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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
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北の大地ノース・シーへ

第7章 北の地ノース・シー

僕は、ボーラ王国、カラスミ国王陛下の御在位60周年祝賀式典に、隣国より献上の品としてこの地にやってきました。

『クラウン・イーグル』それが僕の種族で、鳥類の王と言われ、王様はたいそう気に入りました。

僕は王様の名前のふた文字をもらい『カラ』と、名付けられました。

鳥かごは大きく雨風もしのげるし、食べ物や飲み水もじゅぶんにあり、快適でした。

それでも鳥かごの外に見える青空を見ると、もやもやとした気持ちになるのでした。

そんなある日、僕のところへ一羽の大きな鳥がやってきました。

鳥さんは僕を見ると、ちょっと驚いたようですが「やあ」と挨拶をくれました。

僕も初めて見る同類に嬉しくなり近寄って行き「僕はカラ」と、言いました。

大きな鳥さんは「俺はトビ、君は何でこの中にいるんだい」と、言いました。

僕は「わからないよ。生まれてからずーとだよ」と、言いました。

「じゃ、大空を自由に飛んだこたがないのかな?」

「うん、ないよ」

「飛びたいと思わないかい」

「思ったこともないよ」

「君のそれはなんだい。僕のこれは大空を自由に飛ぶためのものさ」と、翼を広げて見せました。

僕は羨ましいのと悔しいのとで

「ここにいれば、雨が降っても強風が吹いても平気だし、美味しいものがいつでも食べられるよ」と、言いました。

「けっ、つまらない奴。俺たちはな、大空を自由に飛んでこそ翼を持つものなんだ。雨がなんだ、強風がなんだ、ちょっとくらい食べられなくったって、自由に飛ぶことには変えられないよ」そう言って、去って行きました。


あれから幾月過ぎたでしょうか、また鳥さんがきました。鳥さんは「カモメ」と、言いました。

カモメさんは、僕に海を教えてくれました。

海は大きな水たまりで、見渡す限り水、水、水だそうです。僕の知っている水といえば、目の前にあるカップに入っている水しか知りません。まるで想像できません。

その水たまりには、大きい魚や小さい魚が沢山泳いでいて、人間は船という乗り物で沢山のお魚を取るそうです。そして、カモメさんたちはすこしおこぼれを頂戴するそうです。

話を聞いていると海が見たくなりました。

カモメさんは海が見れるといいねと言って、去って行きました。


その日から幾月たったでしょうか、鳥さん?がまた来ました。なぜ?かというと、丸い顔で目が二つ並んでいるからです。

僕は尋ねました。

「君は人間なのですか、鳥さんなのですか」

「わしは『フクロウ』という鳥ですよ」と、言いました。

フクロウは僕に尋ねて来ました。

「これは君のウロかね」

「ウロって何?」

「木にあいた穴だよ」

「よくわからないけどここは僕のだよ」

「すごいな、こんな立派なウロ見たことないぞ」

僕は褒められて嬉しくなりました。

「ありがとう」

「ところで、どうやって出入りしているのだ」

「小さい時に入ってから出れないんだ」

「確かに小さい時なら出入りもできるが、大きくなったら無理だな。お前もアホだな」

僕は今度、バカにされて悲しくなりました。

「あのう僕、外の世界知らないんだ、教えてほしい」

「わしの見ているものでいいか」

「うん」

「わしは大きな大きな木のウロを住処にしている。ここより広くはないが、出入りも自由にできる。そこには人間が作った神社があってな、祭りがあるんだ。人が沢山集まって、夜でも明るくて、賑わっている。わしはそれを住処から見るのが好きなんだ。君にも一度見せてやりたいよ。きっと気にいると思うよ」

そういうと僕も見て見たくなりました。

「それからな、わしの住処の横には川があるんだ」

「川って何?」

「川ってのは、細長くって、水が流れているところだよ」

「海とは違うの」

「違うよ。海ってのはでっかい水溜りで他は何も無いけど、川には周りに草があったり、木があったりするんだ。それにわしでも足がとどくほど浅いところもあり、お魚を簡単に獲れたりするんだ。他にもいろんな動物がいてな……」

