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★男3女1【男だべり会議と透明ミッション】番外編2【名無し姫の不始末】35分台本★

作者: 七菜 かずは

【男だべり会議と透明ミッション】番外編2【名無し姫の不始末】


著者:七菜 かずは






登場人物

●ジョーカー :

●ダナ    :

●テトラ   :

●クロム   :






■シーン1


海賊船エドガー内部。テトラの調整用ベッドがある部屋。色んなモニターを見ながら、テトラのシステム調整をしているダナ。


テトラ「はぁ(裸で、調整用ベッドに横になっていて)……助かるよ。ダナ。こればっかりは、自分じゃ出来ないからね」


ダナ「ん、いーや。まあ、いつもコーラの調整やってっから。慣れてるしな。別に構わねぇよ。ちょこちょこ主電源落とさなきゃなんねぇしなあ」


テトラ「ジョーカーにやってもらおうしたんだけど……」


ダナ「フッ。こりゃ地味で繊細な作業だからなぁ。あいつには向いてねーだろ」


テトラ「ふふっ。確かに! ジョーカーが地味な作業とか……笑えるよね。いつもはさ、わざわざインドランス協会に行ってやってるんだけど……」


ダナ「ああ。ニュースで見たが。調整料金、また上がったろ?」


テトラ「そうなんだよ! もう。こっちだって命繋ぐのに必死だよ」


ダナ「ははは。毎回コーラと一緒にまとめてやってやろうか?」


テトラ「うーん……。凄くありがたいけど、ずっとナナシと一緒の航路って訳じゃないだろうし。それにほら……。こう……裸にならなきゃいけないでしょ? って、あれ? コーラもだよね!?」


ダナ「はっ。やる前からコーラが嫌がるかもな? お前も一緒だと!」


テトラ「う、うん……。だからクロムにも頼めないしなぁ……。まったくもう。こう……パッ! と調整が出来るようなマシンが開発されれば良いのにぃ」


ジョーカー「(いつの間にかテトラの部屋に入ってきて)逆にお前が調整不必要なインドランスに改造されろよ。テトラ」


ダナ「おっ、と」


テトラ「わっ。びっくりしたぁ。いつから居たの?」


ジョーカー「助かるよ、らへんから(デスクの椅子に腰掛け。足を組み。煙草を吸い始める)」


ダナ「声掛けろよ。っつーか、ここで煙草吸うな! 精密機械並んでんの、わかんだろっ!?」


ジョーカー「うるせぇ」


テトラ「っ! そうだよ。趣味悪い。頭悪い! ダナ、もっと言ってやってよ! 壊れたら、まぁた余計にお金がかかるんだからね!」


ジョーカー「ふっ。誉め言葉か?」


ダナ「テトラの調整、お前覚えてやれよ。ジョーカー」


ジョーカー「だから。何度もやったことあるっつってんだろ」


テトラ「酷い目にあわされただけだよ……」


ダナ「電気ショック与えたり?」


テトラ「そうそう! あああ……」


ジョーカー「切っちゃいけねぇ線を切ったりとかな。ククッははははははっ!」


テトラ「笑い事じゃないから!」


ダナ「ジョーカー、アウト」


ジョーカー「死ななかったんだから別にいーだろ」


テトラ「よくないよ!」


ダナ「ひでぇなホント。……ああっ?」


テトラ「ん? どうしたの?」


ダナ「神経系統に微妙な歪みがあるな……。ちょっと解析するわ」


テトラ「ああ……ありがとうー……。はぁ。うちにもダナが欲しいなぁ……。うう……」


ダナ「泣くな泣くな。あ、そーだ。ダークに頼めば?」


ジョーカー「ブッ……!! クククッ……」


テトラ「(脅えて)あ…………あぁ……」


ダナ「あぁっ?」


テトラ「ダナ、騎士やってた時ずーっと一緒に居たのに。ダークが機械オンチなの知らないの?」


ダナ「へえっ!? そ、……えっ!? そうだっけか!?」


ジョーカー「あいつのまわりにはいつも優秀な研究者とインドランスが居るからな。今まではずっと、指揮だけとってりゃよかったんだろ」


テトラ「まあ、統率力はほんとに高いもんね。ダーク。身体の底からリーダータイプだし」


ジョーカー「チッ。ホント気に喰わねぇ」


ダナ「ははっ。好きな奴も体質も一緒。ってか? 流石双子!」


ジョーカー「おい。気持ちワリィ発言すんな。吊るすぞダナ」


ダナ「カカカ。まあジョーカーには束ねる程の仲間が居ねえか! (ジョーカー「ほっとけ!」)あー。いや、だがな。お前にクロムを取られる位なら、ダークに取られたほーがマシだっつぅの」


