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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
26/43

9-9

 ♢♢♢9-9

 ウラミサカは酔いが回り、睡魔に襲われていた。

 周りがうるさいことを感じていたが、睡魔には勝てずまどろんでいた。

 そこへドアを激しく叩く音が耳に飛び込み、ビックリして、両目を開く。

「何事だ」ドア越しにウラミサカは叫んだ。

「町奉行の方達が来ております」ドア越しの返事に、ウラミサカが最初に思ったことは、あの変態がしくじった事である。

 不味い、手入れされたらバレてしまう。逃げようかと考え、ここが逃げることに最悪な場所であることに気が付いた。


 ゾロゾロとお縄になった人たちが出てきた。その中にはミズイレも混ざっていた。

 タイポイがレストランで出会った金髪の人を見つけると声をかけた。

「うるせー、貴様に何がわかる」その人から野太い声が聞こえてきた。

「え!おとこ」と、フリーズするタイポイ。

 隣にいたアカトがどうしたと、声かけた。

「一目惚れだった」呆然としながら、動揺のせいか、言わなくていいことをタイポイが口走った。

 ……と、言うわけなんだとアカトが暴露する。ぎゃははと、レストランに女子の黄色い笑いが響いた。

「い、いけませんよ。他のお客さんにめい…」と、スケさん慌てて口を手で押さえるも、笑いが口から漏れている。

「お、俺どうしよう。今夜襲われたら……」ジェットキが心配そうな声をだす。

「大丈夫だ。タイポイの好みは男で、金髪の……」と、言いながら思い当たる人物に視線がいった。みんながその視線を追う。

「わ、私は女だ」カクさんが叫ぶも「男みたいな体型だぞ」と、僕が言うと、みんながコクリとする。

「わ、私は女だー」カクさんが再度叫ぶ。みな嬉しそうに笑う。

 ただ一人カヤの外のタイポイは両手をテーブルに乗せ、頭を抱える姿が小さく見えた。


「チカヤマ・キンサブロウ・カゲモト様、ご出座ー」の声に、太鼓が鳴り、登場する。

「これより暗殺事件について吟味を致す。一同の者面を上げい」と、チカヤマが言い、一同顔を上げた。それを見て

「さて、ウラミサカ、ピーチ・タロウの依頼により暗殺を計画、実行したことは明白であるが相違無いな」チカヤマが前列にいるウラミサカとピーチ・タロウをみて言った。

「いえいえとんでも御座いません。私は教祖として教会を運営しております。人命を尊重する身でございます。そんな大それた事するわけが御座いません」ウラミサカはしゃあしゃあと、しらを切った。

「ほほう、知らぬと申すか」と、言うと、立ち上がる。

 すかさず黒子が左右から駆け寄り、チカヤマの着衣を引っ張った。

 チカヤマが一瞬にしてスッポンポンの一糸纏わぬ姿になり、胸から下半身にかけての梅とウグイスの刺青を露わにさせて「この梅とウグイスが黙っちゃいないぜ」と、啖呵を切った。

 一瞬唖然として見ていたウラミサカやピーチ・タロウであだったが、プッと吹くと笑いが一同に広がった。

 それを見ていたチカヤマは顔を真っ赤にして怒り「笑った奴全員死刑」と、一言叫んで、裸のまま去って行った。

 こうして難解と言われた事件をものの数分で解決し、チカヤマは名奉行として後世に名を残すこととなった。

 一方、笑わなかった人が一人だけいた。それはミズイレで、彼女は男性の裸に免疫がなく、恥ずかしさのあまり俯いてしまったのである。そして、無罪放免となった。その後ミズイレは、アカト達が泊まっている旅籠屋で歌姫となった。

 彼女もカースグランドへ行ったら歌姫の歌を聴けと言われるほどに人気を博し、後世に名を残すこととなったのである。

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