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10 脅迫

 なんか自分で言ったことが少し恥ずかしくなってきた頃に、ジャックが「そういえば」と切り出した。


 救われたような気持ちで、ジャックの話を聴くと。

「なんでも知ってる、っていう噂がある研究者…?の話しを聞いたことあるなぁ。」

「フォン・コリックのことか。…しかし、あれは…。」

ジャックの話しに心当たりがあるらしいヴァシュカは、顔をしかめる。

何か気難しい人なのかな。

「その人だったら、『玉』を使う以外の方法での帰り方を知ってるかもしれない。」


 ああ。なら、是非会ってみたいな。

意外と早く帰れるかもしれない。

さっきあんなこと言っちゃったから、帰る方法がわかってもしばらくは気分的に帰れないけど。


 「でもね、ナユ。」

「うん?」

「その人に会うのは、すごく難しいらしいんだよね。最低でも王さまとか、支部長さまとかの紹介状はないといけないらしいし…。」

「紹介状…ねえ。」

そんな人がいるのか。

「ちなみに噂だとここ二十年くらいは誰も姿を見ていないらしいぞ。」

「ええ!?」

それは予想外だ。

そんな人に会えるわけないじゃん。


 まあ、ダメ元なんだけど…。というジャック。

「ちなみに王さまに会うには城に行かなきゃいけないのかな。」

「会うつもりなのか!?」

ヴァシュカは私の発言に驚愕したように目を見開く。

「王さまが一番エラそうだし…。」

なんでそんなに驚いているのか。


 「お…っまえは…。」

呆れたように息をつくヴァシュカ。

どうやら私は相当変なことを言ったらしい。


 「無所属に、黒髪黒目。会う前に殺されるかもしれない。」

ああ、そういうこと。納得。

「じゃあ支部長でいいや。」

「でいいやって…。」

次はジャックに苦笑される。

昔から私は神経が図太いとか言われるので、こういう反応には慣れてる。


 「まあ、とりあえず支部長に話は通しておこう。」

ヴァシュカは苦笑交じりにそう言った。ありがとー。

「何かあったら大声を出せよ。」

ついてこい、と言って歩き出す。

「じゃあ僕はこれから会議だから。」

ジャックとはここでお別れらしい。

またあとでねーと手を振って、ヴァシュカの後を追いかけた。



 大きな木の扉が隔てた空間の向こうに、支部長とやらはいるらしい。

ヴァシュカは先に話を通してくる。と言って中に入っていった。


 しばらくして、ヴァシュカは出てきた。

「とりあえず、詳しいことは何も話していない。一対一で話したがっている者がいる、とだけ伝えてある。」

私は了解の合図を首の上下運動で示す。

「ここで待っているから、何かあったら、な。」

「うーい。キャーヘンターイとでも叫ぶわー。」

私の言葉に、ヴァシュカは柔らかく笑った。


 中に入ると、小太りのおっさんがエラそうに、高そうな椅子に腰かけていた。

部屋はなかなかに広い。私とおっさんの間は、5.6メートルくらいある。

「名前も素性も明かさない者と会うなどと。本来はしないのだがな。」

おっさんは不機嫌そうにそう言った。


 「ありがとうございます…って言っといたほうがいいのかね。」

私はどうでもいいなと思いながら言った。

「無礼な奴だな。女か。」

「性別を聴いてるんだったら、女。」


 「…ふむ。思っていたよりも面白い奴のようだな。」

本当にそう思っているのか。

不機嫌そうな顔のままおっさんは言った。

おっさんはイラ・ゴーイシュと名乗った。

正直名前なんてどうでもいいんだけど。


 「用件はなんだ。」

おっさんはふてぶてしく、頬杖をついて言う。

「フォンさんに会いたいので、紹介状を用意して。」

「断る。」

はええよ。どんだけだよ。性格悪いな。


 「頼み方が気に入らんな。」

めんどくさいな。私こういうの苦手なんだよな。


 ヴァシュカには悪いけど、私のやりやすいやり方でやらせてもらおう。

ごめんねー。


 「もっと丁寧にこと「うるっせえな。」

割り込んだ私の言葉に驚いたようにおっさんは目を見開く。

「私、頼んでるんだよね。」

「なっ…。」

「交渉じゃないんだよ、おっさん。」

「おっさ…!?無礼者め!」

おっさんが顔を赤くして手元にあるベルみたいなのに手を伸ばす。


 人を呼ぶやつか?

とりあえず取り上げようか。

そう思いたち、私は一歩で距離を詰めて、おっさんの手元から白いベルをすりぬくように取り上げた。


 「ごめんねー。私、敬語とか苦手でさ。敬意を持てる奴にしか敬語って使わねんだ。」

「あ…。」

私の足の速さに、驚愕したらしい支部長さんは、赤かった顔を段々白くしていく。


 「書いてくれっかね?」

こくこくと無様に頷く支部長。私が悪者みたいじゃんか…。

涙目なのはいい大人としてどうなんだろうか。

「あっと、私の行動をできるだけ広範囲で許してくれる感じのやつも書いて。」

「…分かった。」


 暴君にでもなった気分だ。罪悪感。

何それ美味しいのー?とかでごまかしてしまおう。

「あー、ヴァシュカは友達だから。恨まないであげてねー。」

それだけ言って、にっこりと微笑んでみた。

イメージはお父さんである。

お父さん怒ったら怖いからね。


 私は紙に何語か分からない文字を書き連ね始めたおっさんを横目に見ながら、手にしていたベルを鳴らした。


なんかおかしな話になりました(笑)

遊び心を取り入れたので。

次はちゃんとした話にします。たぶん。


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