表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋  作者: りな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/11

選択

 私は、

 最初から知っていた。


 


 しょう兄ちゃんに、

 恋人がいることも。


 結婚するかもしれないことも。


 


 そして、

 私たちが「恋人」にはなれないことも。


 


 分かっていて、

 夜を重ねた。


 


 言葉にしない約束。

 未来を語らない時間。


 その場限りのぬくもりだと、

 お互いに理解したまま。


 


 それでも、

 心は少しずつ削れていった。


 


 ある日、

 彼の結婚が決まったと聞いた。


 誰かから、

 噂のように。


 


 不思議と、

 涙は出なかった。


 


 ——ああ、やっぱり。


 そう思っただけだった。


 


 私は、

 地元を離れることを決めた。


 ここにいれば、

 きっと、また彼を思ってしまう。


 選ばれないと分かっている恋に、

 縋ってしまう。


 


 だから、

 離れる。


 


 それが、

 私にできる唯一の

 「大人の選択」だった。


 


 引っ越し前の夜、

 最後に彼と会った。


 


 彼は、

 私の決意を知らない。


 ただ、

 いつも通りの顔で、

 いつも通りに笑っていた。


 


 「結婚、おめでとう」


 


 その言葉に、

 彼は一瞬だけ目を見開いて、

 すぐに照れたように笑った。


 


 「ありがとう」


 


 それだけだった。


 


 ——さようなら。


 その言葉は、

 胸の奥にしまったまま。


 


 手を握った感覚を。

 抱きしめられたぬくもりを。

 キスをした感触を。

 視線が混ざり合った、

 あの一瞬を。


 


 私は、

 忘れないように胸に抱いて、

 悟られないように、

 またすぐ会えるかのように別れた。


 


 それが、

 私の最後の選択だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