ジョーカー「なんの話だよ……クソ」


ダナ「てめぇになんかな、うちの大事なクロム・ロワーツは渡さねぇよ!」


ジョーカー「いつまで過保護ぶってんだよオッサン!」


ダナ「黙れ。っつーか、おめぇと結婚したがる人間なんかこの世に居るわけねぇか? はっはっはっはっは!」


ジョーカー「はっ。じゃあ近いうちにクロムに言わせてやろうか? 俺のことを愛してるってな!」


テトラ「(苦笑)……へぇっ……?」


ダナ「幻想を夢見るたぁ。乙女チックだなぁ、ジョーカーちゃんよ!」


ジョーカー「あぁ!? 誰がだ。もう一回言ってみろ」


テトラ「まあまあ、ジョーカー! どうどうどうどう! ……だ、ダナ。あのさぁ……話戻るんだけど」


ダナ「ぁん?」


テトラ「コーラの調整は、毎回ダナがやってるんだよね?」


ダナ「ああ。まあ」


テトラ「そ、そうなんだ……。あの子、ダナには裸見られても平気なのかなぁ」


ダナ「ん? コーラ、調整用の水着着るぜ?」


テトラ「はっ、調整用の水着!? な、なにそれ! そんなんあるの!?」


ダナ「ああ。結構前に通販で買ったんだよ」


テトラ「っ!!!! っそ、それがあればクロムに全身アレコレして貰えるっ……!!」


目の色が変わるジョーカーとダナ。


ジョーカー「おい。今なんつった」 ダナ「お前それが狙いかよ!!」


テトラ「クックックック……」


ジョーカー「させるかよ」


テトラ「ふふっ。やだなあ。インドランス・ミスター紳士と呼ばれたこの僕が、妙なこと考えてる訳ないじゃないかっ。あははははっ! コーラの調整とディラのお守りとナナシの操縦で忙しいダナに任せるのは心苦しくてさぁ~。(だからね。機械が得意なクロムに頼もうかな~なんて思い付いちゃった訳だよふふふふふふっ)……」


ダナ&ジョーカー「(テトラの括弧内台詞にかぶせる)ざ、け、ん、な!!」


テトラ「なんだよう」


ダナ「大悪党のふしだらな調整を、うちの大事な姫にさせられっか!」


テトラ「ふしだらなことなんもないでしょ! ただちょっと僕が脱いで水着になってクロムにあちこち触れて気持ちよく……。健康かどうか見てもらうだけだよっ! (何が悪いのさ~。人種差別? インドランスにだって人権あるんだからね!?)」


ダナ&ジョーカー「だ・ア・ホ! 黙れっ!!」


ジョーカー「船長命令だ。それだけはさせねぇ!」


テトラ「なんでだよー! 差別差別!」


ダナ「いや。だから。ジョーカーがテトラの調整の方法覚えりゃいいんだって!! そうだろ! それで解決すんだろ!」


ジョーカー「だが断る」


ダナ「なんでだよ!」


テトラ「ふふふ……」


ジョーカー「おい。何妄想してんだよ!」


テトラ「だってさぁ~。クロムがこう……僕の全身に指を滑らせながら……“テトラ、悪いところがあったら私がすぐ気持ちよく……あっ、違っ! す、すぐに直してあげますからねっ”……とか! 言ってくれるんだよ!?」


ダナ「ぎゃー! やめろぉぉぉ!」


ジョーカー「コア握り潰してやろうか」


会話を続ける三人。(テトラ「えー? いいじゃーん。いいでしょ? ねっねっね!」 ジョーカー「よくねえし。ホントよくねぇし」 ダナ「どこが紳士だよ! ボケ!」……アドリブで続ける)


