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40話 偽神龍デミウルゴス=ヤルダバオート

 行く、と言ったものの何があったのか状況確認はしなければ。

「ことろで何でそんなにボロボロなんだ?」

『はぁ、ユウが居ない間ニーナを守りながらドラゴンから逃げてたんだよ?』

 ウンディーネがニーナを抱きかかえている。ニーナはヴェロニカが居なくなって泣いていた。ヴェロニカもドラゴンに同化されてしまったか。

「なるほど。ドラゴンは周りと同化するから奇襲されるってことか……」

 まあ、もう手は考えてあるんだけど。

「ノーム。行こう。ドラゴン討伐だ」

『もっちろん!』

 大地から周囲の建物を優に超える大きさの土の巨人の上半身が生える。巨人が空を乱打する。巨腕が見えない壁をひたすらに殴っていく。

『えっと? ご主人様? 頭は大丈夫ですか?』

 ガチで心配された。まあ、分からなくもない。

「もちろん。大丈夫、意味があるから」

 でも、少しショックだな。信じているのに。

「そろそろかな」

 巨人が押し潰されるように崩壊していく。ドラゴンのお出ましだ。

「シルフ! サラマンダー! ドラゴンは今巨人の上だ!」

『ダーリン、本当に頭がいいね!』

 まあ、上空の方が視界がいいからね。

 透明だったドラゴンの体に色が戻っていく。鱗の継ぎ目が無く艶のある黒い蜥蜴のような体に小さな羽がついている。

「しゅるるるるっ!!」

 鳴き声まで蜥蜴みたいだ。

「主が降臨なされた! ぐああああ!」

 信者がドラゴンの尾に吹っ飛ばされた。はぁ、頭がおかしい。

 バキッ!!

 土の体と地面にひびが入り、木が倒れた。

「ノーム。何が起こったか分かる?」

『うん……お姉ちゃんの魔法をそのまま使われた、魔力もお姉ちゃんのものと一緒だった……』

 なるほど……透明化もヴェロニカの能力と同じなら、こいつは……何らかの方法で能力を得ているのか?

「しゅるるっ!」

 ドラゴンの影が左右に飛んだかと思うとドラゴンが3匹に増えていた。次は分身か、多芸だなこの蜥蜴。一匹一匹羽や喉の動きが違う、単純に姿を投影させているわけでは無さそうだ。左右の二匹が飛び掛かり中央の本体が吠えた! 地面が崩れ、岩や土が浮き始めた!?

「シルフは2体の対処! サラマンダーは魔法を撃ってくるあいつに向けて攻撃して! ウンディーネはニーナを守って!」

 シルフの暴風が飛び掛かる2体を吹き飛ばす。木をなぎ倒し仰向けに倒れ消えた。

 ウンディーネがニーナを抱えたまま崩れる範囲から逃げ切る。

『行っけーーーー!!!!』

 サラマンダーが本体に巨大な焔の矢を撃ち込む。

 焔の矢がドラゴンの数メートル前で霧散していく。同じような光景を見たことが有る、魔法障壁か……


「しゅるるるる!」

 鳴き声と共に石や火の粉が混じった嵐が巻き起こる。長引けば長引くほど強くなっていく……短期決戦にしたいが……そうさせてくれるほど甘くは無いな。

 ドラゴンは何匹にも分身し自分達を囲んでいる。

「攻撃が来る! 注意して! ウンディーネはニーナに集中して!」

 ドラゴンが口を開け光を放ち始めた。熱線が一点に向かって放たれた。狙いは自分か……この蜥蜴、知能があるな……

『ユウくん!』

「任せる!」

『分かったよ!』

 熱線を土の壁が防ぐ、その間に穴が開き熱線の当たらない位置まで降りる。壁が光り輝き、熱線が壁を貫通した。

 どうするべきか……倒して自分の体は戻ってくるのか……

「しゅるる!」

 全匹が飛び掛かって来るか。追い詰めたと思ったのか? ……チャンスだ!

