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初恋  作者: りな


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7/11

卒業と再会

高校生活が終わった。


 今日が終わればこの制服に袖を通す事もなくなる。


 校門の外には、

 春の光が

 柔らかく降り注いでいた。


 


 友達と笑いながら歩きながら、

 それでも心のどこかで、

 私は

 あの人のことを思い出していた。


 ——しょう兄ちゃん。


 初恋が終わって、恋をしなかったわけじゃない

 でもそのどの恋の片隅にもいて消える事がなかった

 


 卒業式のあと、

 親戚の集まりがあった。


 久しぶりに会った彼は、

 昔より少しだけ大人になっていて、

 でも、

 変わらない笑顔で

 私を迎えてくれた。


 


 「久しぶりだな、奈々」


 その声に、

 胸の奥が、

 ふわりと揺れた。


 


 昔みたいに、

 隣に座ることはなかった。


 でも、

 その距離は、

 不思議とちょうどよかった。


 


 あの頃とは違って、

 私はもう、

 ただ守られるだけの存在じゃない。


 


 「大きくなったな」


 彼の言葉は、

 昔と同じ

 決まり文句だった。


 でも今は、

 違う意味に聞こえた。


 ——私も、

 ちゃんと大人になったんだ、と。


 


 少し話すうちに、

 昔の思い出が

 静かに浮かんでくる。


 理科室で友達と話していたこと。

 手紙を渡した、あの日。

 クッキーと、

 丁寧すぎるほど優しかった

 お返しの手紙。


 


 私は笑いながら、

 でも心の奥で、

 その思い出を

 そっと抱きしめていた。


 


 帰り際、

 私は冗談みたいに言った。


 「卒業祝いにさ、ドライブ、連れてってよ」


 


 一瞬、

 彼が目を丸くする。


 それから、

 少しだけ困ったように笑って、


 「いいよ」


 


 そう言って、

 昔みたいに、

 優しく頭を撫でた。


 


 その手は、

 変わらず大きくて、

 あたたかかった。


 でも、

 胸はもう

 苦しくならなかった。


 


 ——ああ、もう大丈夫だ。


 


 私は、

 ちゃんと

 しょう兄ちゃんを

 “お兄ちゃん”として

 見ていられる。


 


 しょう兄ちゃんを

 好きなこの気持ちは、

 もう恋じゃない。


 家族愛みたいなものなんだと、

 そう思えた。


 


 昔とは違う、

 確かな関係。


 


 春の光の中で、

 私は静かに、

 ひとつの初恋に

 区切りをつけた。


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