フクロウさんは嬉しそうに滔々としゃべって去って行きました。


僕の心は、外の世界が見たい大空を飛びたいという気持ちで、張り裂けそうになりました。日に日に募る感情をどうすることもできませんでした。

夜空に向かって、何度も何度もお願いしました。

ここを出て、自由になりたい、大空を飛びたいと……。


ああなんて気持ちいいんだ、これが大空を飛ぶということか。

眼下に細長い水の流れが見えてきました。あれが川だね。川の横に建物がありました。そこにはたくさんの人が集まっていました。あれが祭りか。確かにフクロウさんが言ったように面白そうだ。

それから、海の方へ行きました。本当に大きな水溜りです。高いところから見ているのに先が見えません。

あの小さな木葉みたいなのは船ですね。周りに飛んでいる鳥さんには見覚えがある、カモメさんだ。

僕はさらに高くへいくと、くるくる回って飛んでいるトビさんを見つけました。近くにいるトビさんに「やあ」と言ったら「やあ」と返事してくれました。

僕は嬉しくなりさらに高くへ高くへ飛びました。ああ本当だね、鳥さんにとっては飛ぶことに変えれられるものなんてないんだ……。


翌朝飼育係の人が来て、地面に、飛んでいる姿で死んでいるカラを見つけました。とても幸せそうな顔をしていたそうです。


ビリーは、何百回、何千回読んでボロボロになった絵本をそっと置き、目を閉じた。鳥さんには寿命があって、尽きた時、自由を手にいれた。

僕はどうだろう、魔王の子として生まれた僕には、寿命なんてないにも等しい。未来永劫この牢獄で閉じ込められ、来もしない寿命を待つなんて、気が狂いそうだ。お願いだ、誰でもいい、助けて、助けて、僕をここから出して、涙が止めどなく流れた。

その時牢獄の扉が開き、手が差し伸べられた。

僕は大声で泣きながら、赤髪の少年に抱きついた。


「ベリアル」タイポイの怒気を含んだ声が城内に木霊した。

「タイポイか」冷たい応えだ。

「もう、友と言ってくれないのか」タイポイは悲しそうな声で言った。

「なぜ、人族を友と呼ばなければいけないのだ」

「昔は、俺を友と呼んでくれたじゃないか」

「そうだったか」

「お願いだ、正気に戻ってくれ。人々が苦しんでる、昔のお前なら……」

「昔の俺だったらどうだというのだ。人間なんか、クソの役にも立たない、虫けらじゃないか。いや、虫けら以下のゴミでしかない。ただの邪魔な存在にしか過ぎないではないか」

「黙れ、ベリアルそれ以上言うと」と、言って、剣に手をかけた。

「だから俺は人間が嫌いだ。何かといえば武力に訴える。そうして俺の友、ルシファも殺したのだろう」

ルシファの一言が、アカトの耳に届いた。

アカトが声を出そうとした時、タイポイは剣を抜いた。

「それもよかろう」そう言って、ベリアルは剣を構えた。

アカトには勝負は見えていた。万に一つもタイポイには勝ち目がないだろう。そのことは、おそらくタイポイにもわかっていただろう。それでも剣を抜いたのは、彼ながらの友としてのけじめをつけたかったのだろうか。

