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45話 恋して愛深まる。

「明日1日は休憩にしましょう。」

「姫にこれまでのことを話すために1日空けますね。」

 なんて2人から言われ、せっかくの休みなのにやることが見つからない。

 シルフとウンディーネは買い物に、サラマンダーはモニカとソフィアと城でセレーナ姫の相手をしている。

 そして、ノームは起きてこない。

 久々のボッチだ、でも、ゲームも本も無い。つまらない。

『おはよー。ユウくん……ふぁぁ……』

 珍しい、ノームが自力で起きてくるなんて……まさか、天変地異の前触れか!?

「おはよう、ノーム。どうかした?」

 恐る恐る聞いてみる。

『……すやぁzzz』

 立ったまま寝始めた、どうしようか……髪の毛はぼさぼさだし、ちょっとよだれが垂れかけている。

 仕方がない、部屋まで戻すか。


『わぁぁぁ! お姉ちゃん、寝ちゃってた!?』

 ノームが飛び起きた。もうお昼時なんですけど。

「二度目だけど、おはよう。」

『え? え? ユウくん!? どうして!?』

「立ったまま寝てたから部屋まで運んだよ。」

『今日は用事ある?』

「ないけど。」

『ねえ! ねえ! お姉ちゃんとデートしよう!』

 自分の腕を掴みぴょんぴょん跳ねている。ノームのおっぱいがたゆんたゆんしていて目が離せない。胸の部分がぱっつんぱっつんではち切れそう。

『何処に行こぉっかなぁー! ユウくんとぉー! デートー!』

 ぐぅぅぅぅぅっ!