「みんな!」

 ドラゴンが真上に来た。

「今だ! サラマンダー!」

『うん! 燃え上がれ! 私とダーリンの愛の焔! ブレイズアーーップ!!』

 ハート型の焔がドラゴンを待ち構える。ドラゴンは魔法障壁を展開するが障壁ごと焼き尽くしている。

 焼け焦げたドラゴンがバタバタ降ってきた。蜥蜴が降っているみたいで気持ち悪いな……

「しゅるるるるるる!」

 本体は残っていたか……何なんだろうか、この違和感……ああ、言葉を話さないからか。獣のように見えて人間のように知能があることが違和感の原因か……


 そろそろ方を付けよう。確実に一撃で決めればいい。

「ノーム。上に戻ろう。見下されているようで腹が立つし。それに策は見つけたから」

『分かったよ! ユウくん! 上に参りまーす!』

 ドラゴンと同じ高さまで地面が戻る。ドラゴンは舌なめずりをしている。長い舌も蜥蜴っぽいな。

「しゅるる!」

 ドラゴンの口から炎の渦が出来、周りを焼き尽くす。

「サラマンダー」

 一瞬で炎が消える。焔の精霊相手に炎で勝負とはね。

「ウンディーネ」

『やっとボクの出番? 遅いよ、もっとユウにボクの活躍見せたかったのに』

 ドラゴンに波が襲うドラゴンは波に襲われても動じない。だが、これでマーキングが出来た、透明になろうが分身しようがすぐに分かる。


「ノーム。止め行くよ」

 容赦なく叩き潰してやる。

『ユウくん、悪い顔してるぅ……お姉ちゃんもぷんっ!』

 悪い顔ってどういう顔なんだろうね、ぷくっと頬を膨らませるノームが可愛い。

 土と岩で出来た巨大な腕が出来上がり、見えない壁、いや、天井に届いた。正直言うと腕の一番上まで見えない。圧倒的な物量なら押し切れるだろう。たぶん。


「潰れろ」

 巨腕の掌がドラゴンに迫る。ドラゴンは上を見て身震いをした。

「シルフ」

『かしこまりました。ご主人様』

 こちらに飛びかかりながら逃げようとするドラゴンを強風が押し戻す。

「しゅるる!?」

 風が止んだ。どんどん吸収し続けている。だが、もう遅い。

 ドゴォンッ!!

 耳を劈く轟音と砂埃が巻き起る。巨腕がドラゴンを押し潰した。

 ゆっくりと巨腕を上げドラゴンの様子を確認する。血でぐしゃっとなってなくて良かった、ドラゴンは白目を剥いて伸びている。


「お疲れ様。試練は見事突破。勇者として一皮剥けたのではないか?」

 暢気にアリアドネが姿を現す。冷たい視線を送ると喜びそうだから普通にアリアドネを睨む。

「ああ、その刺さるような視線、もっとぉ……」

 はぁ……言うことは無い。

「興奮している場合ではなかった、取りあえず私がドラゴンを調べる。休憩しておけ。勇者様」

 アリアドネは上機嫌でドラゴン調査に向かっていった。その間に少し休憩させてもらおう。


 それにしても高層ビルのような大きさの土の腕だ、ここまでコントロールできるとは、我ながら驚きを隠せない。右手の指を動かすと同じように巨腕の指も動く。体に合わせるとコントロールし易いということはあるけど……ここまで出来るものなのか。

「驚いているのか? その力に。精霊の力は見方によっては無尽蔵の力、ちゃんとコントロール出来れば、何者よりも強くなれる。ロマンがあるだろう?」

 ドラゴンを調べながら話しかけてくる。

「ロマンねぇ……」

 ニーナを泣かさない為に騒いでいる彼女達、妙に安心感が有ると言うか、一緒に居ないと落ち着かないと言うか。

『ダーリーン? 頬が緩んでるよー? ぷにぷにしちゃうよー? えーい! ぷにぷにー! 痛っ!』

 まだ土の体ですからね。硬いと思う。


「そろそろ何とか出来そうだ。その体にお別れは済んだか?」

 お別れは済んだかって聞くか?

「いくぞぉ。えいっ!」

 えいっ!? いつもは威厳ある話し方をしているのにたまにおかしくなるなこの人。

 体が引っ張られる!? 

「やあ。元の体に戻った気分は?」

 目の前にアリアドネがいる……はぁ!? 何が起きた!?

「元の体の方が魂との結び付きが強いから一瞬で戻っただけだ。焦る必要は無い」

 なるほど……頑張って納得しよう、科学や常識では説明でき無さそうだし。

「う、うーん? あれ? ユウ?」

 足元から声が聞こえて足元を見る、ヴェロニカや村人達が倒れていた。

「大丈夫か?」

 ヴェロニカはピクピクするだけで立ち上がる様子が無い。

「腕が痛くて動かないー!」

 そういえば自分も左腕に力が入らない。どうしようか?


「おい! 動くなよ! 動けば消し飛ばす。一回しかちゅーこくしねーからな。 よくやるよ。偽神龍デミウルゴス=ヤルダバオート。そんなもん倒すなんて」

 そう言い放った謎の少女は魔力を目に見える形で溜めながら自分達に突きつけていた。

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