すると平和なのが厄介なことなんだ。ケイは元から能力を持っていたから、巻き込まれたんだ」

「はぁ、超能力者デスか?」

「魔力だよ。アイオーン曰く魔力が全ての世界を繋いでるからね」

「なるほど、勇者の力も言ってみれば超能力デスね。しかし、私達の世界には何も……」

「麻薬」

「ああ、あの原材料不明の」

「脳を破壊し幻覚を見せるが、特定の人間には症状が何一つ出ない。魔力のタンクを持っている人間はね」

「何のためにそんなことを……?」

「さあね? アイオーンが勇者を選別するためだったりして」

「有りそうで怖いデスね」

「それで博士、ゴーレムの改良は?」

「まだ時間が必要デス」

「そっか、まだ時間は有るから良い物を頼むね」

「あぁ! トモヤ様!」

 カリンを筆頭に部屋に入って来る。

「作戦会議を始めようか」


「やっほー、久しぶりだね。ユウ君」

 訓練と言う名の演習は各国の中間の近くの場所で行われることになっていた。これなら何処で襲撃が有っても駆け付けることが出来る。

「何で居るんですか? ネクサスさん」

「僕も参加するからかな?」

 参加するのか、会議には出なかったから演習も出ないと思っていた。

「あ、神殺しの先輩から助言が有るけど聞く?」

「いえ、結構です」

「うんうん、君は厄介なことにこれから、英雄にならないといけない」

 無視。話したいだけだこれぇ……

「英雄、それは多くの命を背負い、導く者。今の君と合ってるよね?」

「まあ、自分がトモヤと戦うのならそう……なりそうですけど」

 トモヤと戦うことは、世界を守ることと同じだ、英雄と言えば英雄かな。

「英雄になる覚悟を持って」

「え?」

「英雄に祭り上げられた者が多くの命を背負う重圧に耐えられると思う?」

 どうだろうな、勝手に英雄として祭り上げられ、多くの命を背負う、歴史を見ても神託すら無い、ただの人は何処まで耐えられるのだろうか。

「自らを英雄と思うこと、英雄になるという意思が無ければ英雄にはなれないんだよ」

「……出来なかったら?」

「今回なら、心が折れて、世界が終わって、恨まれながら死ぬだけだよ。それに、負けるような奴は大戦犯だしね」

 責任重大ってレベルではないんだけど……

「以上、先輩からの助言だよ。参考になったかな?」

 参考どころかプレッシャーにしかなってないんですけど……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