 ノームのお腹が鳴った。顔を真っ赤にして手で隠している。

『お姉ちゃん、お腹が空いちゃった。ご飯食べに行こう?』

「それはいいけど、身だしなみくらい整えたら? 髪がぼさぼさだよ?」

『もうっ! ユウくんのバカ! えっち! 女の子にそんなこと言うのサイテーだよ! デリカシーない!』

 そんなこと言われても髪の毛がぼさぼさのまま街に出る方が良くないと思うんだけどなぁ……

「取りあえず、髪を梳かすからじっとして。」

 部屋にあったノームの櫛を借りてノームの後ろ側にまわる。ノームの髪を梳いていく。

 綺麗な髪だ、触るのが気持ちいい。

「はぁ……いつまでもやっていたいなぁ……」

『むぅ。ユウくん変態っぽいよ?』

「そう?」

『お姉ちゃんもユウくんの頭わしわししたいもんっ。』

「はいはい、終わったらね。」

 すっかり寝癖が取れた。これでよし。

「終わったよ。」

 ノームはおっぱいを押し付けて頭を撫でまわしてきた。

『わしわしー! わしわしー! これでもかー! うぇっへっへ!』

 言った通りこれでもかというくらい撫でまわし続けている、放す気が無いらしい。お腹が空いたんAAAAなかったのか。

 こういう事はあまりやらなかったけど、反撃されず油断しているノームのお尻を思いっきり掴む。

『うひゃぁああああ! ユウくん!? スケベ! ドスケベぇ!』

 ノームの可愛い嬌声が心地良い。そのまま少し揉んでみる。ノームの抱き締める力が強くなった。おっぱいとお尻のダブルの柔らかさが気持ちいい。

『やぁん! もうっ! ダメぇ!』

 うん、歯止めがかけられる間に止めよう。

「ご飯食べに行こうか。」

 ノームのお尻から手を放す。

『もうっ! お姉ちゃんをからかったらダメなんだぞっ!! で、でもっ。もし、ユウくんがもっと触りたいならいいよ? 恥ずかしいから、よ、夜ならだけど。』

 顔を赤面させくねくねしているノームに無表情で手をワキワキさせて見せる。

『変態! スケベぇー!』


『おっ昼っごはーん。ユウくん、何が食べたい?』

 ノームと街に出る。何を食べたいと聞かれても、この国フリッグにはどんな料理があるのかすら、分かっていない。

「店先で美味しそうな物、気になる物があるところに入ればいいと思うけど、ノームが食べたいものがあったらそこにしようか。」

 街を歩きながらお店を見る。国が変わると食べ物も変わるだろうし、見て回らないとどうにもならない。

『いいの? お姉ちゃんはユウくんの食べたいものでいいよ?』

 嬉しいような少し困ったような顔で自分の顔を覗いてくる。

「自分はノームが食べたいものがいいなー。」

 食にこだわりが無いだけだけど、ものは言いようである。

『本当に?』

 ジト目で疑いの視線を送って来る、こういう事は鋭いなぁ……

「本当だよ」

『ふーん。まあ、いいよ』

 神妙な何を考えているか分からないような表情で見つめてくる。普段見せない表情にドキッとする。

『何食べよっかなぁー!』

 元に戻った。はぁ、能天気だ……


『ユウくん! ユウくん! このお店に入ろう!』

 お洒落なお店の前でぴょんぴょんしている。お洒落過ぎてちょっと気が引ける。

『ほらっ、行くよっ! ユウくん!』

 ノームに手を引っ張られて店に連れ込まれる。

「いらっしゃいませ。2名様でよろしいでしょうか?」

『はい! 2名です!』

「席をご案内します」

 2人用の小さ目のテーブル席に案内された。

『灯りがランタンだよっ。お洒落だねぇ。ね?』

 窓からの光を抑え昼間でも少し暗くしてあり、ムードがある。夜になるとランタンをつけて幽かな灯りを楽しむのだろう。お洒落すぎる……

『ユウくん? どうしたの? ボーっとしてるよ?』

 お洒落空間に飲まれていた所をノームに起こされた。

「大丈夫。料理を決めようか」

 メニューを開いた。わぁ、文字しか書いてない……どんな料理かさっぱり分からない……メニューを閉じる。

『もう決めたの!? そんなにお腹空いてたの!?』

 ビックリしたノームが顔を覗き込む。

「違うから。ノームが好きなもの2つ選んでそれを半分こしない?」

 ぱぁっと笑顔が咲いた。そんなに嬉しいのか?

『やった! 流石ユウくん! 大好き!』

 席が向かい合って居なければ、がばっと飛び込んできそうな勢いだ。メニューを睨んでうんうんとひとしきり悩んだ後ノームが顔を上げた。

『決めた! すみませーん!』

 ノームの呼びかけに応じてすぐにウェイターが来る。

「はい、注文をお願いします」

 ノームがメニューを立てて自分に見せないように注文している。

『これとこれをお願いします』

 ニヤニヤしている。楽しそうだなぁ。

「承りました。ごゆっくりどうぞ」

『楽しみにしててね! お姉ちゃんの大好きな料理だから!』

 それノームが楽しみなだけでは?


 料理を待っている間、ノームがじーっと見つめてくる。あまりにも一生懸命に見つめてくるので何かあるのかと気になる。

『ユウくんは、変わったよね』

「変わった? 服は買って無いからいつもと同じだけど」

『もう! そういうことではないよ! 精神的に変わったんだよ!』

「精神的に?」

『そうだよっ。前は鬼気迫る感じだったけど、今は勇者っぽいよっ!』

「抽象的過ぎて全然わからないから」

『……ええ!? 分かってよぉ!』

 ……えぇ。

『んーっと、前は、こうしなきゃいけない! こうでなければならない! って感じだったの』

 なるほど……分かる気がする。おっさんのように優しく正しくなるということに縛られ続けていた気がする。

『今は、とっても勇者っぽいよ!』

「だから、勇者っぽいってどういうこと!?」

『前向きって感じ。お姉ちゃんから見ればねっ!』

 テキトーだー……


「お待たせしました」

 ノームが選んだ料理が運ばれてきた。ピザのような料理の味が違うバージョン? が2つ。

『ユウくん。時代はシェアだよ』

 分けようって言ったのは自分なんですけどね。

『うぇへへ。はい。ユウくん、あーん、だよ』

 眩しい笑顔であーんしてくるが、それ湯気が出ているし、熱くないか?

『あっ、ふーっ、ふーっ、えへへ、お姉ちゃんとしたことがうっかり。えへっ。じゅるり。はい、あーん』

「あ、あーん。あっ、美味しい」

『そうなの!? あーん』

 ノームは目を閉じ口を開けて待っている。はいはい、一つ取って……口にまだ入っているからふーっふーっ出来ないけど、まあ、持ってもそこまで熱くないし大丈夫かな。ノームの口に入れる。

