【一発ネタ】危険な男 4
変な趣味を持つ男が、変なモノ・瞬間を目撃する話。
とある中途半端な田舎によくある、年々田畑が減り続ける中で住宅もアパートも商店も飲食店も、スーパーもチェーン店もホームセンターもカーディーラーも町工場も混在する町。
そんな町のとある住宅に、変な趣味をいくつも持つ男がいた。
その男の職種は不規則な就業時間であり、平日が休日になる日もちょくちょくだ。
そんな男の変な趣味の1つなのだが、冬の平日に住んでいる家の縁側に座り、外をのんびり眺める事だ。
この趣味が発揮されるのは冬の日中で、しかも風が強い日に限られる。
〜〜〜〜〜〜
男は縁側に座っていた。
そして暴風とも言える強風が吹き荒すさぶ屋外で、のんびりと文字通りの風景を楽しんでいた。
その顔には期待の色が強くでていて、風によって発生する出来事を心待ちにしているのが、ありありと読み取れる。
…………と、そこまでは良かった。
良かったのだ。
ガタンっ!!
「あ……」
すぐ近くから、細長くて重いモノが落ちた音。
具体的には、洗濯物が帆船の帆の様に風を受け、ずれ、物干し竿が落ちた音。
「落ちにくくする為に縛ってたのに……」
物干し台に物干し竿を紐やバンドで縛って工夫しても、落ちる時は落ちるのだ。
男が面倒臭そうに腰を上げ、落ちた物干し竿を台に掛け直す。
「あー、面倒臭い」
男は愚痴りながらも、再び丁寧にバンドも掛けてから縁側へ戻る。
ガタンっ!!
「うわ……」
あれから男の体感10分位だろうか。
そんな間隔で再び物干し竿が落ちる音。
「風の強い日は、これだから……」
うんざりする男だが、風の強さが極まる日は大体こうなるのだ。
ちゃんと対策をしても、それを簡単に上回って物干し竿は落ちるのだ。
それでも対抗して徹底的に対策を始めると、今度は物干し台の方が耐えきれず、台そのものが回転して動いて竿を落としにかかるのだ。
なので簡単な対策に留めないと、面倒事が大きく重くなる。
「今日は何回落ちるのかな……」
なので、男がこうして少し暗い顔をするのだ。
ガタンっ!!
「またか……」
物干し台で干す際は、風に気をつけましょう。
昼前の買い物へ出る前に一度、帰ってきて一度、昼食が済んで一度、昼休みに一度、取り込む前に一度等、まあ落ちる。
容赦なく落ちる。
ホント、ホントにね……(クソデカため息)