クロム「は、入り辛いな……(食事の時間なので、三人を呼びにきた)」


テトラ「ジョーカー。あははっ。そんなに僕のこと羨ましいのぉー? バカだなぁー」


ジョーカー「ふざけんな」


ダナ「テトラ! もういい! 俺が調整してやるって言ってんだろっ!」


クロム「み、みんな……ご飯、……ご飯です」


テトラ「待って待って。話し合おうよ! (ジョーカー&ダナ「ああ!?」) ダナもクロムに調整されたいんでしょ!? わかるわかるよ。その気持ち……」


ジョーカー「ダナは、アイゼルのロリータ調整マシンにイジられんのが好きなんだよ」


テトラ「えーっ! ……あっ。そ、そう……だったねっ……(視線を逸らしていく)」


ダナ「何その可哀想なもんを見るような目ぇっ!? ちげーよ! 誤解だっつの! だってそりゃあ男に触られるよりかは女のほーがいーだろ! 結構ギリギリのとこまで触れんだから!」


テトラ「めっちゃ引いたー。ジョーカーよりロリコンじゃん」


ジョーカー「いや俺はロリコンじゃねーよ!」


テトラ「九歳の時のクロムの写真、枕の下に隠してる癖に?」


ダナ「エッ………………」 クロム「!?」


ジョーカー「ちょ待て! なんで知ってんだよ!」


クロム「……。みんなー……。先に食べてますねー……(扉を静かに閉める)」


ダナ「すげえこと知っちまったな……」


ジョーカー「テトラ……歯ぁ喰いしばれ」


テトラ「エッ?」






■シーン2


真夜中。テトラの部屋を訪ねてくるクロム・ロワーツ。


クロム「(ノック)テトラ? あのう。コーラのギア用オイルが足りなくなってしまって……。少し分けて頂けませんか?」


返事はない。


クロム「……テトラ? ……さっきお風呂に入っていたから。もう寝ちゃったのかしら」


勝手に扉が開く。


クロム「っ……! し、失礼します?」


ジョーカー「クロム?」


クロム「っ! あ……。ジョーカー……。と、ダナ?」


ダナ「よっ」


いつの間にか、背後にダナとジョーカーが居る。


ジョーカー「どうした?」


ダナ「テトラ居るか? ちょっと借りたいもんあってな」


クロム「ダナもですか……」


ジョーカー「? ……なんか変な臭いがするな」


クロム「? ……そう言われれば……」


ダナ「テトラー? 入るぜーっ」


クロム「失礼しますっ」


三人で、暗い部屋の奥へゆっくりと進む。


ジョーカー「相変わらず気味が悪ぃ部屋だな……。(少し躓く)っ!」


クロム「魔女の部屋みたいですよね……」


ダナ「あいつまだ錬金術まがいのことやってんのかよ?」


クロム「呪術とかおまじないとか大好きですもんね。テトラ」


ダナ「おーい。テトラー?」


ジョーカー「一番広い部屋のはずなんだがな……。狭ぇな……」


クロム「(足下の本に躓いて)っあ! きゃっ!?」


ダナ&ジョーカー「っクロム!(ジョーカーはクロムの腕を掴む。ダナはクロムの腹を受け止める)っ……」


クロム「す、すみませんっ……」


ダナ「怪我ねぇか?」


クロム「だ、大丈夫です」


ダナ「危ねーなまったく。少しは部屋片付けろ……」


ジョーカー「……あっ」


ガチャン! という音がし。テーブルの上にあった何か薬品を地面に落とし割ってしまう。


クロム「っ! じ、ジョーカー……!」


ダナ「あーあ」


ジョーカー「んだよ。俺のせいかよ」


ダナ「怒られんぞ。ちゃんと片付けろよなー」


テトラ「ぁぁー……? (奥からパジャマ姿で出てきて)ふぁぁ……。なにー? どしたのー? みんなしてぇ」


クロム「あっ、テトラ」


ダナ「ん? さっきの瓶……。なんか札が付いてねーか?」


テトラ「……ああああっ!?」


ダナ「ん?」


ジョーカー「“クリスタリア”……?」


クロム「透明……?」


テトラ「そっ、それっ……!!」


クロム&ジョーカー&ダナ「?」


