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番外編2話  彼の過酷な一日

 その日は騎士団全員、早朝にネクサスさんに呼び出されるという緊迫した中始まった。

「こんな朝早くからみんなを呼び出して申し訳ないんだけどさ。」

 兜でネクサスさんの表情は見えねぇけど、深刻な事態なことは、声色から分かった。

「今日はアルマからこの国を守って欲しいんだ。僕抜きで。」


 団員は皆一様に騒めいた。それもそうだろう、相手はドラゴン、能力をコントロールすることすらままならない勇者一人と普通の人間である騎士団員だけでは、敵うはずがない。どういうことなんだ、ネクサスさん。

「今日はさ、賊、ユウ君達がカミール卿の野望を潰すために城に乗り込んでくるんだよね。騎士団が何もせず、見過ごしたら、問題になるんだよね……それに、僕が勝てるとも限らないしさ。」

 ……あの腑抜けたハーレム野郎にネクサスさんが負けるとは思えない。だが、ネクサスさんは心底楽しそうに語っている、あの男にネクサスさんを楽しませるほどの力が有るのか?

「僕からの指令は2つだよ。まず1つ目、必ず被害者を出さないこと。これはいつも言っているから分かると思うけど、物は壊しても直したり新しく作れば何とかなる場合もあるけど、人は死んだら基本的に帰ってこないからね。2つ目はアルマを撃退できたら撃退しておいてーってことで。まあ、来そうだなーって感じがしたからだから来ないかも知れないけどね。」

 万が一、ということか。周りにもちゃんと気を回せる、流石ネクサスさん!

「頼むね。大丈夫、みんななら出来るから! 後は任せるよ!」

 ネクサスさんは城に向かった。さあ、俺達も準備しねぇとな!


「ジュンさん、今日はどうするんですか?」

 普段から使っている班の班長と共に会議室に集まり、作戦会議を始める。ネクサスさんが居ると会議がまとも進んだことが無い。差し入れの山が築かれて会議どころの話では無くなるのは問題だけど、まあ、ネクサスさんだし、仕方がない。

「基本はいつも通りで、アルマが出たらアルマに集中するのがいいと思うんだが。」

「ええ、それ用にシフトを組みましょう。アルマが出た時はどうしますか?」

「その時は、俺が相手をする。避難を頼んで大丈夫か?」

「それは助かります。ドラゴンを相手にできそうなのはジュンさんくらいですので。」

 ドラゴンを相手にすることも勇者の役目……か。


 昼を回るが今のところ問題は起きていない。そのまま来ないでくれればいい。気になるのはネクサスさんの方だ。負けるわけが無いが、もしもが頭を過ぎる。

「はぁ、休憩にするか。」

 待機しているだけで何もしていないが……心労で疲れた。ラウンジで昼食を取ろう。サンドイッチとコーヒーを頼み、外を眺めながら食べる。雲一つない青空が果てしなく広がっている。昼からは巡回に出ようか。

 上空から一筋のまばゆい一筋の光が落ちてくる。アルマだ! 来やがった! 皿をそのままにして待機中の団員に指示をするために駆ける。

「総員準備! 来たぞ! すぐに出るぞ!」

 地図にアルマが落ちてきた場所を書き込み、装備を抱え、すぐに出る。


 悲鳴が聞こえ、煙が見える。急がねぇと!

「おい! トカゲ! 俺が相手だ!」

 剣を抜きドラゴンに叫ぶ。まだ周りに人が大勢いる、コントロールすら出来ない力はまだ使えない。

 アルマは街を破壊し続けている。無視かよ。

「てめぇの相手は俺だ!  余所見してんじゃねぇ!」

 アルマの足元まで駆け寄り剣を振る、しかし、鱗に弾かれ刃が通らない。めんどーなこった……

「うわーんっ!!  おかーさん!?  どこー!?」

 は!?  子供が取り残されている……アルマが反応し、尻尾を高く上げ叩きつけようとしている!

「くっそーー!  ざけんな!」

 全力で子供のもとに走り庇う。尾は背中を叩きつけた、背から血が滴る。

「ジュンさん!」

 団員が駆け寄って来て子供を保護する。

「この子で付近は全員保護しました!」

「ああ、助かる、後は任せろ!」

 アルマが後ろ足だけで立ち上がり光の翼を大きく広げた。子供を狙って追撃する気か!?  外道が!

「俺から……目ぇ背けてんじゃねぇよ!」

 団員から十分距離を開けた。全力で捩じ伏せる!  アルマを覆うように毒のカーテンを作る。波のように毒のカーテンがアルマを襲う。

「溺れてくたばれ!」

 アルマの光の翼は全て俺に向いた。

「お前を殺せばネクサスはどう思うだろうな?」

 光の雨が降る、光が身を切り、貫通する。毒のカーテンがアルマを襲う前に崩壊し、俺自身も崩れ落ちる。

「イキった罰だ。お前がくたばれ。」

 勢いにまかせて顎で潰すように倒れてくる、子供を庇ったときに背骨をやったらしい、動けねぇ、迎え撃つしかねぇか。頭がいくつもあるヒュドラという龍を模して毒を作る、ヒュドラの頭がアルマの顎に噛み付くがアルマは速度を落とさず顎で潰しにかかる。くっそぉ!  どうやったら勝てんだよ!  顎が迫ってくる、終わった。


「ごめん、遅くなったね。ジュン君。」

 ネクサスさん?  ネクサスさんがアルマの顎に剣を突き立て、潰されるのを防いでいる。ガキンッと音を立ててネクサスさんの剣が折れた、ネクサスさんは俺を抱え顎の下から離脱する、よく見るとネクサスさんは傷一つ無い新品の鎧だ。

「負けたんだよね、僕。ごめんね。」

 そんなことネクサスさんが謝る必要無いじゃねぇか。

 地面から鎖がアルマを狙い飛んでいく、アルマは鎖から逃げるように遥か上空に飛んで行った。

「もう安心して、僕がエレノア司教のもとに連れて行くから。」

 あぁ、くっそ……俺もネクサスさんにもっと頼られるように強くなりてぇ……

 これ以上は意識が保たなかった、次に起きた時は、体中に包帯が巻かれていた。

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