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33話 疾走する勇者の思い

 屋敷で一夜を明かした。今日は忙しくなりそうだ。まずは、ヴェロニカの下に向かおう。

 依頼で行った村に走る。こんな状況じゃなかったら呑気に花を見ながら談笑して歩きたいのに。体力が無いことも恨めしい、現代人は便利に溺れ過ぎなんだ!

 息を切らしながら村に辿り着いた。

「お、何時ぞやの勇者様。用件は分かっています。ついて来てください」

 村人が先導する。ちょっと待ってくれ足がもう動かない。

「ニーナ様とヴェロニカ様はここにおられます」

 一軒家に案内された。ここに二人が居るのか。ノックしてみる。

「待ってたよー。入って入ってー!」

 ヴェロニカの声が聞こえる。入るとヴェロニカがニーナに勉強を教えていたようだ。

「いらっしゃーい。お茶でいい?」

 お茶をだされ椅子に座る。

「ありがとう。でも、どうしてこの村に?」

 ここより王都の方が便利だ。もしかして、アルベドに……

「この村の長老はケレース王の竹馬の友ですぐに助けてくれたんだー、それで、そのままお世話になっているんだー」

「そうだったのか」

 良かった、ヴェロニカ達も巻き込んでいなくて。

「大変なことになったねー。ごめん、あの時何も出来なかった。でも、戦闘以外で手伝えることが有ったらすぐに助けに行くよ」

「ニーナもお兄ちゃんを助けるー!」

 ヴェロニカにニーナまで……

「なら早速いいかな? ケレースに魔王が来たって前に言っていたよね? その時のことを詳しく教えて欲しいんだ」

 ヴェロニカが困った顔になった。

「うーん、私その時まだ召喚されていなかったから少ししか何が起きたのか聞いてないんだ、でも、分かる人がいるかもしれない。ちょっと行ってくる」

 ヴェロニカは飛び出していった。

「居たよー!」

 今出たところだよね!?

「この人! 当時は護衛でその場に居たんだって」

 見るからに屈強な大男が入ってきた。

「勇者様のお役に立てるのなら何でも聞いてください。勇者様にはニーナ様を助けていただいた恩がありますから」

「ありがとうございます。では、魔王はどんな人物でした? 魔王は暴れました? 魔王の目的は何でしたか? 魔王は何をしました?」

「質問攻めだねー」

「お願いします!」

「はい、魔王はアルベドと名乗っていました。目的はケレースに属国になって欲しいとの事でした」

「それで? それで?」

「普通に交渉して帰っていきましたよ」

「交渉はどうだった?」

「えっと、かなりケレース側に寄せた交渉になっていたと思います」

「はぁ、ありがとうございます」

 アルベドには聡明さと冷酷さの二面性が見られる。後は、魔王を封印したと言っていたネクサスさんにも話を聞いておきたい。

「役に立てたかなー? あのさ、一人で思いつめないで周りを頼ってね。いつでも力になるから」

 心配そうな顔をされる。

「今頼ったばかりでそれを言う?」

「言っておかないと暴走しそうだから」

 急に冷めた目になる。

「まさかー、暴走なんてするわけが……」

「朝早くから全力疾走で人の家に凸する奴が暴走してないってー?」

「ってー?」

 ニーナがヴェロニカの真似をしている。

「してない、してない。じゃあ、忙しいから行くよ。ありがとう」

 ヴェロニカ達の家を出た。


 さて、帰るか、帰り道を見る、王都が見えない。遠すぎて辛い。

『もう、ご主人様。手を繋いでください。一気に王都まで飛ばしますからね』

 ここから飛ばすって? まだ、王都も見えていないのに。

 シルフに手を掴まれる。


 鳥が隣を通っていった。はぁ!? 待って! 鳥!?

