エステルの憂鬱
少しPV増えてた。
しかし今はこれくらいでいいかな。見てくれる人増えると規制されてしまう。
でも見てくれてありがとう!
嬉しすぎで漏らしそうだよ!
今日シヅキは出張整備のために騎士の学校を訪れていた。
ここはエステルの通う学校。
と言っても今日は学校からの直々の依頼なので会う予定はない。
学校の女子棟と男子棟は離れており、シヅキは男子棟から先に回ることになっている。
しかし、割り当てられた教室に真っ先に殺到したのは女性陣であった。
いつも男子から女子のほうに回るのだが、大体男子のほうに時間を使ってしまい女子のほうに行くときは制限時間ぎりぎりなんてことはざらである。
そのためか今回は女性陣のほうが率先して乗り込んできたのだろう。
そしてその中には当然あの娘の姿もあった。
「エステル。お前は昨日整備しただろ。順番譲ってやりな」
「今日の実戦訓練で使ったから見てほしいの!」
仕方ないなとシヅキは目線を目の前のお客さんに戻した。
「久しぶり。元気にしてましたか?」
「ああ。お前の方も相変わらずだな」
シヅキの前に立つのは徴兵時代の仲間の一人であるミホシという日本出身の転生してきた人であった。
見た目は綺麗とはお世辞にも言えないブスだが気立てが良く話も合う。
そのためシヅキとずいぶん仲のいい友人となったのだった。
さらに仲のいい理由の一つには彼女が彼にとって重要な消費者であるということもあった。
生産者には常に安定した消費者が必要なのである。
「いつもの」
「おう、いつもありがとう!」
このやり取りを後ろでエステルは気に食わなそうに見ていた。
エステルの近くにいた生徒は彼女を敬遠するように距離を取っていた。
学校でのエステルは最強の天才児であり、性格は高圧的。
周りの人は恐れをなして近づこうともしなかった。
しかしエステル自身には高圧的に接してるという気は全然なく、むしろ仲良くしたいとまでに思っていた。
無意識と昔からあまり同年代と接したことのない環境のために距離の取り方が分からないのだ。
ミホシが帰るとエステルは剣を机の上に出した。
鞘から抜かれた剣はギラギラと金属光沢を放っていた。
その光は普通の金属ではなく、明らかに市場にも出回っていないもの。
「この剣が簡単に欠けるわけないんだよな」
これはシヅキの特注品、彼がエステルのために作ったものである。
「うっさい。いいから見てよ」
今日はやけに突っかかるなと思いながら剣を整備した。
夕方、店に戻ると中にエステルがシヅキの椅子に陣取っていた。
「どうしたんだ今日は。やけに機嫌悪いな」
「シヅさ、学校行くのやめてよ」
「え、どうしてすか?」
そう聞いてもそっぽを向いて答えない。
しかし何となく察してはいる。
「俺はお前専属の鍛冶屋じゃないぞ」
誰でも経験があると思う。
自分だけが持っているということに対する優越感を。
カードゲームで誰も持っていないカードを自分だけ持ってるとかそう言ったものだ。
シヅキにもある。
だからなんだか微笑ましかった。
変態でもこんなふうに思ってもいいだろうと彼は思った。
「気持ちは分かるがな」
「分かってない」
「分かるさ」「分かってない!」
強く否定された。
その後しばらく静かになる。
「……今日、あの人はお前の事迷惑に思ってるって言われた」
「それは俺がエステルを?」
頷く。
シヅキはふうと息を吐くとエステルの脇に手を入れて持ち上げた。
そして今度は自分が席に座ってエステルを膝の上に置いた。
「このかまってちゃんめ。これで満足か」
さりげなく胸に手を回して感触を確かめているがやましいことはない純真無垢な心でエステルに語り掛ける。
「……」
抵抗はない。
この子は友達がいない。
だからシヅキが心のよりどころとなっているのだろう。
安心した風に体重をかけてきた。
シヅキにも兄妹がいた。
こんなふうに甘えてくる下の子を相手するのは慣れている。
(家族のみんな、今何してるかな)
ふと、この一年間考えもしなかった思考が彼の頭の中を巡った。
だが今となっては確認のしようもない事であった。
「おい、太もも触るのやめろ」
「え」
ばれた。
さりげなさに定評のあると思ってるシヅキはその一声にぎくりとした。
「あとさりげなく腕で触ってるだろ」
「い、いや……」
平たい草原の頂上に腕を這わせていたのを速攻で看破される。
(くそ、シリアス路線なら気づかれずに触り放題だと思ったのに!)
ただのゲスである。
「ばれては仕方がない! これでもくらえ!」
シヅキは最近生産したが前回使用を拒否された薬、すごい薬一号君をエステルの口に突っ込んだ。
「んん!?」
「こいつは身体能力向上の効果があるが副作用として全身が敏感になる効果が付いている」
飲み込んだエステルの体にすぐに効果の兆しが表れる。
「え? なにこれ? ん、う、あああああああああ!」
少し強めに抱きかかえると顔を赤くして悶絶し始めた。
今回も生産は成功。
「さらに一歩生産者として成長したぜ!」
感激に浸ってるのもつかの間、事件が起きた。
股が濡れてきたのだ。
エステルを乗せている膝が濡れてきたのだ。
「ファ?」
「あ、ああ、あああああああああああああ!」
エステルは羞恥に顔を染め、剣を手に取った。
その目は野獣のごとき眼光を秘めていた。
「アイエエエエエエエエエエエエエエ! 今回は悪かった! ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
今回の悪行はやり過ぎた。
でも反省などしないシヅキであった。
~次の日~
「本当に、申し訳ございませんでした!」
土下座する頭を踏みつけられながら謝るみじめな姿があった。
「今生きているのは私の温情と思え」
「ハイ」
美少女のお小水というご褒美といじめられるご褒美を身に感じながらシヅキは土下座した。
ちなみに昨日の掃除は彼の生産した超水分吸収くんが立派に全部吸い尽くした。
店のドアが開く。
クローズの表示にしていたはずである。
「すみません。今はまだ開店時間ではないです」
踏まれ椅子になりながらも彼は自分の役目を果たした。
ちなみにお尻は意外にも柔らかい。
と、今はそんなことよりも中に入ってきた人の方が重要である。
その人はびっくりするくらいの美人であった。
「エステルちゃん、その人は?」
そう聞く美人さんはどこか見たことのあるような面影をしていた。
シヅキの上に乗っているエステルはびっくりしていた。
それはもう明るさまに。
「お姉ちゃん!? なぜここに!?」
エステルの言葉に納得。
ああ、確かに似てる。
後ここでこの話は終わりだが次回は台風が吹き荒れます。
ここまで読んで作者を変態と思った方。
大正解なのでこれからもよろしくね。
作者のやる気が続く限り、な。