ダナ「な、なんだ? 今こぼした薬品から……」


ジョーカー「煙!?」


ダナ「ガス!?」


テトラ「み、みんな逃げてっ! それはまだ未完成っ! ……っ!」


クロム「……? な、ん、だか……」


ダナ「っ……う、眠、い……」


ジョーカー「……おれ、も……?」


テトラ「だ、め……みん、な……。眠ったら……取り、返しが……っ」


全員倒れ。深く眠り込む。






■シーン3


クロム「さ、むい……。裸足とか……拷問ですか……。ここは……どこ……」


見知らぬ町。豪雪の中を素足で歩いているクロム。


クロム「テトラ……。ダナ……。ダーク、……っ! コー、ラ、ディラ……」


意識を失いかけ、倒れる。


クロム「じょ……か……」


テトラ「クロム! クロムっ!」


クロム「て、とら……?」


テトラ「大丈夫!?」


クロム「……」


テトラ「しっかりして! ほら! お湯とホッカイロとブーツ! 飲んで当てて穿いてっ!」


クロム「……んく、んくっ……っ。っ……ありがとう……」


テトラ「良かった。はやく現実に戻らないと大変なことになるからね!」


クロム「現実?」


テトラ「うん……。あの薬は、まだ未完成で。見知らぬ異空間に強制ダイブしちゃうんだよ」


クロム「ダイブっ!? じ、じゃあこの夢みたいな空間に私たち、現実の意識をまとめて飛ばされたってことですか!?」


テトラ「うん。そうなんだよ。でも、ダイブに慣れてるクロムなら、出口はすぐに見付かるよね!?」


クロム「ええ、多分……。で、でも。一緒に巻き込まれたジョーカーとダナも探さないと! 同じ瞬間にダイブインした生命体は、同じ出口でないと脱出できませんから!」


テトラ「わかってる。っ急ごう!」


クロム「あ、あの。ここって、どういった場所なんでしょうか……? ダイブ環境の基礎理論なら大体わかるのですが。それを構築しているものは……?」


テトラ「うーん……。この赤煉瓦の町並みといい。ここ、またお伽噺の中みたいだよね」


クロム「お伽噺?」


テトラ「僕もほら。なんだかヘンテコな王子様の格好してるし」


クロム「え、ええ。あまりにも似合っていたので突っ込めなかったのですが」


テトラ「あははっ……。ふふふふっ。ははははははっ……」


クロム「?」


テトラ「不思議だね。あんなに寒かったのに。誰かがそばにいてくれるだけで。こんなに気が楽になる(クロムと手を繋ぐ)。人と人は、心の熱を失わなければ。いつまでもあったかいんだ……」


クロム「テトラ……。ふふっ。……私も、そう思います。(テトラの髪をそっと撫でて)……テトラ、貴方を開発した人は。本当に、“人の心”を生み出した人なんですね」


テトラ、自分の頭の王冠を、両手で丁寧にクロムにかぶせる。


テトラ「ふふっ。はい、王の冠。クロムが着けててよ。どこの国のものかはわからないけどね」


クロム「わ、私に王冠なんて」


テトラ「似合うよ。さぁ、行こう」


テトラ、クロムと再び手を繋ごうとするが、互いの手が透け。すり抜けてしまう。


クロム&テトラ「っ!?」


クロム「て、テトラ、今っ……手が透けて……!」


テトラ「お、落ち着いてっ。多分、副作用だ。透明になれる薬を作ってたから……」


クロム「それは――物理的に、ですよね?」


テトラ「勿論」


クロム「このままでは私たち、消えてしまうっ!?」


テトラ「いっ急ごう!!」


クロム「うんっ……!」


ジョーカーとダナを探すため、町中を駆けていくクロムとテトラ。






■シーン4


ジョーカー「ダナ……。冗談はやめろ」


ダナ「そりゃこっちの台詞だ……」


タキシード姿のジョーカーと。ウェディングドレスを着ているダナ。

町人たちに囲まれ。チャペルで挙式をあげているふたり。

(以下、歓声と拍手喝采。町娘:クロム。少年:テトラ。オバサン:ジョーカー。オジサン:ダナ)


