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生産者と汚染者

友達にストーリーの話をしたら、「それロベルトのほうが主人公してね?」って言われました。

「なんだあれは……。何が起きている?」


 防衛陣地にてレオンは天に向かって伸びるどす黒い光の柱を見た。そしてそれが出た途端、全ての人形兵が足を止めた。本来であれば敵の進行がいったん止まったことに安堵するべきではあるが、彼の胸の中に渦巻いているのは不安と恐怖だった。


「ロベルト、シヅキ……無事でいろよ」


 ただ祈る事しかかなわない自分の無力さに思わず唇を噛んだ。指揮を執ることが出来るのが自分だけなのだからここを離れるわけにはいかない。しかし、それが分かっていても今すぐにでも駆け付けたいという強い気持ちがあった。


「……今こそが攻勢のチャンス、奪われた西地区を奪還する!」


 しかし、それは叶わない。今自分がすることが決まっているのだ。住民を救い、国家に平和をもたらすのが軍隊の役目、それを果たすのが軍人の務めなのだから。


 ~~


 真っ黒い焔があちこちで燃えていた。ロベルトによって振り下ろされた剣によるものだった。かつての光の剣の面影はなく、その剣は破壊にのみ特化した異形の物とかしていた。


「……ハイドラ、どうした? まだ余裕だろ」


「……よくもまあ、ここまでの悪意を持てるものだ……。神器での防御もまともに機能しないとはな」


 ハイドラは体中にやけどのような傷を負っていた。片目からは血が流れており、右腕は変な形に曲がっていた。


「再生能力も、ほとんど機能しないか……」


「お前も所詮人間と変わらないということだろう。魔力に限界が来たんだろうな」


 そう言ってロベルトは剣をハイドラの腹に突き刺した。ハイドラは痛みにのたうち回った。


「なあ、ハイドラよ。お前の言う理想とやらは本当に人間の未来のためか? そこに自分の欲得はないか?」


「な、にを、いうかとおも、えば……、そんなものはない! 私は欲に負けるほど弱くは」


「そうか、それは素晴らしいな。欲もなく、ただ誰かのためにと自分の命をすり減らす。とても素晴らしい自己犠牲だな。しかし、欲がないのであればどうして人を救う必要がある?」


「どう、言うことだ?」


「簡単さ。誰かを救うという行動原理がどこから出ているか、ということさ。欲がないのならば、人を救う意味はない。誰かのためになりたいという願望を持つからその行動原理が生まれるのだろう?」


「……たしかに、欲がないというのは言いすぎたかもしれないが、私のこれは人間の持つ身勝手な欲とは違う!」


 ハイドラは取り乱した。それは自分の行いそのものをすべて否定されかねないと思ったからだ。そして、同時に自分の今までやって来たことが自分の最も蔑む人種と同列の扱いにされることが我慢ならなかったのだ。


「……ハイドラ。その考えがそもそも身勝手なんだよ。お前は力をもって、歴史の立会人としてここまで生きてきたが根本的な所、人間の本質的な所は何も変わっていない。むしろ悪化している。自分の考えが誰よりも正しく崇高、そんな幻想に囚われているのではな」


 ロベルトはニヤリと笑った。まるで悪魔のように、その笑顔に知性はなく、ただ純粋な悪意だけが現れていた。


「お前は自分以外の下等人種を間引いて、自分に忠実な人だけで作られる王国を作りたいに過ぎない。そこには正義も大義もなく、お前の欲望だけが火山のマグマのように煮えたぎっている!」


 とてもうれしそうに、ロベルトは喋る。いつもは必要なことしか喋らず、あまり饒舌とは言いがた彼がこの時だけは無邪気な子供の様に話しているのだ。その異常性は彼を知るものが見れば一目瞭然だろう。

 彼は、ロベルトは、もう昔の彼ではないのだ。


 ~~


 シヅキが目を開けた時、そこは廃墟の中だった。体の至る所は痛いが動くには問題ない。彼は体を起こした。


「たしか、ハイドラを狙撃しようとして、それで……」


 そこから先の記憶がなかった。何かの反撃を喰らったのだろうと彼は解釈した。


「シヅ……」


 誰かに呼ばれた気がしてシヅキは振り返った。

 そこには見知った人物がいた。エステルである。

 しかし、彼女は顔にやけどのような物をおっていた。シヅキはそれに驚いて駆け寄った。


「だ、大丈夫か!? 痛いか? すぐに薬をつく……」


 全てを言い終わる前にシヅキは痛みに顔を歪ませた。かなり強い力でエステルに掴まれたのだ。


「い、痛いぞ?」


 シヅキの困惑とは裏腹にエステルは落ち着いていた。

 ……そして、次の瞬間とんでもない行動にでた。



 ……シヅキは唇を彼女の唇で塞がれたのだ。しかも、その時に何かを飲まされた。


 シヅキはすぐにエステルを突き放した。

 しかし、その時にはすでに遅かった。


「……こ、これは、毒か?」


 シヅキは体が急速にしびれていく感覚を覚えた。

 そして、そのうち立てなくなった。

 エステルはニコニコと不気味にただ笑っていた。

シヅキの飲まされた毒としては飲み込むとダメなタイプ的な感じて解釈しています。口に入れるだけなら大丈夫みたいな感じです。

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