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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
28/43

10-1

 ♢♢♢10-1

 僕たちは金公ことチカヤマの勧めでヒョウサカ領へ行くことにした。

 ヒョウサカ領、西方随一の領国。その中心にある都市レオダイクは、ジャポンの中で最も栄えた都市であることは知らぬもがいない。その地に領主邸『コフーパレス』がある。

 帝都にある宮廷が歴史ある建物なら、こちらは近代的な建物として有名で、双璧をなしている。

 そこに住む領主カーネン・キアモトは80はとうに過ぎているが、今だに現役だ。

 若い頃は無鉄砲な性格で、領主自ら先陣を切って悪人のアジトに乗り込むことが多々あり、付けられた二つ名が『暴れん坊領主』。

 彼は今だに領民から絶大な人気を集めていて、現役引退は当分なさそう。

 チカヤマは若い頃、この領主に随分お世話になっていて、今でもアニキと呼んで親交がある。どうもこの領主に僕たちを紹介したいようで、旅の道連れとなった。


 チカヤマに連れられ、僕たちはコフーパレスに入った。

 執事の案内で部屋に入ると、事前に連絡されていたのか人数分の席が設けられていて、僕たちが座るとすぐに料理が運ばれて来た。

 領主は少し遅れるそうで、先に食事を始めるよう執事に言われ、それに従う。

 見たことの無い料理に舌鼓を打ち、食事を楽しんでいると、領主が現れた。皆食事を中断しようとしたが、それを手で制し「先ずは食事を楽しもう、わしもお腹ペコペコだ」と、自分の席に座る。

 食事が終わり、食後のコーヒーを飲みながら一息いれると、領主が最初に挨拶した。

「私が領主のカーネン・キアモトだ。チカヤマがお世話になったそうでありがとう」そう言って軽く頭を下げた。その好々爺然とした態度にみんなは好感を持ったようで、顔が崩れている。

 続いて僕が挨拶、次に横にいるビリーは声が出ないことを説明して、僕が紹介した。そうしてみんなの紹介が終わった頃、ドアがノックされ、スタイルがバツグンというか、やけに強調された白衣姿の治療師が入って来た。

 歩くたびに揺れる胸はスケさんよりでかい。お尻もプリンプリンしている。当然男衆の鼻の下が長くなる。

 横にいたビリーが自分の胸に手を当て不安そうな顔をする。

(ビリーさんも立派ですよ。あの人が化け物なだけですよ)と、僕は心の中で慰めるが、本能には逆らえず、自然と視線がそこに集中する。

 治療師が「お薬の時間です」と、言って、薬を出すと、領主はそれを服用する間に「今日は採血いたします」と、注射器を取り出した。

 それを見た領主は「注射は嫌だな」と、駄々をこねだしたが「いつも言っているでしょ、健康管理に必要な事です」と、ことさら胸を強調しながら、領主の袖をまくる。

「チクっとするのは苦手だ、チクッとさせるのは好きだがのう」と、領主が笑う。領主としてはいつもの軽い冗談だが、(この助平爺いが)口には出さないが、みなそう思い、領主の好感度がみるみる下がっていった。

 後で聞いた事だが、治療師の服装も、領主が駄々をこねたからだそうだ。

 治療師が出て行く姿を、当然男衆はガン見していた。

 入れ違いに執事が入って来て、領主に耳打ちした。

 何事だろうとみんなが見ていると領主の顔がみるみる豹変して、ただならぬものをみんなは感じた。

 その知らせを領主が話すと、みんなの顔に緊張が走った……。


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