表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
38/43

12-2

 ♢♢♢12-2

 賑やかな声が、僕たちが入っていくと止まった。それはそうだろうな、みんな、この子誰?というように見ている。

 僕は中に入ると、椅子に座り、この子を膝の上に乗せ「僕の娘だ」シーンと3秒、稲光の後の雷鳴が轟く。「冗談だ」の声が届かないほどの大騒ぎ。

 騒ぎがやっと鎮火したところで、魔王の子で名前が「ミルナ」と、みんなが知る。

 ビリーが駆け寄り、ミルナの頭を抱きしめて泣き出した。自分の境遇とオーバーラップしたのだろう。ただ、バニースーツだと、滑稽に見えるのは俺だけだろうか。


「そろそろ時間が来たようだ。ここはもう直ぐ崩壊する。みんな出て行ってくれないか」突然老師がそう言った。確かになんかヤバイ気がする。そのことを老師に尋ねると、

「ここはもともとミルナを守るために作られたもの。そのミルナはもうあそこにはいない。結界が崩壊するのは自然なことだ」

「老師はどうするおつもりで……」僕は尋ねる。

 老師はニコリと微笑み

「わしはこの日のために生きてきた。もうそろそろあっちへ行って、久し振りに魔王とお酒を飲みたいよ」老師の顔には、重荷を下ろした、ホッとした喜びに満ちていた。あんな顔されたら何も言えないじゃないか、僕は背を向けて手を振った。涙を見せないために……。


 結界を抜けると、そこは荒涼とした砂漠地帯で、何の変化もない。だが、アカトには、崩れ去った結界を感じ取っていた。

 結果的に得るものはなかった。それでもアカトはここへ来てよかったと思った。老師、魔王と酒を飲めるといいな。さようなら。そう言ってその場を後にした。


 デス・デューンを出たところで、僕はみんなにカースグランドへ行くことを話した。

 ジェットキが僕のところへ来て、尋ねる。

「大丈夫なのか」

「分からない。それでも、もう待つのは嫌だ。それに、老師がいない今となっては、奴に対抗できる手段を知るものはいないと思う」ジェットキはアカトの迷いない目を見て信用することにした。

「うん、迷いないいい目している。俺も付き合うぜ、アカト」ジェットキはアカトの肩を軽くポンポン叩き、一つ頷いた。

 グリズグマがアカトのところへ来て、

「アカト、コール・マイン様に会えるのか」

「ああ、会えるよ。ただし、足手まといになるようなら、置いて行くぞ」

「本当だろうな」グリズグマは涙目になっているが、嬉しいのだろう。気合いがみなぎっている。

 タイポイも同意の右拳を出したので、僕も拳をつくりコッツンする。

 そのあと僕は女子のところへ行く。

「ここからは危険だ。もし嫌なら言ってくれ。好きなところへ連れて行こう」

 女子たちは互いを見て、頷き、一緒に行くことを決めたようだ。

「ジェットキ、頼む」ジェットキがドラゴンに変身する。若干一名、引きつった悲鳴をあげるが、容赦なく全員搭乗させる。

 決戦の地カーグランドのビーワン湖へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