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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
39/43

12-3

 ♢♢♢12-3

 僕たちは今、ビーワン湖の中央にいる。以前、ジェットキとここで話をしたことがある。あの時は悔しさを噛み締めながら去ったが、今度は違う。僕の心臓が高鳴る。そう、来たのだ。みんなに会えると思うと体の震えが止まらない。

 その時、なにかが近ずいて来るのが知れた。それを、みんなに知らせる。みんなが僕と同じ方向を見つめる。暗く視界が悪い中、それは僕たちの前で止まった。ドラゴンだ。その中で人化したドラゴンがジェットキの前に来る。

「長、お久しぶりです」

「コンコルドか、よく来たな」と、ジェットキ。

「はっ、長のためなら何処でも馳せ参じます」

「何人来た。5人です。うむ、相手は強敵だぞ。覚悟はいいな」

「そのつもりでみんな付いて来ました。死など恐れません」

 ジェットキが僕の方へ向き、「ここは俺たちがやる。アカト、お前は先に行け」

 俺は、軽く頷き、「死ぬなよ」そう言って、ビーワン湖へ降りていった。


 ずうっとつきまとった視線。その正体が来る。ジェットキが来たぞと一言注意を促す。

 みんなが警戒しているさなか天使たちが舞い降りて来た。その中で一人、3対の羽を持った奴がいた。そいつが一人こちらへ近づいて来た。

 黙して警戒していると、奴から話しかけて来た。

「龍族がこんなところで何をしている」

「何をしたってこっちの勝手だろう。それより天使どもが何故こんなところへ来ている」

 ジェットキは相手の動向が読めず探りを入れた。

「ふん、貴様ら下等生物に言う必要があるかね」

「ほう、こそこそつけてたゴキブリはどちら様で」

「貴様、俺を誰だと思っている。大天使ミカエルだぞ」

 ビンゴだ。カマかけた甲斐があったというものだ。ジェットキはさらにたたみかける。

「この湖を作ったのもお前か」

「そうだとしたら」

 ジェットキのアドレナリンが沸々を湧き上がる。

「お……、お前かーー!」

 叫びとともに口腔よりドラゴンのブレスが発せられる。ミカエルは避けるが、後方の数人の天使が、漆黒の湖に沈んでいった。これが、戦いの口火を切る結果となった。


 制空権はやはりというか当然というか、ドラゴンのヒコーキ族が取った。圧倒的なスピード、巨大でありながら、自由自在に、俊敏に、移動するヒコーキ族に、翻弄される天使たち。天使たちにできることは人海戦術のみ。

 それが時間とともに形勢が変わりつつあった。ヒコーキ族から、疲労と負傷により脱落した者が出たのである。それにより、形勢反転に勢いがつき、ヒコーキ族から脱落者が次々と出た。

 周りは全て敵、もうこれまでかとジェットキに諦めにも似た感情が芽生えた。

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