第1話 冒険の始まり
本編始まります。
防具を2つ追加しました。
---冒頭に戻る---
「おい!聞いているのか、神崎!無視してんじゃねえよ!」
バカの一人が近寄って来る。
「おい、無闇に動くな!」
「何言ってんだこいつ」(サクッ)
「あれ…」
バカが一歩足を踏み出した瞬間、左腕が肘の上から無くなっていた。
「ぎぃやぁぁぁ~、腕がっ!おれの腕が~~~」
よほどの痛みなのだろう悲鳴を上げ、傷口を抑えながら膝をつくバカ、しかしその痛みは続くことが無かった。
膝を着いた瞬間に首が落ちてしまったのだから、
「なんだ!なにがあったんだ!」
「神崎!てめえがやったのか!」
次々と叫ぶDQN5(いまはDQN4だけど)、あいつらには見えていなかったのだろうか、そこに転がっているバカを殺したモノの正体に…
バカを殺したモノの正体、それは、イタチだった。
いや、そう言っていいのかは分からないが形だけはイタチだった。
大きさはおよそ1.2メートル、口からは鋭い牙を覗かせ前足には5~6センチ程のとがった鉤爪が付いている、なにより体の半分を占める長いしっぽ、このしっぽが薄い刃のようになっている。
その姿は漫画などで読んだことのある『カマイタチ』を彷彿させる姿だった。
「なんだこいつは!」
「こいつがやったのか!」
カマイタチに気付き怒鳴り声をあげるDQNカルテット、しかしそれは周りに潜むモノたちを刺激しただけだった。
「うわぁぁ!か、囲まれてるっ!」
「お、落ち着け!お、俺たちは最強の能力を手に入れたんだ、こんな奴らどうってことな」
すべてを言い切る前に後ろから奇襲をかけられ喉をかみ切られるバカ、かみ切ったのは2メートルを超す『迷彩模様の豹』の様な生き物だった。
次々と姿を現す異形の化け物たち、体は4メートルを超え頭に一本角を持つ赤黒い熊、汚らしい格好の醜い子鬼の群れ、豚の顔をした二足歩行の化け物、体と同じくらいの長さの腕をもつ大猿、コモドオオトカゲのような3メートル程の生き物等々、多種多様な化け物が俺たちを囲んでいる。
化け物たちは互いに警戒しているようであった。
もしかしなくても俺たちを餌だと思っているのだろう、互いに牽制し合いいい所をかっさらう気なのだろう。
「なら、まだ生き延びるチャンスはあるか」
小声でそう呟いた時、
「に、逃げろっ!殺されちまう!」
とバカ1人が包囲されているにも関わらず走り出した。
バカの行く手には子鬼(多分ゴブリンだろう)がいる、群れているとは言え1メートル程しかないゴブリンが一番弱いと見たのだろう、パニックになっていたとは言え中々の判断力だと忍は思った……まあ、突破できるだけの力があればの話だったが。
案の定バカは十数匹のゴブリンの攻撃を凌ぐ事が出来ず、足をナイフで傷つけられ転んだところに鈍器による撲殺、という形でこの世を去った。
その事が切っ掛けになったのか、バカ達に化け物が群がる。
1人は熊に殴打され、もう1人は魔法を放とうとしたのか棒立ちになったところをオオトカゲに食いつかれ、何も出来ないまま、もみくちゃにされながら死んでいった。
俺はなるべく気配を消していたのが良かったのか、バカ達が騒いだのが良かったのかは不明だが、まだ目を付けられてはいなかった。
(今のうちだ!)
そろりそろりと足音を殺しその場から離れて行った。
化け物たちはバカ達の死体を漁る事に夢中であったり、互いに殺し合いを始めたりとほとんどが俺に気付いていなかった。
100メートルは離れただろうか、化け物たちの争い声が遠ざかっていく。
忍が一息ついた時、何かの気配を感じた。
カマイタチだ俺に向かって飛んで来ている。
避けるには距離が短く相手も速い、だが忍にはカマイタチの動きがはっきりと見えていた。
(やはりそこまで速くは無い、これなら!)
忍は飛んでくるカマイタチに合わせて、カウンター気味の右フックを放つ。
右フックはカマイタチの左肩辺りに当たりそして……カマイタチが爆散した。
呆気に取られる忍、しかし背後から今度は豹が飛びかかって来る。
「うわぁぁ、止まれ~」
突然の事に忍はそう叫びながら、豹に向かって反射的に手を向ける。
ベキンッ!