僕は後方のみんなには避難するように指示した。

みんなも彼の力量はわかっていたから、素直に従った。

タイポイの両手剣が音を立てながらベリアルを襲った。それを片手で受ける、それがどれほどに凄いことかみんなはわかっていた。

カクさんは何もできない自分を悔しがっているようだ。いい傾向だ、もっと悔しがれ、それが糧になる。

スケさんとオギンは次元の違う戦いに唖然としている。それはそれでしたかないか。

僕はいざとなったら……。

タイポイの剣がベリアルの胸を貫いた。決して避けられない剣ではなかった。

タイポイはベリアルの顔を見る。にこりと笑った顔がそこにあった。

「ベリアル…お前……」

「友よ、頼みがある。我が子が地下牢に囚われている。どうか助けてくれ」

ベリアルは崩れ倒れた。

「フフフ、ハハハハハ。ああ愉快、愉快。ベリアルよ好きな人間に殺されるのはどうだ」

突然現れた左右二対の羽を持つ天使。こいつが主犯か。タイポイの怒りは天使に向けられた。

「はじめまして、私はメルラーといいます。以後お見知りおきを」と、ふてぶてしい態度ながら、優雅に挨拶した。

「テメーのせいか」タイポイは怒りをみなぎらせた声で言った。

「左様でございます、ベリアルは目障りなものでね。好きな人間に殺されるなら本望でしょう」と、言って、また笑った。

「いけ好かないクズが」タイポイそう言って、こちらを振り向き

「アカト頼む、地下牢にベリアルの子供が人質になっている。助けてやってくれ」

「ああわかった。すぐに戻ってくるから、死ぬなよ」

「善処するよ」と、言って、笑ってみせた。


僕たちは、地下室へ向かった。

「スケさん。サーチで地下室を探ってくれ」

「はいです」スケさんの体から魔力が流れ出す。

「わかりました。地下に生命らしき反応が二つあります」

「急ごう、スケさん案内頼む」

ーーたぶん一人はベリアルの子供だろう。するともう一人は番人か、おそらく同類、天使だろう。こいつらで勝てるか……。

地下へ下りる階段、一直線に伸びた通路、その際奥が広場となっていた。そこにひとりの天使が立っていた。灯りも十分なことから、こちらを侮っていることがうかがわれる。

一対の羽。メルラーよりは格下だが、人間より上位の存在。その天使は剣を持って仁王立ちしていた。

みんなに注意の言葉を告げる。

「奴は強しぞ、注意しろ」

みんなは十分に承知しているようで、声さえ出さない。

先陣を切って、カクさんが斬りかかる。右、左、上、下、あらゆる角度からの剣撃、それらを全て受け止められる。刹那、素早く後方へ飛び去る。後方から援護の魔法が飛ぶも、相手に届かず全て消え去る。オギンの鞭も受けもせず全て躱される。

