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男装系女子の日々

作者: 縁側

なんとなく恋愛?系を書いてみたくなった

 皆さん初めまして。私は七色なないろ 日里ひさとと言います。


 今日もいつも通りに教室の端で私は本を読んでいます。


「七色!今日も一緒に帰ろうぜ!」


 はい。今日も話し掛けてきました。


 彼はクラスメイトで世間で幼馴染と呼ばれる人種のけだものである砂粒さつぶ 隼騎はやきです。


 男などけだもの以外存在しない野獣です。

 私はこの世に生まれてこのかた、このけだものと常にお隣通しという謎のパワーによってこのけだものと仲良くせねばならぬと言う事に陥ってしまいました。


 子供の頃から常に一緒に登校して。一緒に下校する。


 ああ………。吐き気が出てきます。寒気も悪寒も殺意も沸いて出て堪りません。


 勿論、そんな気持ちは表情に出しませんけど。


「え~。最近。変な噂で嫌なんだけど」

「………………え」


 このけだもの、というか、この学校の全生徒は私が男だと認識している筈です。


 長い黒髪は頭のニットキャップの中に入れて隠して。服装は当たり前のように男用の制服。ペッタンこではない(断言)ほどよい大きさの私の胸はさらしを巻いて隠蔽している。


 私が男だと思っていないのは家族以外存在しません。


 勿論。この男は付き合いが幼稚園の頃からで。十七年知り合いである筈だが。当然の事のように男として接してくる。


 私にとっては有り難いことだが。お父様が「日里。こいつをぶっ殺す許可を」と言い出す始末。


 私に溺愛しているお父様は。いくら私が男装していようが、長年の付き合いの癖して私の女の子としての綺麗さが理解できていないこの目の前のけだものに殺意を抱いています。


 まぁ。お母様に比べたらまだ大丈夫な方ですけど………。


「最近。僕達がホモだと疑わられているから。当分。一緒に帰るの止めない?」


 そう。私とこのけだものがあまりに仲が良すぎる為(他のけだものどもの見た限りです)。ホモ疑惑が浮上しています。


 内心はけだものどもを血祭りに上げていますが………表情に出しません。


「マジで?そんな噂立ってるの?」


 このイケメンは………。はぁ………馬鹿すぎ………。


 このけだものが無駄に顔が整ってるせいで全腐女子生徒にキャーキャー言われたり。全男子生徒に「ホモォ………┌(^o^┌)┐」と言われる。


 そんなぐらいに目立つこの無駄にイケメンはあまりにも鈍感野郎のせいでそんな事にも気が付いていない。現に目の前でアホ面をさらけ出しているから。


「じゃあ。僕はもう帰るから」


 さらに火に油を注ぐ気は私にはありません。この男と一緒に帰るのはこれで最後。流石に風評被害を受けることになったらこのけだものも諦めるでしょう。






「お、待ってたぜ。はよ帰ろう?」


 そんな事はなかった。


「………」


 何で?いくら私がゆっくりと下駄箱に向かって歩いてたからといっても、先に教室に出たのに既に靴を履き替えて出入り口で待っているの?………気持ち悪い………。


「………………さっきの話し聞いてた?」

「ん?………ああ。ホモ疑惑ね?別にただの親友だから別に構わねぇじゃん?」


 殺………あら。つい殺意が漏れそうになりました。


 あと少しでお母様に持たせてもらっている通信機のスイッチをオンにするところでした。危ない………。


 いくら私が女だと知らないのだとしても、わざわざ火に油を注ぐ事する?これだからけだものは………。


「あら。日里。今帰るところ?」

「あ。お母さん」

「御久しぶりです」


 その瞬間にタイミング良くお母様のご登場。


 スーツ姿のスタイル抜群の眼鏡姿のお母様は弁護士で、副業として株をやっている。


 他にもネットワークに優れていて、外国の色々な人達と知り合いで。先程の使わなかった通信機の相手もお母様の知り合いの一人であります。


 まさか………お母様に連絡したのかしら?いつも私の安全確保のために緊急用の通信機と傍で見守っているって言ってたから………もしかして。


「そういえば………変な噂を耳にしたのね………」


 頬に手を当てて困ったようにお母様が呟いた。


「最近。ロメオとジュリエットが摩訶不思議な仲になって世間を騒がしているとか………困ったねぇ………」


 お母様………。


 要するに『私の可愛い日里がクソ生意気なガキのせいで迷惑しているの。いっそのこと殺していいかしら?』と私にお母様が言っています。


「外国の方ですか?それは大変ですね。マスコミはネタがあったらすぐに食らい付くから………」


 貴方がそれを言いいますか!! ていうか………貴方の事を言っているの!!


「そうよねぇ………ボソッ(ここらへんに………)」

「ああ!!お母さん!!早く帰ろ!!」

「そう?」


 何で私がこいつの尻拭いをしないといけないのかしら………。


「じゃあ!僕はお母さんと先に帰るから!!」

「え?ちょ─────」


 何か言っているけどそんな事聞いてる暇はありません!!


 私は脱兎の如くその場をお母さんの手を握って走り出しました。









「もう………折角日里の為に一肌脱ごうとしてたのに………」

「大変だったな………それなら。俺の知り合いの刑事に連絡して………」

「止めて!!お父様もお母様もやらなくて良いから!!」


 そんな事したら明日にはお隣さんが無人の住居になってしまいます!


 はぁ………何で私があのけだものの為に頑張らないといけないことやら………。


 男嫌いな私は、明日もまたあのけだものと仲良く過ごさないといけないと憂鬱な気分になりながら今日も一日を過ごした。

お読みいただきありがとうございました!

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