町娘「おめでとうーっ!」 少年「おめでとうーっ!」 オバサン「末長くお幸せにーっ!」 オジサン「羨ましいぜ! ヒューヒューッ!」


町娘「おめでとうーっ! きれいだよーっ!」 少年「さあ、誓いのキスを!」 町娘「キース! キース!」 少年「キース! キース!」


盛り上がる。


ジョーカー「すっげー死にてぇ……」


ダナ「珍しく意見が合ったな」


ジョーカー「逃げるぞ」


ダナ「ああ」


少年&町娘「永遠の愛を誓いますかぁっ!?」


ダナ&ジョーカー「誓うかぁーっ!!」


テトラとクロムが教会の入り口から飛び込んでくる。


テトラ「げっ!? だ、ダナ!? 何!? 怖っ! えっ!?」


クロム「だ、ダナ!? わ、わたしだってまだなのに!」


テトラ「えっ?」


クロム「ジョーカーのばかっ」


テトラ「く、クロム。とりあえず二人を連れ出さないと!」


クロム「そうですね。っ、ジョーカー! ダナ! はやくこの空間から脱出しますよ!」


クロムとテトラの声が一切聞こえていない様子のジョーカーとダナ。


ジョーカー「……?」


反応がないジョーカーとダナを見て。クロムとテトラ、疑問に思う。


クロム&テトラ「っ?」


ダナ「ジョーカー? どうした」


ジョーカー「今なにか聞こえたか?」


ダナ「あ? いや……。黄色い歓声しか」


ジョーカー「なあ、ダナ」


ダナ「なあに?」


ジョーカー「……? ……っ」


身も心も女体化するダナ。ジョーカーとダナ、現実の記憶がどんどんなくなっていく。


ジョーカー「わっ!? お、お前っ……! 胸!?」


ダナ「(ぶりッ子)えっ? な、なに? ジョーカー?」


ジョーカー「声帯は変わってねぇのかよ! キモッ……! ……? (頭痛がして)……ッ。なん、だ……? んな……んが、ぼやけて……」


ダナ「ジョーカー。さあ。指輪を交換しましょう!」


ジョーカー「あ、ああ……。……?」


ダナ「さあ。テイク・マイ・ハンド!! あたしの為だけに呼吸をして!!」


ジョーカー「……ああ……」


ダナとジョーカー、手を取り合う。


クロム「ジョーカー!?」


テトラ「なっ何キモいことやってるんだよ!? ちょっと! 二人とも正気に戻ってっ!」


クロム「ダナ!! やめて下さいっ! 外に出ましょうっ! (寄り添おうとするダナとジョーカーを引き剥がそうとするが、身体がすり抜けてしまう)――っ!? テトラ……! 私たち、このまま消えてしまうの?」