やはり強い、格が違う。みんなに焦りの色と、恐怖が浮かぶ。

時間が勿体無い、僕はスケさんに叫ぶ。

「スケさん、僕に身体強化の魔法を頼む」

「はいです」

僕の身体にみなぎる力を感じる。

ーーよし、いける。

そう思った瞬間、僕は動いた。

みんなが視認するより早く、天使の身体はバラバラになり消え去った。

大丈夫だ、僕はまだ立っている。すぐにあのレベルアップの感触が全身に伝わる。

レベル3、4、5、6……。

レベルを確認するまもなく、僕は牢獄の扉を手でもぎ取る。そして、奥に手を差し伸べる。小さな子供が、泣きながら飛びついてきた。

その子をお姫様抱っこしながら、元来た道を走る。みんなも慌てて追いかけるが、差はどんどん開いていく。


僕は子供を下ろすと、泣きながらベリアルのところへ走って行った。

僕はボコボコになっているタイポイのところへ行った。

「よう、生きてるか」

「ああ、なんとか」と、言っているが、立っているのがやっとな状態だ。

「まだやれるか」

「すまない」と、弱気な発言。予想よりダメージが大きいようだ。

「ほう、君がここにいるということは、バルドはやられたのか」メルラーが聞いてきた。

「ああ」

「へー、たいしたものだな。下級天使だとはいえ、人間ごときが倒すとはな」余裕しゃくしゃくで、こちらを侮っている。その態度が気に食わない。

「止めぐらいさせてやるよ、だから気張れ」僕は隣のタイポイにそう言って、メルラーに向き直った。

タイポイはアカトの雰囲気が変わったことを感じていた。髪の色も赤くなっているし、なんとなく有言実行しそうに感じていた。だから信じた。

「わかった」

僕は武器を使わず、拳を作り素手で殴りに行った。

「バカですか、素手で倒されるわけがないでしょう」

僕は避けもせずアホずらして立っているメルラーの顔面に思いっきりのパンチをくれてやった。

メルラーは勢いよく飛び、後方の壁にめり込んだ。

「いまだ」僕がそう言うと、タイポイは壁ごとメルラーを斬り裂いた。

タイポイは消え去るメルラーを見向きもしないで、ベリアルの方へ行った。僕も後に続いた。

そこへ彼女達も来ていた。みんなが見守る中、ベリアルは泣きながら抱きついている子供を紹介した。

「この子は俺の子供で『ビリー』と言う名だ。母は人間だがもうこの世にいない。友よお願いがある、この子を頼む」

タイポイは大粒の涙を流しながら、嗚咽を含んだ返事をした。

僕はベリアルに言った。

「すまない、ルシファをやったのは僕だ」と、アカトが言うと、ベリアルはちょっと驚いたようだが、笑って「良かった、君みたいな人で」と、言った。

「俺は人間が嫌いだった。ルシファを悩ませ、苦しませている人間が許せなかった。短命なのに生命を大切にしない。同族同士で殺しあう。なぜだ、俺たちと同じ姿をしているのに、知性与えたのに悪いことにしか使わない。俺はだから確かめたくってこの地に降りた。人間と接し、暮らし、酒を飲み、笑い、泣き、俺も人間が好きになった。ルシファの気持ちがわかったような気がする」ベリアルの身体から光が溢れ出す。

「もう時間がないようだ、頼むこの子に人間の世界を…、包み隠さず…」

ベリアルの身体が薄れ消え去った。

タイポイはベリアルがいた床に頭をつけ号泣した、誰はばかることなく……。


ビリーはなぜか僕の服を掴んで離さなかった。仕方がないので、好きにさせていた。

身長は120cmくらいだろうか、かなり小さい。人間でいえば6、7歳ってところか。タイポイに聞いても、子供がいることは初耳で、実際の年齢がわからない。そのことを本人に聞いても、親が死んだショックか、また牢獄に長くいたせいか口がきけない。

傷が癒えるまで、気長に待つとしよう。

それから長く牢獄にいたので、身体が臭かった。風呂へ入れようとしたが、僕と離れるのが嫌なのか言うことを聞かない。仕方がないので、一緒に風呂に入った。

驚いたことに性器がない。そのことをタイポイに尋ねたら、タイポイも驚いていた。

ベリアルは人間との間に子供ができたと言った。するとその行為をなすための性器がなければならないはずだが、ビリーの股間はつるっぺただ。とにかくわからないことはわからないので、後でそれとなく聞いて回ろう。


僕たちがトチバラ領に着いたのは夏も終わりに近ずいた頃だった。久し振りに冒険者ギルドへ行くと、正面にナキさんがいた。僕たちが中に入ると、いち早く見つけたオタマさんが僕たちに声をかけてくれた。例の脳筋パーティーだ。みんなの装備や顔色を見ると上手くやっているようだ。

イクミさんがいないので尋ねると、ツエさんが右手でお腹を大きくするジェスチャーをした。オタマさんが頭を掻いているところをみると、相手はオタマさんのようだ。僕がオタマさんに「おめでとう」と、言うと「アッシじゃなく、ドマでさぁ」と、言った。

「はぁあ、紛らわしいわ、何で頭掻いた」と、喚くと

「ドマは、弟みたいなものでさぁ」と、ニコニコ顔で笑う。俺、こいつら苦手だ、調子狂う。

「それよりその子はアカトさんの子かい?」と、オタマさん。みんなも興味津々で見ているが、事情を話すと長くなるのでひとこと「訳ありだ」と、言って、別れた。

すでにみんなはカウンターの方へ行っていた。みんなに追いつくと、タスマさんが、報酬と言って希少価値の高い魔石をくれた。これを売れば10万両になるらしい。取り敢えず売らないで、とっておくことにした。それから、天使から頂戴した武器を鑑定してもらった。

タスマさんは初めて見る武器に興奮して、専門家に鑑定してもらうから2、3日待ってくれと言った。

タイポイは家に帰ると言って別れた。

僕たちは旅籠屋で部屋をとってから、みんなで買い物に出かけることにした。

買い物の目的は主にビリーの下着や服だ。久し振りに商店街をぶらぶら歩くのは楽しかった。

一通りの買い物をして旅籠屋へ、早めの休息をとることにした。


翌朝、ムニュムニュ、プニュプニュ、で目覚めた。

あれ?なんだろう、前にも感じたこの感触。そっと目を開ける。眼前には見知らぬ女性が寝ていた。

落ち着け、落ち着け、停滞していた思考が動き出す。確か隣にはビリーが寝ていたはずだ。ビリーはどこに行った?。目の前の女性の服装を見る。胸元が窮屈そうだ。いや、そうじゃない、昨日買って昨晩着替えさせたTシャツだ。すると、ビリーか?

