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僕たちは今、ビーワン湖の中央にいる。以前、ジェットキとここで話をしたことがある。あの時は悔しさを噛み締めながら去ったが、今度は違う。僕の心臓が高鳴る。そう、来たのだ。みんなに会えると思うと体の震えが止まらない。
その時、なにかが近ずいて来るのが知れた。それを、みんなに知らせる。みんなが僕と同じ方向を見つめる。暗く視界が悪い中、それは僕たちの前で止まった。ドラゴンだ。その中で人化したドラゴンがジェットキの前に来る。
「長、お久しぶりです」
「コンコルドか、よく来たな」と、ジェットキ。
「はっ、長のためなら何処でも馳せ参じます」
「何人来た。5人です。うむ、相手は強敵だぞ。覚悟はいいな」
「そのつもりでみんな付いて来ました。死など恐れません」
ジェットキが僕の方へ向き、「ここは俺たちがやる。アカト、お前は先に行け」
俺は、軽く頷き、「死ぬなよ」そう言って、ビーワン湖へ降りていった。
ずうっとつきまとった視線。その正体が来る。ジェットキが来たぞと一言注意を促す。
みんなが警戒しているさなか天使たちが舞い降りて来た。その中で一人、3対の羽を持った奴がいた。そいつが一人こちらへ近づいて来た。
黙して警戒していると、奴から話しかけて来た。
「龍族がこんなところで何をしている」
「何をしたってこっちの勝手だろう。それより天使どもが何故こんなところへ来ている」
ジェットキは相手の動向が読めず探りを入れた。
「ふん、貴様ら下等生物に言う必要があるかね」
「ほう、こそこそつけてたゴキブリはどちら様で」
「貴様、俺を誰だと思っている。大天使ミカエルだぞ」
ビンゴだ。カマかけた甲斐があったというものだ。ジェットキはさらにたたみかける。
「この湖を作ったのもお前か」
「そうだとしたら」
ジェットキのアドレナリンが沸々を湧き上がる。
「お……、お前かーー!」
叫びとともに口腔よりドラゴンのブレスが発せられる。ミカエルは避けるが、後方の数人の天使が、漆黒の湖に沈んでいった。これが、戦いの口火を切る結果となった。
制空権はやはりというか当然というか、ドラゴンのヒコーキ族が取った。圧倒的なスピード、巨大でありながら、自由自在に、俊敏に、移動するヒコーキ族に、翻弄される天使たち。天使たちにできることは人海戦術のみ。
それが時間とともに形勢が変わりつつあった。ヒコーキ族から、疲労と負傷により脱落した者が出たのである。それにより、形勢反転に勢いがつき、ヒコーキ族から脱落者が次々と出た。
周りは全て敵、もうこれまでかとジェットキに諦めにも似た感情が芽生えた。