『あっ、熱っ! ふんーっ! あふいっ!』

「はい、飲み物」

 飲み物を渡す。

『ぷはーっ。熱いよぉ! ってこのジュース、ユウくんのだよね!?』

 ああ、自分の渡してしまったのか。

「ごめん、間違えた」

『い、いや、いや、だって間接……キスだよ』

 照れている。

「ああ、あまり気にしたことが無かった」

 おっさん達と居酒屋で食べると小鉢とか分け合うから気にしたことが無かった。そうか、大切なものが失われていたんだな……

『ユウくんが気にしないなら……ってやっぱり無理だよぉ!』

 ジタバタ悶えている。料理が冷めるとお店に悪いし、切り分けてノームの口に入れる。

『んんっ!?』

「美味しい内に食べよう?」

『んんっ!』

 頷いてくれた。


『ごちそうさまでした。ありがとう、ユウくん』

 お店を出た。お腹いっぱいになってくれて良かった。

『ねえねえ? まだ時間大丈夫かな? あの雑貨屋さんに行きたいなー?』

 お昼ちょっとすぎか、明日のことを考えてもまだ時間がある。

「行ってみる?」

『うん!』


 その雑貨屋は綺麗な宝石から、手作りの工芸品など、幅広く置いてある。見てて飽きない。

「ノームはどんな物が好き?」

『もちろん、ユウくんとお揃いの物がいいな!』

 即答か……それもお揃いって、買うこと前提だ。

『あっ! 見て見て! これ、宝石のアクセサリー対になっていて、特別感あるよね! それも可愛い……』

 二つを手に持って睨んでいる。

「買う?」

『まだまだ、全部見てないから。決められないよ』

 ノームはアクセサリーを静かに元の場所に戻した

「そっか」

『これ可愛い。どう?』

 ウサギのような動物がモチーフの小さなアクセサリーを手に取っている。

『でも、これ1個しか無いね。残念。』

 これも元の場所に戻した。お揃いは外せないようだ。


『ああ! これ! 好き!』

 ぶさかわな猫のアクセサリーか。

『ユウくん! これにしよう! これがいいよ!』

 気に入った物が見つかり興奮気味にぴょんぴょんしている。ここは店の中だからね。肩を抑えてぴょんぴょんを止める。

「それでいいの?」

『うん! ユウくんとお揃いー、うぇへへー、うん!』

 甘えん坊の手の掛かるお姉ちゃんだ。


 アクセサリーを購入して雑貨屋を出る。ノームは上機嫌でアクセサリーを抱き締めている。

『おっ揃いー! イェーイ! あっ、お姉ちゃんがユウくんにつけてあげるー、って、ユウくん着ける場所無いね……』

 アクセサリーを渡された。着ける場所が無いから御守りのように持っておくことにしよう。

『あっ! 失くしたら、めっ! だからね。お姉ちゃんとの約束だよ。まあ、ユウくんならないと思うけど』

 どちらかというとノームの方が……言わぬが花か……


『服屋さんだー! 見て行っていい?』

 すぐに服屋に飛び付いていった。

「大丈夫。夕方に帰れば明日まで十分休めるから」

『やった! 服を見に行く機会が無かったから、ユウくんの好みも知りたいし』

 ノームはまた自分の手を引っ張って店に突入した。

『わぁぁぁ。白いワンピース……いいなぁ……』

 入店一番に白いワンピースを手に取り眺めている。でも、試着する様子も無い。

「着ないの?」

『だってこういうのお姉ちゃんに似合わないし……』

「そんなこと無いと思うけど?」

『だって胸が邪魔でこういうのは……ね……』

 豊満な胸が邪魔になるとは……そういうこともあるのか……

「お客様、こちらはいかがですか? 胸周りを調整できますよ」

 店員が同じような白いワンピースを一つ持って来てくれた。

『え、え、いいの?』

「彼氏様も期待に満ちた目をしていますし、試着しませんか?」

 あぁ、この店員さん上手い……買うことになりそうだ。

『え!? そうなの!?』

「え、まあ、うん、そう」

『うん、試着します』

「では、ご案内しますね」

 店員さんがノームに見えないように自分に向けて親指を立てていた。親指を立て返した。


 試着室から出てきた。

『どうかなぁ? 恥ずかしいけど、ユウくんになら見せても……』

 白いワンピースと白いサンダルを身に纏ったノームがもじもじしている。

 清純な白いワンピースにノームのグラマラスな上乳が強調されている。これは……尊さの境地なのでは!?

