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43話 純真な正義

『朝帰りなんて良い御身分ねー? ダーリン?』

「えっと、その……」

 サラマンダー、ウンディーネ、ノームの3人に玄関で囲まれ正座させられている。

『いくら安全そうな場所でも襲われたら一溜まりもないって考えないかな? ユウ?』

 数日前に変な奴に襲われているからごもっともである。

『ユウくんからも行く前に一言あってもいいとお姉ちゃんは思うんだけどなぁー』

 その言い分も一理ある。

『そんなことより早くリビングに集まってください』

 シルフがリビングから呼んでいる。

『『『そんなこと!?』』』

 シルフが3人の怒りにの炎に油を注ぐ、絶対に勝ち誇った笑みを浮かべているだろうな。


『これをみてください』

 全員リビングに集められる。シルフが透明な細い瓶を見せびらかす。中に透明な何かが入っている。

「それは?」

『私です』

 シルフが瓶を振る。

「は?」

 理解できない。

『私の力が入っております。エンチャントと言えば分かりますか? これがあればと私達が離れていても短時間ですが力を付与できます。要は一人で戦うことが出来ます』

「何故そんなものを?」

『前回の戦闘で私達は何もできませんでした。その反省です』

『ユウにそんな危ないことをさせるの!?』

『私は賛成かな。ダーリンなら絶対勝てるし!』

『お姉ちゃん的には……うーん……賛成……? 身を守る手段が増えるのはいいことだよね……?』

『そういうわけで賛成が3で決定ですね。ボトルを渡しますので随時ご主人様に渡すように』

『むぅ……ユウ! 危なくなったらすぐにボクを呼ぶんだよ! 分かった?』

 一人2本ずつ、計8本のボトルを渡された。これを使うだけで疑似的に精霊の力を得ることができるとは、凄い代物だ……


『昨日ダーリン達が遊んでいる間にネクサスさんが来て、モニカちゃんをアスタルトに帰す算段がついたって言っていたよ。今日にも一緒に案内してくれる人が来てくれるって』

「それは良かった」

 モニカの親も心配しているだろう。

「あの、実は私もそろそろ一度帰って姫に報告しなければならないので、付いて行っていいですか?」

 ソフィアとモニカもリビングに集まってきた。

「なら、全員で行こうか」


 玄関ドアを叩く音が聞こえる。案内人が来たようだ。

「すみません! いらっしゃいますか?」

 玄関ドアを開けるとそこにはセツナ君が立っていた。

「えっ!!? 何で!? セツナ君!?」

「あの、僕が案内することになっているんです。ユウさん」


「皆さん準備は出来ましたか? 長い道のりにはなりますが、何度か街に寄って休憩を挟みますので、何かあったときは無理せず言ってください。一人の無理が全体を遅らせることになりますから」

 セツナ君って結構正論を叩きつける方だったのか。

「どうやって目的地まで行く予定なんだ?」

「道が悪いので馬車は使えません。申し訳ないですけど徒歩なんです」

「大丈夫です! そんなに遠くありませんから!」

 ソフィアの自信満々に言っている。遠くないのかぁ良かった。

「えっ? いえ、やっぱり何でもありません。行きましょうか? ユウさん」

 不自然な反応だ。何か隠していそうだ。


「ねえ? 流石におかしくないか? かなり歩いたけど、一向に街すら見えないんだけど」

 朝に屋敷を出て、日が真上まで昇っている。森の中をひたすら歩き続けているが、先には木しか見えない。

「うっ、すみません……一人の時は走っているのでこんなに時間がかかるものだと思いませんでしたーっ!」

 えっ!? 走ってるの? 森で足場が悪いのに!? そっちのほうが驚きだよ。

「森を出ると街がありますのでそこで休憩にしましょうか」

 セツナ君が苦笑いで気を使っている。


「着いたー!」

 鬱蒼とした森を抜けると小さな街があった。

「ユウ兄、マッサージする?」

「モニカちゃん、お疲れ、よく頑張って歩いたね」

 頭を撫でると嬉しそうに頭を押し付けてくる。

「あはは、本当の兄妹みたいに仲がいいですね。次の街までは私がおんぶしてあげますからね」

 ソフィアは元気過ぎない?

