ちょっと海でも見に小旅行したい気分
季節は10月…。
夏の暑さもいつの間にか忘れ去られて、過ごしやすい日々が続いていた中での3連休。
「海へ行こうよ」と言い出したのは僕の方だった。
1泊だけの小旅行。
どうせならきれいな海がいい。
そして温泉もあって、魚が新鮮で、東京からもそこそこ近くて…。
そんなことを考えてたら、「伊豆の海がいいんじゃないか?」という話しになり、僕らはそこへ旅行することに決めた。
「たまには電車でのんびり行こうよ」という僕の意見も採り入れてもらえた。
普段、秒刻みで追われて仕事をしている僕には、のんびりと頭の中をカラにしてリセットしたい時がある。
だから旅は、あえて非効率的にかつ、無駄に時間を過ごしたい欲求がすごくあるのだ。
熱海から伊豆急線に乗り換えて、海岸線を列車は進む。
ガタゴト、ガタゴトと…。
トンネルが見えて来た。
あのトンネルを越えると、もうすぐ終点だ。
そして右側に海が見えるはず。
真っ青な海が広がっているはずだ!
「ほらね?」
僕は言う。
トンネルを抜けて見えた窓の外は、昨日までの心のモヤモヤをいっぺんに吹き飛ばすかのような、真っ青な海が広がっていた。
僕は立ち上がり、網棚に上げてある僕らの旅行鞄を取り、列車を降りる準備をした。