テトラ「……っ」


クロム「テトラってば!」


テトラ「……。クロム、出口を探そう……」


クロム「えっ!? ジョーカーとダナは!? 置いていくんですか!?」


テトラ「信じなよ。きっと二人なら非常口を使って脱出してきてくれる」


クロム「そんな命懸けのことっ……! させられませんっ! 非常口は、宇宙服なしの生身では絶対に……!」


テトラ「待って! 僕は地球星団インドランスとして。君を守る義務がある」


クロム「(首を横に振り)ジョーカーは貴方の主人でしょう」


テトラ「そう。僕の唯一無二の仲間だ」


クロム「見捨てないで……」


テトラ「クロム、もっと前向きに。僕らだけでも助からなきゃ! 一度まず外に出て――……」


ダナ「好きよ! ジョーカー!! 永遠に繋がりたいっ!」


ジョーカー「……ダナ……俺もだ……」


ダナ「好きよ!!」


ジョーカー「好きだ!!」


ダナ&ジョーカー「永遠に繋がりたいっ!」


テトラ「ううううううううっ!? げろっ……! クロム、あんな汚物。見ちゃダメだよ!?」


クロム「ジョーカー……。っ!」


再びジョーカーに近付くクロム。


テトラ「あっ! っクロム!?」


クロム「ジョーカー! いつからそんな趣味になったんですか!! 正直気持ち悪いです!」


ダナ「ねーえ? 好き?」


ジョーカー「好、き……」


クロム「っ!?」


ダナ「愛してる?」


ジョーカー「……愛、してる……」


クロム「っ……!」


テトラ「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……」


クロム「ジョーカー……」


テトラ「ど、どーして落ち込んでるのかなあ? クロムー? ジョーカーがダナに求愛するわけないじゃんかー。これは、ただの悪夢だよっ! ねっ!」


クロム「私には……そんなこと言ったこと、ないくせに……なんなの……」


テトラ「クロム?」


クロム「ジョーカー! 目を覚まして下さいっ! っ! っ!」


テトラ「クロム! もう無駄だよ! 行こうっ!」


クロム「ジョーカー! 私にはすきなんて言ったことないくせに!! ……言ってくれない、のに。いつも……そう。お姉さまや、ディラ、他の人には……。優しい顔を……するくせに」


テトラ「……(クロム……)……」


ジョーカー「っ? ……ダナ?」


ダナ「うんっ?」


ジョーカー「今、何か言ったか?」


ダナ「えっ? ううん。なんにも?」


ジョーカー「そうか……。? ……」


クロム「ジョーカー……」


ダナ「さあ。誓いのキッスを、しましょうっ! んっ、んっ、んーっ! んんんんーっ! ちゅううううう……」


ジョーカー「んっ!? ん、むぐっ……」


テトラ「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ……なんでこんなことに!? なんで!! 誰か夢だと言ってぇ!」


クロム「……っ」


ジョーカー「……?」


ダナ「んっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっ……! んっ、んんっ……。ぷはっ。あら? ……どうしたの?」


