生産者の誕生
こちらの大変身勝手な理由から内容をガッツリ変更しました。
理由はまだこの作品が発展途上にあるためまだまだ改良の余地があるということです。
今後もこのように変更を加えることがあるのでどうかご容赦ください。
目の前に迫る大型トラックにただ唖然とした。
学校帰りのなんてことのない夕方、弟妹たちに奮発して雑誌を買ってやろうと最近できたコンビニに足を運んでいた時の事だった。
少しだけ目の前の建設用重機に目を奪われた。
六月紫月はああいった機械が好きだ。
あの大きくどうやったらあんなものが作れるのかわからない佇まいが堪らない。
意味が分からないかもしれないがそれほどまでに好きだということである。
しかし、それに目を奪われた彼はついうっかりいつもはやらない信号無視をやらかしたのだ。
そしてふらりと出た道路で不幸が重なった。
トラックはさっきからどうも運転がふらふらとしていた。
彼がそれに気が付いていれば危険だと即座に判断しただろう。
しかし、彼はそれを見逃した。
それが彼の人生における最大の不幸であったと言える。
紫月はトラックにはねられた。
六月紫月は偏屈者である。
普通の人間なら普通ならパニックを起こしそうな場面でも彼は落ち着いていた。
たとえ、目の前に死神みたいな変質者が良く刑事ドラマで見るような机に腕を組んでいても驚くほどに落ち着いていた。
「六月紫月、高校二年生で六人家族の長男、趣味は工作で好きなものは女性の裸体と金属全般と機械類と……。ふむ、なかなかいかにも高校生らしいな」
「えっと、どちら様ですか?」
突然自分の趣味を言い当てられて不思議に思っている紫月に死神らしき男はめんどくさそうに答えた。
「国や人種、民族などによって呼び名が変わるからなんと名乗ればいいのやら……、とりあえず死神とでも思っていてほしい」
そう言うと死神はあくびを一つ掻いた。
「全く、最近人間というやつはたくさん死に過ぎではないであろうか? おかげで私の休憩時間が無くなってしまったよ」
死神は大変だるそうに頬杖をついた。
「おまけに、死に過ぎたせいで魂の行き場所であり天国も地獄も満員状態、大変処理に困ってるよ」
出会ってすぐに自分がなぜここにいるのかも分かっていないのに紫月は死神の愚痴に付き合わされていた。
「あの、俺ってなんでここに―」
「いるのか言ってなかったな。手短に言うからちゃんと聞くんだぞ。ここは天国地獄協会黄泉の川支部というところで、君のこれからの行き先を審査するところだ」
「行き先?」
「そう、天国、地獄、そして異世界……ここではその三種類のどこに行くのが妥当であるかを審査している」
紫月は驚いた。
審査に通れば異世界に行くとこが出来るのだ。
出来れば天国に行きたいところだが異世界という選択肢も捨てがたい。
「結果を言うとお前は異世界に行ってもらう」
「え。何でですか?」
「天国にも地獄にも今は空きがない。何とかこっちも処理してるんだがしばらくかかる。というわけで特別悪いことをしていないやつは異世界に好きな能力を持って行ってもらう」
死神の言葉に引っかかる部分があった。
「好きな能力?」
「そう。異世界に言ってすぐに死なれたら俺の仕事が増え、お前たちが可愛そうだからな」
何か言いかけたようだがそんなことはどうでもいい。
この死神は好きな能力と確かに言った。
つまり、もしかしたら異世界で紫月は日本にいた時は叶えられなかった夢をかなえることが出来るかもしれない。
「本当に好きな能力をくれるんだな!?」
「ああ、俺お手製のくまさんキャンディーを食べればどんな能力でも。……なんだ、お前もしかしてほしい能力があるのか?」
紫月には夢があった。
「俺が欲しいのは、なんでも生産できる力だ」
「……超強い能力とかにすれば異世界のヒーローになれるぞ。その力でいいのか?」
死神は紫月の意志を確認するようにその目を見つめた。
だが紫月は揺るがない。
彼の生前果たせなかった夢をもしかしたら叶えられるかもしれないのだ。
「……いいだろう、このくまさんキャンディーをやろう」
こうして、変態が一人異世界に舞い降りたのだった。
僕は書きたいから書くんだ。評価は問題じゃない。
(人気欲しいし最近アニメ熱いしこの流れにあやかって俺も異世界物を書こう!)