忍と豹の間に透明な壁のようなものが出現する。
豹はその壁にぶつかりドサリと地面に落ちた。
ぶつかった際に首の骨でも折ったのであろう、首が右側に90度以上曲がっていた。
忍の叫び声を聞いて化け物たちが集まって来る。
大猿や四足の化け物はすごい速さだ。
忍は意を決して反対方向へと全力で走り出す、するとあり得ないほどに体が軽く、しかも速い。
体感的には100キロを超えているようだった。
かといって速さに振り回されている訳でも無い、森の中で迫りくる木々を避けての体感100キロの速度だ。
そんな忍に化け物たちは追いつける訳も無く、追走劇は忍の圧勝で幕を閉じていた。
そのまま30分は走り抜けただろうか、目の前には川が流れている。
当面の危機は脱したようだ。
「何なんだこの体は、あの速さで30分近くも走れるなんて…、あり得ないぞ」
忍は疑問に思いながらも空腹を感じ老人から貰ったバックを開けてみた、中には
、
液体の回復薬2種類が5個づつ、回復薬軟膏が5個、抗菌薬錠剤タイプと液体タイプが5個づつ、5日分の携帯食と2リットル程の水が入った水筒が5個と金貨10枚が入った袋が6個あった。
さらに忍のバックには武器と防具が幾つか入っている。
「これってもしかして、あのバカ達の分も入っているのか」
武器や防具を見て確信する忍、そして仮説を立ててみた。
「まず何らかの理由で、あのバカ達に贈られるはずの能力が無かった、もしくは俺に贈られた。これならあいつらが化け物にあっけなく蹂躙されたのも納得できる、最もただ単になめていただけと言う事もある。後者なら俺の極端なパワーアップも説明できる」
そう考えてバックの中身をみて、
「後者の方が可能性が高そうだ、確かバカの1人が武器と防具を寄越せと言っていたからな」
袋にまとめられた6個の道具にバカが望んだ武器などがその証拠だろう。
「まあ、あいつらは気の毒だったが、俺のせいじゃ無いしな。有効に使わせて貰おう」
そう言いながら携帯食を食べながら袋の中の道具の説明を見る、ご丁寧に説明書いりだった。
『マジックバック』…魔法で出来た鞄、生きているものは収納不可(例外有)、収納量制限なし(入れておけば品質が変化することは無い)
『液体回復薬』…緑が体力、青が魔力量を回復させる、一本100ミリリットル(HPとMPみたいなもの)
『回復薬軟膏』…傷薬50グラム入り(塗り薬、口に入れても効果があり害は無い)
『抗菌薬』…殺菌や破傷風予防に効果あり、錠剤10粒ワンセット一回一錠、液体一本200ミリリットル(液体タイプは消毒液でもあり傷口にかけたり飲んでも効果あり)
『携帯食』…3食5日分計15食入り(固めの丸いパンのサンドイッチ)
『水筒』…中身は普通の水(水筒は再利用可能)
『お金』…金貨10枚、1枚日本円でおよそ10万円(白銀貨1枚=1000万円、銀貨1枚=1万円、大銅貨1枚=1000円、銅貨1枚=100円、半銅貨1枚=10円)
と書いてある、それが6人分。
武器や防具に関しては、
『聖剣エクスカリバー』…全長1.5メートル、刃渡り1メートル幅最大20センチ 存在する武器の中で最強を誇る武器特徴、使用者の魔力や自身の性能を最大10倍まで増幅し使用する事が可能で、あらゆる魔法を打ち消す効果がある。
『神剣デュランダル』…全長1メートル、刃渡り70センチ幅最大10センチ特徴、切れ味が鋭くエクスカリバーさえ凌ぐ、使用者の魔力や自身の性能を最大5倍まで増幅し使用する事が可能で、相手の持つ魔力すら切り裂くことが出来る。
『魔剣フラガラッハ』…全長80センチ、刃渡り50センチ幅最大6センチ特徴、切れ味はそこそこと言った感じだが、切るたびに相手から少しずつ魔力を奪う事が出来、切られた傷口は治りにくく傷口がふさがるまで魔力が流れ出てしまう。手元に無くても使用者が念じれば手元に現れる。能力を増幅させる効果は無い。
『聖具アイギス』…特徴、存在する盾の中で最硬を誇る防具。左手用の防具で普段は腕輪の形になっている。大きさは使用者に自動で合わせることが出来る。念じると籠手の形となり、例え他の籠手を着けていたとしても使用可能。使用者の望む形の透明な障壁を創り出すことができ、ドームのようにして自分を中心に覆う事も可能。最大で半径5メートル程
『大精霊の鎧』…大精霊によって作られたとされる鎧、特徴、あらゆる魔法耐性を備え装備していると体力・魔力を少しづつ回復させる効果がある、鎧と名が付くが使用者の思う形に変化する防具であり、頭部以外の部位がセットになっている。
『魔法のカツラ』…特徴、あらゆる頭にフィットし、髪の色、長さ、形を変えることのできる頭の寂しい人達には垂涎もののカツラ。それなりの防御力を持っている。
『ヘルメスの靴』…空を走ることが出来る。距離は使用する魔力による。
とある。
さっそく装備することにした、カツラ以外を、
武器はフラガラッハ、これは全体的に黒く刃と柄だけの両刃の直刀だ。
防具はアイギスを左手にはめる、プラチナっぽいシンプルな腕輪だ、重さは感じない。
大精霊の鎧はロー〇・オ〇・ザ・〇ングで見たような服を参考にして、シャツと短パンの上から着た。
靴はヘルメスの靴に変える。安売りで買った靴(¥1980)よりどう考えても上だろう。
腹も膨れたしそろそろ動くか、まずは人の住んでいる場所を探そう。
「さぁ、異世界冒険の始まりだ!」
没タイトルが「さらばDQN5」でした。
これでもいいかなと思ったんですが、不良たちはただの踏み台でしたので没にしました。
忍の正体は後々明かします。
ヒロインは出す予定ではありますが、いつ出るかもどのようになるかもまだ決まっていません。