ジョーカー「はっ、はあっ……い、いや、なんでもない」


ダナ「ジョーカー!? 凄い湿疹よ! どうしたの!?」


ジョーカー「ど、どうして……だろうな……?」


テトラ「身体が拒否反応示してる!?」


クロム「……。……」


ジョーカー「クロム」


ダナ「?」


テトラ「っ!?」


クロム「! ……」


ダナ「ど、どうしたの?」


ジョーカー「え、あ、いや……。口が勝手に……。いま俺、なんつった?」


クロム&テトラ「っ……」


ダナ「クロム……?」


ダナとジョーカー、突然クロムの存在がわかるようになる。クロムとテトラの身体が白く輝く。


クロム「きゃぁっ!?」


テトラ「えっ! な、何!? か、身体が光ってる!?」


ジョーカー「えっ。く、クロム?」


ダナ「わっ! クロム!? テトラ!?」


記憶も身体も全て戻るダナとジョーカー。テトラも見えるようになる。


テトラ「ダナ、身体が男に戻った!?」


クロム「ダナ!」


ダナ「んっ? あ、あれ? えーと、」


ジョーカー「……(困惑していて)」


ダナ&ジョーカー「(現実を理解してしまう)ハッ……!」


テトラ「あっ!」


クロム「あっ……!」


ジョーカーとダナ、口元を押さえて。


ジョーカー&ダナ「おうぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ……!!」


クロム「私たち、見えるんですか?」


ダナ「あ? あぁ……。く、クロム」


テトラ「(どん引き)とりあえずソレ脱ぎなよ。ダナ……。目が死ぬ。ってか、その汚い手でクロムに触らないでよ汚らわしい」


クロム「ジョーカー……!」


ジョーカー「あ?」


クロム「良かった……っ」


ジョーカー「クロム……」


今度はジョーカーとダナの身体が消え始める。


全員「っ!?」


ダナ「な、何!? か、身体が消えてく……!?」


ジョーカー「俺も――」


クロム「い、急いで脱出しましょう! さあっ!」


クロム、ジョーカーの手を掴み。教会から出ていく。二人を追いかける、テトラとダナ。


ジョーカー「お、おいっ! 待て。クロム!」


ダナ「おー。ドラマティック!」


テトラ「普通さらわれるのは花嫁でしょ?」


ダナ「良し。さらえ! テトラ!(テトラに手を差し出して)」


テトラ「こんなゴツいのやだーっ! 逃げるっ!」






■シーン5


駆けていく四人。


クロム「っ!! あれは……ログゲート! ジョーカー! 広間の噴水の所、ダイブアウト出来ます! 行きますよ!」


ジョーカー「おい急かすな。ちょっと待てって!」


クロム「っ!? さ、触らないで下さいっ! ケダモノっ!!」


ジョーカー「はっ!? お前が掴んできたんだろ!」


クロム「はぁ!?」


ジョーカー「はぁ!? じゃねぇ! もうちょい可愛く妬けねぇのか!」


クロム「はっ。なんでダナに妬かなきゃいけないんですか!!」


ジョーカー「そりゃそうだがお前がそんだけ冷静を失うのはらしくねぇだろ!」


クロム「らしくない……? っ……」


瞳が潤うクロム。


ジョーカー「な、なんだよ。泣きたいのはこっちだ」


クロム「ばか……」


テトラ「(二人に追いついて)おーい。泣かすな。変態ゲイ野郎」


ジョーカー「誰のことだ。白タイツ穿いて妙な格好してる奴に言われたくねーな」


テトラ「ちゃんと言いなよ。(超カッコつけて)俺が愛してるのはダナじゃなくてお前だ、って!」


ダナ「そーだそーだ」


クロム「やめてくださいっ! ほ、ほら。ゲートに飛び込みますよっ! テトラ! ダナっ! 入って入ってっ!」


テトラ「はいはい。よいしょっと」


ダナ「んっ」


ログゲートに入るテトラとダナ。クロムも、二人に続けて入ろうとする。


ジョーカー「待て」


クロム「? なんですか?」


ジョーカー「あ……いや、別に」


クロム「っ……」


少し気まずい。


クロム「……ジョーカー」


ジョーカー「ん?」


クロム、ジョーカーの胸の中に飛び込み。顎にキスをする。


クロム「(ちゅっ)……」 ジョーカー「!!?」


クロム「……」


ジョーカー「……」


クロム「ふふっ……ふふふっ」


ジョーカー「な、なんだよ」


二人、見詰め合って。クロム、ジョーカーの狐の面をそっと取る。


クロム「他の人を」


ジョーカー「……」


クロム「すきにならないで下さい」


ジョーカー「っ……。……その予定だ」






■シーン6


テトラの部屋。同時に起き上がる四人。


テトラ「う、うん……」


ダナ「も、戻ってこれた……のか」


クロム「良かった」


ジョーカー「ウッ……!」 ダナ「ウッ……!」


ジョーカー&ダナ「おうぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ……!!


テトラ「ちょっとー! 人の部屋で吐かないでーっ!」


ダナ「元はと言えばお前のせいだろうが!!」


ジョーカー「そうだぞマジでもうこの部屋没収してやる」


テトラ「ええーっ!? 困るよーっ!」


ジョーカー「コアくり抜かれて船から追い出されないだけマシだと思え!」


テトラ「鬼ーっ!」


クロム「ふふふっ」


テトラ「く、クロムぅ! 助けてーっ!」


クロム「前にテトラが作った“コンパクト水錠剤”とか、“がまぐちトマト”は、とっても役に立ったじゃないですか。ああいうのをまた作って。この部屋が大切だということを証明すればいいのではないですか?」


テトラ「ぇぇー……。それはめんどくさいなぁ……」


クロム「えええ……?」


テトラ「そうだっ! クロム、一緒に作ろうよ! 新しい薬品! そうだなぁ……。あっ! 恋に堕ちる薬! どう?」


クロム「は、はぁ」


ジョーカー「ざけんな」 ダナ「バラすぞ」


テトラ「あっ。やっぱり透明になれる薬を改良してぇ……」


ジョーカー「反省しろっつってんだろ!」 ダナ「テトラはディラが好きなんじゃねーのかよ!」


テトラ「ぷう……」


ジョーカー「テトラ……お前、(アドリブ)」


ダナ「(アドリブ)」


テトラ「(アドリブ)」






おしまい

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