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深く深く沈んでいく。ライトの魔法が届かない漆黒の闇、誰も口を開くものがいない。緊張感がみんなを支配しているが、不思議と恐怖感はなかった。湖底に到達すると、ヤーマン台国のなれの果てが見えてきた。あれから何年たっただろうか、今でも記憶にある姿をしていた。
かつて知ったさらに深みへ行くルートは今も健在だった。僕たちはそこを通り、一本の通路へ出る。通路には水がなく、みんな歩いて行く。
通路を抜けると広い空間に出た。さらに奥へ進もうした時、人の気配を感じた。みんなに警戒してもらい僕は前に進む。はっきりと見えると、老人が槍を携えた戦士のような格好をしていた。
「失礼ですが、ここで何をしているのですか」
僕が尋ねると、老人は閉じてた瞼を開き僕の方を見て、微笑み
「遅かったぞ、いつまで待たせるのだ」そう言い、背を向けた。
僕の方へ近づいてきたタイポイが
「もしかして、ヒャクジオ・ライオさんですか」と、背を向けた老人に声をかけた。
老人が振り向き
「いかにもう、私はヒャクジオ・ライオじゃが、どなたかな」
「私は、タイポイといいます」
「……、知らんな」
「えー!、ヒャクジオさん、本当に知らないのですか」
「冗談だ。帝都で一度会ったことがあるよな」
「一度じゃありません。何度も、数え切れないほど会ってますよ」
「そうだっけ。それよりどうして君がここにいるのだ」
「この人と旅をしています。ここがその目的地でもあります」そう言って、俺の方を指差した。
ヒャクジオ・ライオはちらりと僕を見たが、待ちくたびれた、急ごうと言って、奥のドアの方へ歩いて言った。
僕は、女性陣にはここで待機して、何かあったら脱出するようにと言ったが、ビリーとナミはついてくると言って聞かないので、二人は一緒に連れて行くことにした。僕はスケさんカクさんに僕に何があっても、ミルナにこの世界を見せてやってくれ、と言ってみんなの後を追った。
ヒャクジオさんが一撃でドアを破壊したが、その先は行けず立ち往生していた。
この先はドワーフの王コウル・マイン・キングの地の魔法ブラックホール、エルフの王ウッド・ユナイト・ガバンの風の魔法タイムロックを破壊しなければ進むことができない。僕が前に進み出て、同時に2つの魔法を破壊する。破壊されたことで時間が動き出す。
アカトに異変が起きる。みんなが見ている中、体がだんだんと薄れ消えた。中にいた人達が動き出した。




