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初恋  作者: りな


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3/11

距離


 中学生になってから、

 私とあの人の間には、

 目に見えない線が引かれた。


 目が合えば、挨拶もするし、

 会話だってする。


 だけど、

 昔みたいな気安さはない。


 


 彼は、

 私を妹として扱った。


 


 声の距離も、

 立つ位置も、

 全部、きちんと計算されたみたいに。


 


 「奈々、遅くなるなよ」


 「寒いから、ちゃんと上着着ろ」


 言葉は優しい。


 でも、

 そこに迷いはなかった。


 


 私をどう扱えばいいか、

 彼はもう決めてしまっていた。


 


 頭を撫でることは、

 なくなった。


 代わりに、

 少し離れた場所から、

 様子を見る。


 


 隣に座ることもない。


 テレビを見るときは、

 必ず一つ、

 席を空けた。


 


 それが「配慮」だと、

 分かってしまうのが、

 いちばんつらかった。


 


 彼は、

 何も間違っていない。


 正しい大人の距離で、

 正しい関係を選んだだけ。


 


 私は、

 かこ姉ちゃんと過ごす時間が増えた。


 


 「奈々、ほんと大きくなったね」


 そう言って笑う彼女は、

 私の失恋を知らない。


 もしくは、

 そんなに重いものだとは、

 思っていない。


 


 台所で並んで、

 どうでもいい話をする。


 部活のこと、

 友達のこと。


 あの人の名前だけ、

 出さずに。


 


 彼は、

 私を妹として扱う。


 私は、

 それを拒む理由を、

 もう持っていなかった。


 


 ——それでも。


 妹という場所は、

 安全で、

 遠くて、

 少しだけ、

 残酷だった。


 


 それが、

 私の初恋の、

 続き方だった

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