第12章 決戦
第12章 決戦
「シュンクちゃん、お茶」
「はーい」奥の方から女性の声が聞こえてきた。しばらくして、その女性が姿を現わす。
「うん?ああーー!!、おっお前、ぷふふふ、ふぁははは」タイポイが吹き出し、最後は腹を抱えて笑いだす。続いて、グリズグマも……。
「あわ、あわわわ、ど、どうしてあんた達、ここに居るのよ」女性が、かなりうろたえている。
タイポイが目を拭きながら「お前、そこ格好は何だ」
狼狽える女性は「しょ、しょうがないでしょ、師匠がこうしろと言うんだから」女性は、自分のバニースタイルを恥ずかしそうにモジモジしだした。
あんた、情婦にでもなったの、と言うグリズグマに視線を向け、
「何で、あんたもいるのよ。それに、情婦って何よ、あんたバカ」女性が、グリズグマをにらみ、人生最大の屈辱とでも言いたそうだ。
「ところでさ、お前ら知り合いか」タイポイ達のやりとりを見て、アカトが尋ねる。
「ああ、こいつは俺たちと同じ帝都で豪傑と言われる一人で、『チータ・シュンク』って名だ。どこへ行ったかわからないと思ったら、こんなところにいたのか。しかし、変われば変わるもんだな、魔術以外はまるで興味がないようなこと言っていたように記憶しているが、その格好は笑えるな」
タイポイはシュンクの姿を見て、また笑いそうになる。
「そこのタイポイとやら、そう笑うな。そのスーツは最強だぞ。お前さんだって、剣で勝負しても敵わないぞ。それに魔力もかなり増幅されるアイテムじゃぞ。まさに鬼に金棒ってとこだ。なあ、娘さん」
老師が、ナミの方へ顔を向ける。
さすが老師だ。ナミの持っている杖を見て、一瞬でナミの力を増幅していると気がついたんだろう。
「ところでもう一着あるんだが……」と、周りの女性を確認する。素早く反応したのが、カクさんだが、
「ああ、君はいいよ。引っかかる所がないとずり落ちるからな」
その横にいるスケさんにも
「残念じゃが君はデカすぎるのう。サイズ的に無理じゃな」
すると残り3人、誰がいいかなと老師が考え、指差したのはビリーだった。老師が、シュンクにお願いして、着替えを手伝うよう、連れて行くとき、不安そうにビリーが、こちらを向いたが、僕は首を縦に振って促した。
「ところで老師、何であんなものが二着あるんだ?」アカトはこの世界にはないだろうバニースーツが、何故ここにあるのか不思議に思った。
待てよ。老師の動きは尋常じゃない。まるでこの先どうなるかわかっているようだ、以前来た時そう思った。それは、瓢箪から出た駒だったのかも知れない。確かめようと、
「老師、ひょっとしてあなたは、心が読めるのじゃないですか」
老師がニヤリと笑った。すると、あのバニースーツは……、
「老師、あなたは俺の心を読んだな!」
老師が意味深な笑い声を出し、「今ごろ気付いたのか」
ーーするとこのスーツは……。
「ろーーしーー、これをマリアに着せようとしたなー」アカトは怒りを爆発させようとしたそのとき、老師は冷静な顔になり、
「なあ、アカトよ。もしこのスーツを着ていたらどうだろう。違った結末になったと思わないか」老師の言葉にアカトの怒りが消えていくのを感じた。