『かなり高い所を通っているので息を止めておいた方がよろしいですよ、ご主人様』

 それは飛ぶ前に言って欲しいけどね。まあ、走るよりは便利か。

『もう着きますよ』

 あ、早い。王都の手前でシルフが空中で自分をお姫様抱っこし優しく着陸する。

「うわっ!? 何だあれは?」

 行商人に見られてしまった。恥ずかしい。

「シルフ。ありがとう」

『いえ、構いません。ご主人様』

 顔がこれ以上ないほどにやついてるけど不問にしよう。


 人だかりが出来ている、王都に入らず立ち止まっている人いるのは珍しい。煙が出てる、火事かな。人混みをかき分け何が起きているか見に行く。

 赤い鎧が燃えていて、その先に包帯をし体に焦げ跡があるジュンが居た。周囲の建物も燃えている。

「おい! 大丈夫か!?」

 声を掛ける。詳しい状況が聞きたい。

「来るな! そいつは敵だ!」

 赤い鎧が振り返り剣を向けてくる、剣から炎が吹きあがる。炎が自分目掛けて一直線に襲ってくる。

 ウンディーネが目の前に現れ、水の壁で炎を止める。

『ボクのユウに指一本触れてみろ! お前をぐちゃぐちゃにしてやる!』

 ウンディーネがご立腹だ。水の壁が水流となり今にも襲い掛かりそうだ。

「おい。周りの鎮火を急げ。こいつの相手は俺がする」

 同じ騎士団所属だから自分の方が下っ端になるのか、大人しく指示を聞こう。

「ウンディーネ、周りの火を消して欲しい」

『ユウがそう言うなら聞くよ』

「ありがとう。ウンディーネ」

 ウンディーネの頭を撫でる。

『うん』

 少し不満げだ。

 ウンディーネはその場から放水し消火した。一安心だ。じゃあ、観戦させてもらおう。

「何やってんだ!? 早くどっか行け!」

「観戦だけど」

「ちっ! 巻き込まれても文句言うなよ!」


 ジュンの能力は毒、それ以外は何もわかっていない。何をするのだろうか。

「退かないってのならぶっ潰してやるよ!」

 ジュンの背から緑色の液体が沸き上がり、龍の形になった。みんな龍が好きだね……今度から龍は止めようかな。

 龍が赤い鎧を襲う、赤い鎧も剣と炎で応戦するが簡単に飲み込まれてしまった。あっけなく終わってしまったか。

「いや、凄いね。流石」

「馬鹿か、てめぇは、まだ終わってねぇよ。」

 龍が破裂し中から出てきた。どうも相手と相性いいと油断してしまうな。

「ふわぁぁ、それで、どうするつもりなんだ? 毒効いてるのこれ?」

「いや、鎧の炎で消毒されてる。ちぃっ!」

 一際大きな舌打ち、相性悪く苦戦しているな。

「これでくたばれ!」

 三つ首龍になった。問題は首の数じゃなくないか? 力押しでどうにかなるものなのか?

 赤い鎧に毒龍が巻きつく、炎で消毒されるまでに毒が届けばいいが。

 爆発し、辺りに毒がまき散る。

「これはダメそうだな」

 相性の悪さをカバーする方法を考えようとしないのは良くないな、追い込まれて周りが見えていない。

「ウンディーネ、割って入るよ」

『分かったよ。ユウ』

「その必要は無いよ。だって」

 この軽く調子のいい感じの声は。

「僕が来たからね」

 げぇっ!? ネクサス!?

「そこの赤い鎧の君、この国に何の用かな?」

 赤い鎧はネクサスを見るや否や逃げ出した。

「あっ!? ちょっと!?」

 ネクサスが追いかけようとした矢先にジュンが倒れてしまった。その隙を突かれ赤い鎧は王都から出ていった。

「ジュン君の手当てをしないとね。あの鎧は今は手出しできないね」

 鎧の居た場所で何か燃えている。火を払い拾う、これは紋章か? 

「それ、僕が預かるよ」

 取られてしまった。

「それは?」

 期待はしていないけど一応聞いてみた。

「帝国の国章だね。わざわざこんなものを落としていくなんてね。何が目的なんだろうね?」

 わざわざ証拠を残していくわけが無い、これは罠か。

「僕はジュン君を連れて戻るから」

 聞きたいことあるのに、仕方ない。ついて行こう。


「僕に用事があるんだよね?」

 ジュンを医務室のベッドに寝かせある程度治療を終わった。ネクサスさんから話かけてきた。

「聞きたいことがあるんです」

 医務室から出ながら話す。ここで話すと怪我人に悪い。

「僕に答えられることなら」

「魔王、アルベドを封印したときのこととアルベドのことを教えて欲しいんです」

「分かったよ。団長室に来て。他の人に聞かせるような話じゃないからね」

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