 余りの可憐さに目眩がする。

『ええ!? どうしたの?』

 ノームが駆け寄ってきて支えられた。

「いや、余りの可愛さにやられた……」

『も、もう! 冗談ばっかり……お姉ちゃん怒るぞぉ!』

「目眩は冗談だけど可愛いのは本当。可愛いし綺麗だし可憐だよね」

 ボッと音を立てて顔から火が出そうなくらい真っ赤になり今度はノームがフラフラし始めた。ノームの体を支える。

「大丈夫?」

 腕の中で支えられているノームは勢いよく何度も頷いている。

「店員さん、このワンピース、いくらですか? あと、着て帰れますか?」

「ええ、もちろん、着て帰ってくださっても大丈夫です。良かったですね。彼女さん」

『は、はわわ、いいの?』

「もちろん!」

 お金を払う。ノームが着ていた服は袋に入れてもらった。

「お買い上げありがとうございます」


 袋を持ってお店を出る。

『ね、ねぇ、ユウくん』

 ノームに呼び止められた。

「どうかした?」

 街を行く人々がノームを見ていた。

『うん、腕に抱き着いていい?』

「え? うん、いいよ」

 ぎゅうっと腕に胸を押し付けながら抱き寄せられた。

『お姉ちゃんはずーっとユウくんのものだからね』

 ああ、周りの人の視線が嫌だったのか。まあ、不躾な視線だし。

「AAAAあ、このまま帰ろうか」

『うん!』

 腕を絡ませながら帰る。

『お姉ちゃん、ユウくんの腕が好き』

 いきなりビックリするようなことを言いだした。

『ユウくんはみんなを助けて、みんなを守って、とっても頑張ってるよ。そんな頑張っている姿はとってもとってもカッコいいよ。お姉ちゃん大好き』

「もし、出来なくなったら?」

 意地悪な質問かな……

『そうなったら今度はお姉ちゃんがユウくんを助けてあげるよっ!』

 自信満々の満面の笑みだ。

「そっか。それならその時は甘えようかな」

『任せておいて! 何たってお姉ちゃんだからねっ! あっ!』

 ノームがつまづいた。ノームを庇いながら二人でこける。ノームの下敷きになった。

『ご、ごめんねー、ユウくん』

 自分の上で顔に胸を押し付けながら謝っている。これは、頼りにならないかもしれない。

「まあ、買ったばかりの服が汚れなくて良かったよ」

『もう! 違うでしょ! ユウくん、怪我してる』

 腕に擦り傷が出来ていた。大した傷ではない。土を払う。

『ダメだよ。傷が悪くなっちゃうよ。水を貰ってくるから。待っててね』

 ノームはすぐに水を貰ってきて傷を洗う。そして、ハンカチで傷を縛った。

『これで大丈夫だよっ!』

「手際がいいね。ビックリした。」

『えへへ、お姉ちゃん、これだけは得意なんだ』


 水を貰った時に借りた器を返し、帰路に就く。日が傾いている。

『今日は楽しかったー、ありがとう、ユウくん。こんな可愛い服まで買ってもらったし』

 ノームと腕を絡ませながら歩く。腕に胸が当たって柔らかい感触が気になる。

「楽しんで貰えたのなら良かったよ。自分も楽しかったよ。デート」

 デートという言葉を出すと顔を真っ赤にするノーム。

『う、うん、また、お姉ちゃんとデートしてくれる?』

「もちろん」


 セレーナ姫とソフィアの好意で城の来賓室に泊めてもらっている。夕食が出来たのでノームを呼びにくることになった。

『うぇへへ、にゃあにゃあちゃん、ユウくん、デート楽しかったって』

 部屋から声が聞こえる。にゃあにゃあちゃん? あのぶさかわ猫のアクセサリーに名前を付けたのかな、この世界でもにゃあって鳴くんだ。

『ユウくん、優しいよね。お姉ちゃんなんかと居て、楽しいって言ってくれるから……』

 アクセサリーに話しかけているようだ。はぁ、仕方ない。ノームの部屋のドアを開ける。

「ノーム」

『う、わぁぁぁっ! ユウくん!? 女性の部屋に入るときはノックしないとダメなんだぞ!? 怒るぞぉ!?』

 ノームは下着姿でベッドの向こう側から怒っている。ベッドから転げ落ちたな。

「怒っているのは自分だよ。自分のことを信じてくれない? 心から楽しいって思って言っていたのに」

『聞いてたの!? 変態! スケベ!』

 ノームの下に歩み寄る。そして、抱き締める。

『え!? え!? 何で!?』

「信じてくれるまでずっとこうすることにした」

『お姉ちゃんの負け……大好き! すっごく好き! 世界一好き!』

 ノームに押し倒される。


 ……ベッドの天蓋の柱に後頭部をぶつけた。ああ、視界がフラフラする。

『ユウくん? ユウくん! ちょっと待って! こんなときに!? ユウくーん!』


 数分間気絶していたらしく、気付いたら正座させられているノームと自分が帰ってこないことを不審に思い見に来たシルフが居る。ノームと2人でシルフの説教を受けることになった。

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