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SUMMER RUNNER

作者: モグ三郎

季節は夏真っ盛り!

日差しが容赦なく、体力どころか命すら奪う勢いで照り付けてくる


セミたちがうるさく大合唱したり、

誰かが玄関先で水まきしたり、


小学校の前を通ると、プールから子供達の楽しそうな声が聞こえてくる




だけど、そんなことにいちいち意識を向けている暇など、

今の俺にはこれっぽっちもありゃしない




なぜなら俺は、こんなクソ暑い中、全力疾走しているのだから



誤解の無いように言っておくが……


別に警察に追われているわけでも、

借金取りに追われているわけでも、

顔のでかい青鬼に追われているわけでもない



俺がこんな暑い中走っている理由。それは―――




遅刻しそうなんだよマジで




家を出たのは午前10時頃、待ち合わせは午前10時30分

そして、家から待ち合わせ場所までは最低でも30分はかかるという……



やばい、マジでやば過ぎる!



時間的な意味でやばいのはもちろんだが今の俺の状態もやばすぎる




季節は夏で太陽が容赦なく照らし続けている

気温は何度か分からんがすごく暑いということは分かる


さて、猛暑の中で全力で走り続けた人はどうなるでしょう?

答え…………ぶっ倒れる



出かける前、テレビで「激しい運動は控えましょう」みたいなこと言ってたが、

今は控える気なんてさらさらない



だって恐いんだようちの彼女!ドSなんだようちの彼女!


1秒遅れただけで嬉しそうに罰とか与えてくるし、

夜の営みだって大体そっち系のプレイになるし


そんな彼女への愛が冷めない辺り、バカだよな俺って……彼女バカだよマジで




そんなわけだから俺は走る!全力で走る!

実はもうへろへろでスピードががた落ち、

明らかに間に合わないがそんな事は気にせず走る!


汗でTシャツやハーフパンツがびちょびちょで気持ち悪いが、

着替える暇などこれっぽっちもない

ていうか着替えなんてないし、そもそも外だしここ



ちょっと意識が朦朧としてきたけど、それでも走り続ける

例え川の向こうで死んだじっちゃんばっちゃんが手招きしてようが、

俺は止まらずに走り続ける!




待ち合わせ場所が見えてきた……あともう少しだっ!

そう思った矢先、突然体が動かなくなって地面に倒れこむ

どうやら限界がきたらしい


どっからか悲鳴みたいなのが聞こえた気がするが、耳が遠くなってよく分からない

誰かに抱かかえられる感覚を覚えつつ、俺は気を失った





その後、意識を取り戻した俺は病室のベッドで横になっていた

どうやら熱中症でぶっ倒れて病院へ搬送されたらしい

クソ暑い中を走ったんだから無理も無いか


そんな俺の目の前には、例のドSな彼女がいた

というか、泣きながら抱きつかれていた

いつも言われ慣れている「バカ」という言葉……

それがなんか違うニュアンスのように聞こえる

その言葉に対して俺はただ一言だけ――



「ごめん」 と呟いた



病院の世話になったのはほんの僅かで、

すぐに退院することが出来た


その後、彼女からきつい罰を受けたのは言うまでも無い

もういっそドMに目覚めないかな……その方が楽だろ?

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