『ダーリン! 私も!』

 サラマンダーは歩いてないんだけどなー。仕方ない。

「ユウさんはいつも仲良いですね。少し羨ましいです」

 セツナ君?

「僕、あまり友達が居ないんですよね。ユウさんは友達がたくさん居そうで羨ましいです」

 輝かしい笑顔で期待に満ちた視線を送るセツナ君。凄く心が痛い。

(僕はユウ君の友達だよ!)

 ネクサスさんが親指を立てている姿が思い浮かんだ。帰ってネクサスさん。

「僕は前の世界では病院から出たことが無くて友達が居なかったんです」

 高校生にしては小さい方だとは思ったけど、その言い方は、まさか、生涯、16年間病院から出たことが無いってことなのか!?

「父と母と会えないことはやっぱり寂しいですけど、食べ物に味があって、運動もできて、生きるために機械に繋がれていなくていい、こんな世界に来ることが出来たことは良かったって思っています。後は、友達です!」

 前向きというか何というか。それだけ暗い過去があればもっと暗い性格になりそうだけどなぁ。

「……ユウさん。アルベド様は悪い人ではないんです。ただ、ちょっと国を優先していて気がまわらなかっただけなんです。だから、その……」

 歯切れが悪くなる。

「自分はアメジストに従うだけだからさ。でも、戦わなくて良い道があるなら、そっちに行きたいと思うけどね」

「やっぱりユウさんは正義のヒーローみたいですね。本に出てくるヒーローそっくりです」

 それは、そうでしょうね。漫画やラノベのような言い回ししましたから。

「ユウさんの武士道精神、やっぱり日本には侍が居るのですね。母から聞いた通りです」

「はぁ!!? 侍!? いくら病院に居たと言っても現代日本に侍は居ないでしょ!?」

「……そうなのですか!? 父もずっと信じていましたのに!」

「どういう一家だ、それ!?」

「セツナ君、自然な金髪、もしかして、純日本人ではないのか?」

「あ! そう言えば言っていませんでしたね。母が日本人のハーフなんです」

 お、おう。そうだったのか。自分は何でこんなことを聞いているのだろうか。いや、真に友達になる為か。

「次はユウさんの事が聞きたいです!」

 キラキラした目で聞いてくる。みんなが取り囲み逃げ道が無くなった。話すしか無いのか。


「はあ、そんなことがあるんですね」

 一通り話すことになってしまった。気恥ずかしい。みんな何とも言えない顔をしている。

『大丈夫! ユウにはボクがついているからね!』

『私だって居るもん! ね? ダーリン!』

「分かったから、くっついて来ないで」

「時間ですね。今から出れば夕方には目的地に着く予定です。行きましょう」


「歩くとやっぱり暑いなー」

 適宜水筒の水を飲み歩き続ける、日が傾いてきはじめた。

「もう少しですね。夜になる前に着きそうで良かったです」

 街からまた森を通っているので夜になる前に着くことはとてもありがたい。

「皆さんを姫に会わせることがとても楽しみです!」

 ソフィアは本当にモニカを背負って歩き続けている。凄まじい体力だな。

「もうすぐ森を抜けますよ、抜けたらすぐそこです」


 ドゴォンッ!!

 爆発音が聞こえた。嫌な感じだ……

「っ!! ユウさん危ない!!」

 セツナ君のタックルを食らいセツナ君と共に後ろに吹っ飛ばされた。元居た場所には光る模様が入っている形の整えられた岩があった。自分達よりも明らかに大きい、セツナ君が居なければ紙のように薄くなっていたかも……

「煙の臭いがする。ユウ兄」

 自分には臭いが分からないが嘘を吐くとは思えない。ますます嫌な感じがする。

「注意してください! この岩から魔力を感じます。もしかしたら……」

 セツナ君が話し終わる前に岩が動き出した。

「これは……ゴーレム……というのでしょうか?」

 ゴーレムが立ち上がった。ボロボロで片腕が無いが2階建ての一軒家くらいの大きさがある。ゴーレムが腕を振り上げた。

「来ます!」

 ゴーレムは振り上げた腕を叩き下ろした。地面が凹んでいる。もし、当たったら……いや、考えないでおこう。

 何が起きているのか分からないが、まずはこいつを倒さなければ。

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