ちょうど目覚めた女性に「ビリーか」と、尋ねると、コクリと頷く。

黒髪にブルーの瞳、めっちゃ可愛い。それに人間離れしたスタイルの良さだ。

僕はアイテムボックスから、自分の服を出して渡した。ビリーはいつものように目の前で着替え出す。流石に気にしないわけにはいかないので、慌てて後ろを向く。

無防備なビリーに理性が保たれるか今後不安になりそうだ。

着替えが済んでからレストランへ向かう。

レストランにはすでに三人がいて食事していた。

僕はバイキング形式の食事、二人分を取りみんなのところへ行き、朝の挨拶をして座った。

みんなの視線が痛いが、何も言ってこないのでとりあえず朝食を摂る。食事が終わる頃、突然スケさんが「浮気ですか、浮気ですか、まだ結婚していないのに浮気ですか」と、騒ぎ出す。

面倒臭いので「ビリーだ」と、言って残りを食べる。

みんなが、驚きの声を上げる。

「朝起きたらこうなっていた」そう言って、スープを飲み干した。

ーーさて、これからどうしよう。まず、ギルドへ行くか。それから、ビリーの下着買わなくちゃな。


ギルドへ行くと、タイポイさんがタスマさんと話をしていた。朝の挨拶を交わすとタイポイが訪ねてきた。

僕が事情を説明すると、二人とも驚いてわからないと応えた。結局誰にもわからないか……。

「なぁ、アカト、これからどうする」タイポイがこちらを向き尋ねた。

「南の方へ行こうと思う」とりあえず思い付きで言ってみた。

「そうか、その旅、俺も付いて行っていいかな」

損得で言うなら得に決まっている、だから了承した。ついでにカクさん、オギンに稽古をつけてくれと言ったら、早速やろうと言ってきた。


最初はカクさんだ。守りの腕輪を着け、互いの剣を相手の腕輪と同調させる。腕輪と剣の魔石が青く光り出し同調が完了する。致命的なダメージを受けると、腕輪が砕かれ、相手の剣も砕ける。つまり腕輪が砕けた方が負け、剣が砕けた方が勝ちだ。

「遠慮はいらないよ、思いっきりいけ」そうタスマさんが言って、試合が開始された。

タイポイの剣は片手の大剣、対してカクさんの剣はスピード重視の細身の片手剣。

先手を打ったのはカクさん、真正面に飛び込むが、それはフェイク、背後にまわり、無防備な頭部へ剣を振り下ろす。決まったと思った刹那、タイポイの剣が振り向きもせずに頭部をガードし、カクさんの剣を受ける。

カクさんは直ぐに後方へ飛び、間を取り、剣を構える。

ゆっくり振り向いたタイポイが今度は仕掛ける。速い、カクさんの動作が遅れるが、辛うじて受け止める。

タイポイもタスマさんも驚く。僕も決まったと思ったが、よく受けたと感心した。

連続して攻撃すれば決められたが、タイポイはそれをしなかった。

後はタイポイに任せ、僕とビリー、スケさんで買い物に出かけた。

ビリーの下着と洋服をたくさん買って帰ってくると、カクさん、オギンが寝転がっていた。

タスマさんが来て、武器の鑑定結果がでたので知らせにきた。剣は上物だが、売るなら1万両で買い取る、杖は神話級の品で値がつかないそうです。

それで、剣は売って、杖はスケさんにやった。

スケさんは大はしゃぎで「結婚指輪はいつですか」と、言ってきたが、面倒臭いので無視した。


僕たちの旅は夏の終わりとともに始まった。

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