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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
20/43

9-3

 ♢♢♢9-3

 カースグランドへ入ると薄暗くなってきた。目的のビーワン湖へ着く頃はすっかり暗くなっていた。日が暮れるには早い、するとこれが神の呪いってやつか?。

 驚いたことにビーワン湖のほとりに大きな街があり、賑わっていた。

 街の人に聞くと、真っ暗なビーワン湖に時折光る蛍火がムード満点で、観光の名所になっていて、特に恋人たちに人気だそうだ。

 僕たちも人気のある旅籠屋に泊まることにした。

 部屋をキープすると早速タイポイとジェットキが「じゃ」と言って、街に遊びに出て行った。いつから2人はそういう仲になったのだろうと見ていたら、部屋割りが決められていた。僕の心がドキドキしているところをみると、相部屋はナミさんかと思ってたら、正解だった。わかり易いが、これどうなんだろう?複雑な気持ちになる。結局部屋割りは、僕とナミ、オギンとビリー、スケさんとカクさん、ジェットキとタイポイになった。


 ジェットキとタイポイは大人の男性で、当然こういうところへ来るとハメを外す。とくにタイポイは飲み友達のベリアルがいなくなってから、ハメを外すほど飲んだことがない。必然的にテンションも上がる。何軒かハシゴした頃には酔いが回り、気分が高揚してきた。

「よし、もう一軒行こう!」タイポイが、陽気に叫ぶ。

 ジェットキは、苦虫を潰した顔をしながらも付き合うことにした。

 薄暗い店内のボックス席にどかりと座り、ウイスキーをオーダーする。今日これで10本ですよ、そう思いながらジェットキも飲み始める。

 すぐに女性がサイドにつき、ドリンクをおねだりした。

 タイポイがじゃんじゃんいいよって言うものだから、いつのまにか女性が4人に増えていた。

 ジェットキもやれやれと思いながら、コップに注いでもらったウイスキーを飲もうとした時、鋭い視線を感じた。

 視線の先を振り向きもせずにサーチする。

 探り当てると、隣の女性に尋ねた。

「俺の斜め後ろに座ってる人、よくここへ来るのかい?」

 女性が後ろを見て、ああ、と納得した顔になり「最近、ちょくちょく来るよ」と、まだ幼さの残る顔をこちらに向ける。

「名前知ってる」

「うーん……、ピーチ…」眉間にシワ寄せ考慮中。

「ピーチ・タロウ」

「そうそう、そう言う名前だった」と、スッキリ笑顔。

「ありがとう。この事は秘密にしておいてね」

「わかった」と、ニッコリ。

「それじゃお礼に、なんでもオーダーしていいよ」

「え!本当に」と、薔薇色の笑顔。

「ああ、いいよ」

「じゃ、フルーツ頼んでいいかな」と、キラキラお目目。

「どうぞ」と、一言いうと、嬉しそうにオーダーした。

 よく表情のコロコロ変わる娘だ。

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