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炎帝の焔  作者: いふじ
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第七話:父娘喧嘩

喧嘩はいけませんね~。


本編スタート!

平野重国。


彼は異能力者集団『アトラス』のリーダーにして異能力者保護委員会の会長も兼任している。


重国の家系は古くは江戸の時代から続く退魔師の家系であった。


江戸中に跋扈していた魑魅魍魎を退治し続けてきた平野家は、いつしか政府お抱えの存在となり、現代においては突如現れた重国の扱う能力に似た異能力者たちを保護すべく尽力している。


そんな重国は今から十年前に学園を一つ立ち上げることになる。


私立アトランダム学園。

 

それが、重国が立ち上げた学園の名前である。


この学園は基本的に社会的地位が高い者の子供たちが通う学園であり、家柄が良ければ多少成績が悪くとも入学することが出来る。


ただし誰でも入学出来るというわけではなく、理事長である重国が入学志望者一人一人と時間を掛けて面接をし、結果、合否を判断するので、素行の悪い者はどんなに面接時だけ繕おうとも重国に見透かされて落とされるのである。


だが何故、重国はこのような学園を作り上げたのか?


それは彼が異能力者たちを守ろうとした結果であった。


異能力者の、保護・育成、そして『アトラス』という組織を維持するには莫大な資金が必要であり、それを補うためにも学園の授業料はかなり高額である。


しかし、それだけでは金を出す親たちは何のメリットも見い出せないのに、どうして子供たちをアトランダム学園に通わせているのだ、ということに普通はなるのであろうが、それにはしっかりとした理由がある。


それは、異能力者たちの支援者に選ばれた学生の家系の者が経営する企業は、ただの一人の例外もなく著しい成長を見せているからだ。


そのような確かな実績があるため、親たちは子供をアトランダム学園に入学させようと必死になっているのだが、実情としては異能力者のことを本気で保護しようと考えている者は全体の一割にも満たない数である。


そんなアトランダム学園の理事長室で、今まさに壮絶な親子喧嘩が繰り広げられていた。

 

「どういうつもりだよ! ああん!?」

 

凛々しい顔の女子生徒が、大柄な理事長の胸倉を掴み、凶悪な顔で凄んでいる。


「ど、どうしたのよ、光ちゃん! いきなりパパに何をするの!? ねえ、ちょっと落ち着きましょうよ! パパが光ちゃんに何をしたって言うのよ! パパはこんなにも光ちゃんのことを愛しているというのにぃ」


ドレスのような制服を着た女子生徒、平野光は熊的体格の父親である平野重国の胸倉から手を離すと、無言で重国を睨みつける。

 

「・・・光ちゃん?」


 重国を睨みつける光は、次第に瞳に涙を溜めていき、ついには大声でわんわん泣き出してしまう。


 「どうして今まで焔のことを教えてくれなかったんだよ! ずっと探してたんだぞ! 焔は今どこにいんだよ! 教えてくれよ! う、うわーん、焔にあーいーたーいーよー!」


 まるで小さな子供のように光は泣き叫ぶ。


そのうち光は駄々っ子のように床を転がりまわり始める。


白を基調として、胸部分から濃い青色が腰の辺りまで広がっている、アトランダム学園の名物でもある女子生徒のドレスのような制服が、みるみるうちに埃まみれになっていく。   

そんな風に暴れまわる娘にどう接すればいいのかわからず、頭を抱えている重国を救うかのように、理事長室の扉を誰かがノックする音が聞こえてきた。

 

「あ、あ~! ごめんね光ちゃん! お客様がいらしたみたい!」


 娘から逃げるように重国は扉を開けに走り出す。


 しかし、


「おい、逃げんのかよ! 焔の場所を教えろって言ってんだよ!」

 

光は重国の巨大な足をがっしりと掴んで離さない。


まるで生ける屍のように緩慢な動きではあるが、足を掴む力は見た目からは信じられないほど込められていた。

 

「ちょ、ちょっと光ちゃん! あなた今かなり怖いわよ!」


 「ほーむーらー! ほーむーらーにーあーいーたーいーのー!」


 もう完全に駄々を捏ねる子供である。


 「すんませーん! 勝手に失礼しまーす!」


 言って、扉を開けて入ってきたのは爽やかな笑顔が良く似合う、長身の男子生徒だった。


紅い色を基調として、それを補うように白い色が全体の所々に存在する、紅と白のコン

トラストが学内外問わず人気の制服を見事に着こなす男子生徒は、大きな声で関西弁を扱う。

 

「理事長。お忙しそうなところすんません。ホンマ突然なんやけど、入学させたい奴が

おるんで今ここで面接したって下さい。もし、面接に合格やったらそいつの授業料はうち

が払いますんで」


 そこまで一息で言うと、彼は扉の外へと顔を向けて言う。


 「ってことなんで、はよ来てや、ほむやん!」


 「誰が、ほむやんだ」


 その声に、それまで暴れていた光と、それに頭を抱えていた重国は同時に硬直した。


 「理事長、面接お願いします」


 言って、彼は重国の良く知る少年を部屋へと招き入れた。


 「ほい、挨拶、挨拶」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 重国、光、そして、焔の三人は互いの姿を確認して固まるのだった。


お疲れ様です!


よろしかったら、またよろしくお願いします!!

感想なども受け付けております!

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