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25 過去と今



 「異世界の存在は、実は前々から存じてました。

「何故?

「まあ、そうですね。存じていた、というよりは想定していた、という感じでしょうか。

「異世界という存在も存外曖昧なものですよね。

「悪魔召喚や精霊召喚。

「あれも単純に考えれば異世界と言えるでしょう。

「それゆえに、異世界というものがある可能性を考えてはいました。

「他にも、昔の文献に異世界人と思われる方が掲載されてます。

「いきなり空から落ちてきた少年。

「魔法が全く使えない老人。

「召喚の儀で召喚された少女。

「どの人物も魔法を扱えなかったそうです。

「ジェルズドリアにも魔法を使用できない者はいます。

「しかし、魔法の存在を認知していない者など皆無です。

「彼らは魔法の存在を存じていなかったと、文献に記されてます。

「全員です。

「偶然ではないでしょう。

「彼らは同じ世界から来訪したのです。

「そう考えた自分は、いつか異世界の客人の話を拝聴したいと思考してました。

「そして貴殿が現れたのです。

「自分が異世界の存在を存じていたのはそういうことです。

「正確に発言しますと、信じていた、ですか。

「こうして対面できて喜ばしいです。

「感謝しましょう。」


 「もう一つ、

「貴殿の言葉を信じたのは、貴殿の毛髪が黒色だったからです。

「異世界の者は皆一様に黒髪だったそうなのです。

「もう承知しているかもしれませんが、ジェルズドリアに黒髪の者は珍しいのです。

「過去の人々は異世界人という存在を信じていなかったようですが、

「こうして現在に、()の著者からすれば未来にいる自分から見れば、

「この共通点は解答を一つにしか導かないのではないでしょうか。

「ああ、この文献の存在を知っているのは自分だけですよ。

「異世界の存在に気付いている者はいるかもしれませんが、この文献を見てない者は確信はできないでしょうね。

「この著者も愚かな。

「黒髪なぞを見たのならば、もっと深く疑問を持つべきです。

「そう思いませんか。」


 「ナユ様。

「文献にはこうも手記されております。

「長くなりますので、簡潔に申しますと、

「異世界に帰還された者は確認されてません。

「過去三人の人物中、二人はこの国で生涯を終えています。

「魔法が使用できない者が、この世界で生存することは困難だったのです。

「何しろ記述が不足していますので、これも推測が混入してしまうのですが…。

「一人は戦争に巻き込まれて死亡しました。

「もう一人は現れた場所が閉鎖区域だったために、尋問の(のち)に処刑されました。

「残る一人は、存在した事実しか記されていません。

「この世界にきて、それからどうなったのかが全く分からないのです。

「自殺を実行したのかもしれませんね。」


 「自分が貴殿に助力を惜しむのはそういうことです。

「申し訳ありません。

「自分が今ナユ様に申せますことは、

「この世界で生涯を閉じることを覚悟しておいた方が良い、ということだけですかね。」

「自分が把握しているのはそれくらいですね。」


 「関係ない話題ですが。

「自分はあまり表情が動じないと他者から多々言われます。

「だからといって感情がない訳ではありません。

「希薄だとは承知してますが。

「そして自分は現在、少々驚嘆しております。

「冷静なのですね。ナユ様。

「自分は貴殿に元の世界には帰還出来ないと告げたのですよ。

「動揺している?その様子で、ですか。

「動揺しているようには見受けられませんが、ふむ。

「精神が強固なのですね。

「尊敬します。

「貴殿自身にも興味を持ちました。

「次は貴殿の話しを拝聴させて下さい。」


 「先程貴殿は“科学”という物の話しをしていましたね。

「今までの文献に“科学”という語句は出現しませんでした。

「“科学”とは一体何なのでしょう。

「ああ、そうですね。

「今飲み物を用意しましょう。

「温かい物がいいですかね。

「ほう、朝まで?

「それでしたら手早く済ませませんと。

「少々待機願えますか?」



帰れないよとか言われたら泣きますね。

私なんて同じ新幹線に乗るだけでもけっこう冒険なんですから。

ナユちゃんはえらいですねw


ついに25話まで来ました。

お気に入りに登録して下さっている方には感謝です!

これからが長くなるといいな!

それではまた次回!


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