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太らない食べ方短編集

肥満症のみこみすぎ肥満体

作者: 外内満
掲載日:2026/03/09

 飲み込みすぎですね、目の前の医者は

検査数値を映す画面を見たまま、こちらを見ずに

告げた


肝臓の数値が高いです、他の数値もそうですけど

食べ方どうしてます

まさか

口に入れた食べ物全部飲み込んでいませんか?


え、はい、全部飲み込んでます


現代人は飲み込みすぎているんですよ

それで、内臓を働かせすぎて、数値が悪くなるんです

ブラックってアニメ見ましたか


食べ物を粗末にするななんて言いますけど

口に入れた食べ物を全部飲み込めば

体を粗末にしてしまうんですね、体を壊してしまう。


それを防ぐために

以前は食べるな、酒を飲むな、我慢しろでしたけど

今は、口に入れても飲み込まずに吐き出せば

内臓に負担かけないので

我慢せずに済みますよ

好きなだけ口の中に入れて食べられます


ガムを噛むように飲み込まずに吐き出す食べ方ですね

やってみませんか?この食べ方

体重を落としましょう


どんな食べものを吐き出すんですか?


食べる前に体に悪いとわかっている食べ物です

スナック菓子や菓子パンですかね


なるほど、それ以外は飲み込んでいいんですよね


3食普通の食事は飲み込んで食べても、問題ないです

食べ過ぎというより

飲み込みすぎてたんですよ。今まではね。


間食してたものを飲み込まなければ充分効果は上がると思います

次回の血液検査の数値で確かめられますよ


医学も進歩したものですね

以前は我慢できないで、食べて飲んで勝手な事して

病気になってると

患者のせいにされてましたけど


これなら健康になれそうです

口に入れた食べ物を飲み込まずに吐き出せばいい

糖尿になる前に知りたかった


捨て台詞を残して、患者は去った

でも、今日は病院で何時間も待った。甲斐があった情報を得たんじゃないのか


手洗い、うがい、飲み込まないで

健康な人間が増えて、患者が減れば

少しは医者の負担も減る


誰が広めたのか知らんが、患者を黙らせる効果はある


次の患者の体重を確認する、太っているな

どうやって食べてますか?

口の中で練習すると、次の患者を呼び込んだ



投稿者に医師の免許も博士号もありません

この投稿作はフィクションです


 2 死の警告


死は迫っていた、このままでは自分は死ぬのがわかる

けど、逃れようがない

俺は

食べることが我慢できなくて、飲み込みすぎて太って

体を壊して死ぬ、わかっていてもできる事は無い


運動はできなかった

病院に行くたび医者は痩せろ痩せろ、と言うが

この体でどうやって痩せるのか

まずお前が俺の病気を直せ


そうしたら、運動して痩せることができる

それが俺が助かる順番だろ


何年も体はだるく、ひどい脱力が続く、力が入らない

徹夜してやることができた。ゲームも

15分もすれば嫌になる、頭も回らない


もし、この状態が、老後の先取りなら

生きる希望はない

この病気のままどうやって痩せるのか?


這うようにして通院してるんだよ

せめて、十分な薬を出してもらえれば

生活を続ける事は可能だ

無理に病気を治さなくてもいい


生活できるだけの薬が欲しいんだ

画面しか見ない。医者は、病気を治そうとして薬を減らすばかりだ。

どうしてこの俺の状態は伝わらないんだろう?

体重のことより、お前の仕事は病気を治すことだろう


数値じゃ何も測れないよ


病院に行くたびに体重計に乗ることになる

前回の時は97キロ、このままいけば100キロ超える

高校の時に測った身長は170センチ

医者が言うように太りすぎなんだろう


助かる道はある

医者の言うように節制して食べなければいい

そうすれば、痩せる

誰ができるのか知らないが


やれば助かる、でもできない

自分への無力感、思い通りにならぬことへの怒り

治らない病気


このままでは死ぬ、わかってる、何度も自問自答した


一昨日の事、体が声を発した

このままではお前死ぬぞ

体が発した死神の警告を確かに聞いた

迫る死の恐怖に、体が震えた



 3 助かる道

実のところ、それでも俺が助かる道はあった。

糖質制限といったと言う食べ方だった


糖質制限は、画期的な食事法で、食べ物を

食べてもいい、と食べてはいけないに分けて、

食べてもいい食べ物は、いくらでも食べてもいい。


我慢しなくてもいいと言うふれこみだった

ご飯やパン、菓子、ケーキは食べられないが

肉や野菜はいくらでも食べてもいい

それと、チーズも食べていい


1度は痩せた、でもきつすぎて続けられなかった

やはり甘いものは欲しい。そこに我慢が出てくる。

我慢できず、そしてまた太った


助かりたいならもう一度やればいい

道は見えてる。でもできない。


運動のできない俺が助かる道は

糖質制限を続けること。過去成功している。

続けられれば痩せて助かる

どうすれば続けられるのか、

我慢しないで済む食事法は無いのか


腹減ったな、何もしなくても腹は減る

したくもない。食事をして、腹を満たすため

食べ物を探しに1階に降り、コタツのある居間を

通ると、ありえないものが目に入った


コタツの上にメロンパンとあんぱんが置いてある

どういうつもりだ?


 4 食べ方が生まれた日

アイツか、同居してる父の仕業だ、2人暮らしだし

他にいない

年末の町内会の集まりにでも出て、そこで出された

菓子パンを持ち帰ったわけだ


それでそのパン誰が食べるんだ?

アンタが甘いもの食べないのは知ってる

自分が食べない菓子パンを

俺が通る居間のコタツの上に置いた


ソレ食ったら、お前の息子は死ぬんだけど

人がどれだけ苦しんでいるのか全く理解していない

どうしてこうに鈍いかな?

そういうとこだぞ、無神経な行いで人に嫌われるの


今俺は、あんたより死のほうに親近感を感じているから、うわ。もうすぐそこまで来てる。

死の包囲網に出口は無い

お前の息子、もうすぐ死ぬぞ


コタツの上のあんぱんをつかみとる

壁に投げつけてやりたい

けど、それをしたら、袋が破れ、中身が飛び散る

誰が片付けるんだ


どうしようか、これ捨てるだけだけど。

握ったあんぱんを手に立ち尽くす時間が過ぎる、と


頭の奥底の自分の手が届かないところで

何かがゆっくりと回った


まてまて、こいつらどうせ食べずに捨てるしかない

それは決まってる、誰も食べない

なら、捨てる前に、俺の口に入れて、それから捨てても同じだろう


俺は何も悪くない、勝手に持ってこられたものだし


糖質制限が続けられないのは、我慢できなくなり、甘いものを食べてしまうから。


その限界が来たとき、口の中で甘みを感じられれば

どうなる?


もともと捨てるパンを飲み込まずに吐き出したとしたら

ボクサー漫画でも減量している登場人物が、

口に何か入れて紛らわしているシーンがある


それを菓子パンでやれば

やれるかもしれん、生き残れるかも


右手にあんぱんがあった

左手にメロンパンを持つと

そっと、自らの両胸に押し当て揉んでみた



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