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04 兄妹と


 予想はしていたけれど。


青年ジャックと、男性ヴァシュカには、盛大に怪しまれた。

まぁ私はいきなり現れた不審人物だしね。


 知っているはずのことを知らなくて、所属とやらもしてなくて。クルネルを抱いていたせいで制服は血だらけで。そのクルネルは…命を絶っていて。

怪しむな、という方が無理だろうな。自分でもそう思うよ。靴下だし。


 私はソラリスの協力を得て、今の現状を私の分かる範囲でジャックとヴァシュカに伝えた。

ジャックとヴァシュカは真面目に聴いてくれて、ソラリスは目をキラキラ輝かせて聴いていた。不思議な体験をした私の話しが聴けるのが楽しいらしい。


 私が別の世界から来たという話を聞いた二人は眉を思い切りひそめ(私も同じ気持ちなんだから変人を見る目で見ないで下さい)、ソラリスとクルネルが襲われていたとこを目撃したところを話すと、二人は悲しそうに目を細めた。語っているこっちが苦しくなる。


 私のつたない説明で、今までのことを語りきると、ジャックがいきなり跪いて手を取ってきた。うい?!

「本当にありがとう。ソラリスと、クルネルを助けてくれて。」

目を強く閉じて、ジャックはそう言ってきた。

「く…クルネルは…助けてあげられなかった…。」

私はずきりと痛む何かから目を逸らすように、俯いた。そんな私に、ジャックは静かに首を横に振る。

「いや。助けてくれたよ。クルネルは、ここにいる。ソラリスと一緒に、帰って来てくれた。」

ジャックはそっと微笑んだ。儚い笑みを浮かべる美青年に、思わず見とれてしまいそうだった。


 「少し信じがたいが、別世界から来たのなら…きみのこともいろいろと納得がいく。」

ジャックは私の話しを信じてくれたらしい。へえ、すごいな。

それから、何かと分からないことも多いだろうから、この世界のことを教えてあげるよ。と言われた。

優しいね。


「じゃ、ここじゃあれだし…一緒に行こうか。ええと…」

「ああ、私は七夕…みんななゆって呼ぶから。なゆで良いよ。」

「そうか。じゃあナユ。とりあえず僕らの家にしばらくいると良いよ。」

ジャックが微笑んで言った。


 え?私しばらくいるの前提?


 「そうだよ、おねえちゃん!ウチにきなよ!ずっといても良いよ!」

ソラリスもにっこり笑って言う。このそろって強引な感じは…。

「“僕()の”って…兄妹…?」

私の問いに、二人は同時に頷いた。ふうん。美男美女だなぁ。

いや、それは関係ないか。


 私は汚れた靴下を脱ぎ捨て、そして立ち上がった。体力も大分回復したしねえ。

クルネルをそっと、大事に抱きかかえて「よろしく。」頭を下げた。


 もう少しで、帰れるからね。私はクルネルに心の中でささやいた。


 それじゃあ、この世界の話をいろいろ知るために、お世話になりに行きますか。


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