生産者の隠し玉
久しぶりの投稿です。
「……時間だな。砲兵隊用意。弾は少ないが要点に火力を集中すれば効果があるはず、全員持ち場をきちんと守れ。歩兵隊は敵の侵攻を肉弾をもって防ぐ。全員、最善を尽くせ」
レオンの言葉と共に各戦域に配置された大砲が火を噴いた。爆音は町中に轟き、それを聞いた人たちは町に異常が起きていることを初めて知った。住民には外出禁止令は出されていたが、危険モンスターが現れた時にたびたび禁止令が出ることはあったので楽観視していた人が多かったが、大砲の轟音はその余裕を一瞬で消し飛ばした。
大砲の第一陣が打ち終わると歩兵隊が突撃を開始した。進軍の音は静かだった。長期戦が予想されているので体力消耗を押さえるために歩兵には危険時以外に走ることを禁止しているためである。しかし、前進は静かであったがいざ戦闘が始まると戦場の戦士たちの叫びが木霊した。
主力武器は剣とこん棒。相手が泥人形ということもあり、普通に切りかかるだけでは倒せない。更に数も多数ということもあり戦局は思わしくなかった。
シヅキはまるでソ連の人海戦術を見ているようだとその光景を評価した。倒されても倒されても次から次へと兵士の波が押し寄せてくるのだ。その波状攻撃の波はまさしく陸の津波と言っても過言ではないほどのものだった。
「あの中を、どうやって進むんすか?」
「人間様、そう考えすぎるな。なにも倒しながら進まなければいけないわけではない。必要でなければ無視するのも手の一つだ」
「リリアはあれを相手せずにスルー出来る?」
「私は無理だと思う」
シヅキはほれ見ろとリリアを見つめた。するとロベルトがシヅキの肩を叩いた。そして、親指を立てながら高らかに言った。
「任せろ。俺ならば道を切り開くのはたやすい。むしろ周りの人が邪魔になるレベルだ」
「そう言えばロベルトはめっちゃ強かったな。頼りにしてる」
「それはこちらのセリフだ。俺では道を作れても、あの怪物にはかなわないからな。蛇の道は蛇ってわけじゃないが、生産者には生産者が一番効果的だ。俺も物量にはかなわん」
そう言うとロベルトは部屋の奥に入って行った。恐らく準備でもするのだろう。
「シヅ、レオン教官が後十五分もすれば進みやすくなるって」
「そうか。エステル、帰ったらお前のおっぱいをもませてくれ」
「そう言うフラグ立てるのやめなさい。シヅ、本当に帰ってきてね」
「もちろん。と言いたいが、今回はいきなりラスボス通り越して裏ボスレベルのランクだからな……」
より一層気合を……、というよりも命を賭けなければ逆に殺されそうな勢いだ。しかし、シヅキにはまだ誰にも言っていない勝算があった。しかし、それはまずハイドラが一体どのような物を作るのかを見定める必要があった。
「……そろそろ時間になるな。ロベルト、準備は」
「問題ない。二度と使わないと思ったが、今回は全力だ」
そう言ってロベルトは何ともごてごてとした剣を持ち出してきた。なんだか勇者が使いそうなシヅキほどの長さがあるそれを担いでロベルトは先に雑貨屋を出た。
「あいつ、何者なんだ」
~~
連絡で指定された城門のところまで来たところで目の前の光景に圧倒された。整備された道は破壊され、兵士が唸り声をあげながら倒れている。至る所に血の痕跡もあった。
「来たか。シヅキ、どのようにしてハイドラを降す?」
レオン教官の問いにシヅキは頷いた。そして、手を正面に出した。すると、光と共に見知った武器が現れた。
「そ、それは?」
それはアサルトライフルだった。そう、シヅキの勝算、それは相手の知らない未知の武器を使えるところにある。
「俺はこの世界にない武器を知っています。ゆえにハイドラすらも存在を知らないと思います。そこに、付け入るスキがあると思います」
「この世界にないって、お前は一体……」
「それは後で。では、行ってまいります」
一行はボロボロになった郊外に繰り出した。
すると少し進んだところでロベルトがわき腹を小突いてきた。顔はやや不満そうだった。
「理屈は分かるんだが、ソ連製のそれはないだろう……」
「そう言えばロベルトはオーストリア出身でしたね」
住んでいた国の隣に共産圏があったのでこの手の話題には敏感なのだろう。しかし、実際優秀だからしょうがない。
久しぶりにかいたら楽しかったです。ただ主人公の名前を何度も間違えました。




