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62 再会

 ギーツには龍鬼の力を使ってもらった。

背後からついてくるシルバは、魔法で風を起こして私たちをカモフラージュしてくれた。

ギーツは姿を変えて龍になり、すさまじい速度で空を駆けていく。


 この間の中途半端な変化じゃないので、見た目は完全に龍。

銀の鱗が光を反射してとてもきれいだった。

そんなギーツの背中に振り落とされないようにしがみつきながら、下を覗く。

やってきたのはセノルーン。

「あ。ここだ!ギーツ、降りて!」

私がそう言うと、ギーツはふっ、と急降下を始める。

めっちゃ怖い!

「ぬっ、ひゃぁあっ!」

と情けない声を上げながらギーツに抱きつく。

ギーツは降下しながら姿を徐々に人間に戻して、私を抱えて落ちていった。

地面に近くなったところで、ギーツとシルバが風の魔法で衝撃を和らげてくれた。

「ありがとー。」

ギーツに寄りかかりながら、ギーツとシルバにお礼を言う。


 「…おい。」

と、ふと声をかけられる。

「あ。」

私はなんとなく気まずい思いで苦笑を浮かべて、とりあえず「こんにちはー」と挨拶をしてみた。

「なん…でお前はそう…はぁ、もう…。」

驚いた表情そしてから、呆れたような顔をして苦笑する。

ちょうど馬小屋でロッティの世話をしていたらしい。

「とりあえず中へ入れ。こんなとこ人に見られたら大変だろう。」

ヴァシュカは、そう言って私たちを招いてくれた。


 私は前にも来たヴァシュカの家に訪れることにした。

私の味方だと信じれるヴァシュカ。

そしてヴァシュカはアディゼウス家という貴族の家の人だということも前にジルに聴いて知っていた。

だからヴァシュカに頼みに来たのだ。


 「この間はありがとう。」

「いや、まあ、それは良いんだが。大丈夫だったのか、あれから。ジル殿下は何も仰らなくてな。…心配していた。」

「えへへ、ありがとう。」

私はヴァシュカに心配されたことが地味に嬉しくって照れ笑いを漏らした。


 ヴァシュカに淹れてもらったお茶を飲んでぬくぬくしながらほっと一息。

私の足元ではシルバがすりよるようにして丸まっていて、こちらもぬくぬく。

そして私の後ろでは何故かギーツが張り付くように私に抱きついているのでこちらもぬくぬく。むしろ暑い。ちょっと邪魔なくらい。


 「ちょっとギーツ、横に来てくれないかな…。」

私は首に巻きついた腕をぽんぽんと軽く叩いて離れるように促す。

「後ろから襲撃されたら大変でしょ。」

と、意味不明な理屈で拒否された。

襲撃なんてされない…、とはまあ言い切れないか。

精霊狩りが来たのもこの場所だったしな。

まああれはティアがいたからだけど。

「そういえば、あれからティアがまた来たりはしてない?」

「ああ、来てないな。またどこかふらふらしているんだろう。そっちは、何か手がかりはあったか?」

ヴァシュカはお茶を飲みながら、ちらりとギーツを見た。

あ。


 ギーツの紹介をしないとな。

「えっと、こっちはギーツ。ログダリアで知り合って、いろいろと協力してもらってるの。」

「ああ、それはありがたいな。正直一人じゃ心配だったから。感謝する。」

ヴァシュカはやさしく笑って頭を下げた。

「ボクはナユに恩返しをしているだけですから。」

ギーツもほわ、とした笑顔を返す。

しかしどこか不機嫌そう。

なんでだ…?


 「で、ギーツ。こっちがヴァシュカ。セノルーンにいたときにいっぱいお世話になった人。」

「ヴァシュカ…?」

私の紹介に、ギーツは片眉をぴくりと動かす。

「もしかしてアディゼウスの方、ですか?」

ギーツの質問に、ヴァシュカも同じように目の色を変える。

ティーカップを置いて、「ああ」と頷いた。

「なるほど、それは…、」

ギーツは一瞬だけ哀れむような視線をヴァシュカに向けて、すぐにいつもの眠そうな目に戻ると、一言「大変ですね」と言った。

大変?


 そういえば前に、ティアがヴァシュカにアディゼウスの人間だって指摘したときに、「早く死んでくれるな」とか言っていたような。

どういう…?


 「しかし、お前はすごいな。正直こんなに早く協力者が出来てしまうとは思っていなかった。」

ヴァシュカが苦笑しながらそう言った。

「私もだよ。」

ほんとに。

幸せ者なんだよ。

私はギーツに振り向いて、笑いかけてみた。

ギーツはすぐさま笑い返して、更に体重をかけてきた。

前のめりになる。

うぉおお。


 「失礼だが、その…、本当に信用できる者なのか?」

ヴァシュカが真剣な目つきで言った。

「信用…はまだ分からないけど。」

「え。」

後ろで軽く驚いているギーツを流して、

「信頼はしてる。ギーツがいなかったら私は確実に死んでた。」

そう断言した。

その言葉に、ギーツは更に私に抱きついて来た。非常に重い。

どうも信頼されて嬉しいらしい。ここまで喜ばれると、言った私の方が照れる。

ヴァシュカも私の言葉を聴いて、ほっとしたように笑った。

「それならば安心だ。」


 そして、またも真剣な顔になるヴァシュカ。

「ちょっと待て。そいつがいなかったら死んでいた…?全然大丈夫じゃないじゃないか!」

「あー…、まあいろいろとあったっちゃ…あった、かな?」

あはははと笑ってごまかす。

ヴァシュカは呆れたように髪を掻き上げて、溜息をつく。

また何か言われるのはアレだし、話を進めよう。


 「さっきの話に戻るけど、手がかりがありそうなんだよね。」

私は『生ける歴史』が参加するパーティについての話をギーツと話した内容そのままにヴァシュカに伝えた。

「ちょっと待て!そんな危険なことさせられるか!顔をさらすんだぞ!?」

ヴァシュカは何を馬鹿なことを言ってるんだみたいな顔で声を荒げた。

「それはもう、この間のログダリアの戦いで顔は見られちゃってるし。こそこそ侵入するよりは『黒魔女』として招かれて、堂々と入った方が安全だろうと…。」

そう言うと、ヴァシュカは額に手をあてて難しい顔で考え込んでしまった。

ブツブツと「戦い、って…」とか、「危機感をだなぁ…」とか言ってるのが聴こえる。

自分でも結構すごい作戦だとは思う。

しかし問題は私じゃない。


 「ただ、その作戦でいくと、ヴァシュカが『黒魔女』の関係者としていろいろと危なくなっちゃうから…、断ってもいいよ。」

「馬鹿か。俺のことは問題じゃない。俺はお前に協力すると言ったろうが。いくらでも協力する。問題はお前が危険だということだよ。」

即答された。

やばい嬉しい。


 「私のことは大丈夫だよ。」

そう言うと、ヴァシュカはすこし考えてから、諦めたように溜息をついて、

「分かった。行こう。」

と言ってくれた。


 「ありがとう、ヴァシュカ。」


ヴァシュカが再登場しました。

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