第十話:久保家にて
ふう~
なんとか続きをお届けできます!
では、本編スタート!
一言で言えば、久保家は城だった。
綾瀬川の家が古き良き日本の屋敷とするならば、久保家は歴史書で見るような中世の城であった。
家の造りはレンガで造られている。
久保家事態に目立った細工はないが、その存在が城と見紛う豪邸であるから、存在自体が目立っている。
そう焔は矛盾した考えを抱いていた。
そして、何故か久保家の敷地内には武道場が存在していた。
大きさはそれほどでもない・・・と一瞬思う焔であったが、比較対象が城では話にならない。
大河の話によれば、現在の久保剣道場の門下生は二千人もいるらしい。
師範である大河の両親は仕事で海外を飛び回っているため、現在この剣道場を実質管理しているのは、師範代である久保大河―以外過ぎて話を聞いた当初、焔は石化したように動かなかった―と師範代補佐の久保沙耶、そして師範代補佐筆頭の―。
「いよう! 久しぶりだな焔! 元気にしてたか? 信也と闘ったって聞いたが・・・や
っぱりあいつ負けたんだな。だから止めたのによー」
頭の毛を全て刈った、黒褐色の体格のいい男、時任力也が剣道着姿で道場から飛び出してきた。
「お前・・・どうしてここにいるんだ」
「どうしても何も、俺は久保家の執事だぜ? 言ってなかったか? それと、学校では時任先生って呼べよ? アトランダム学園の教師で、焔が明日から通う一年椿組の担任教師だ」
アトランダム学園のクラスは花の名前で区別されている。
椿、向日葵、紫陽花、百合、薔薇、プリムラ、コスモス。
以上七つの組に分かれている。
何故花の名前がクラス名になっているのか、それはただ単純に学園長である重国が花が好きというそれだけの理由だけである。
「俺と話してもいいのか?」
「どういう意味だ?」
力也は意味がわからないという顔を大河と沙耶に見せてから焔へと聞き返す。
「俺は『アトラス』を抜けた。その俺と―」
焔がそう言うと、
「何言ってるんだ? 確かにお前は『アトラス』を抜けたが、それで俺と焔が話をしちゃいけないなんて理由がどこにある?」
「しかし・・・」
「お前はなんでもかんでも難しく考えすぎなんだよ! もっと楽に生きてみろよ!」
言うと、力也は豪快に焔の肩を叩き、髪をくしゃくしゃと撫でる。
「少しは大河みたいに自由に生きてみろ! そうすりゃお前が抱えてる色んな荷物だって少しは軽くなると思うぞ、俺は」
「力やん。ホンマ力やんの言うとおりや思うけど、もうそろそろ稽古の時間やで?」
軽く左腕を上げて、キャラクター物の腕時計を力也に見せながら大河は笑って言う。
「おお、もうそんな時間か! 悪い、それじゃあまた後でな、焔」
そう言って、力也は来た時と同じくその場から飛び出すように道場へと舞い戻って行った。
「・・・・・・」
力也が去ったほうを無言で見詰め続ける焔。
「驚いた。ほむやん、りきやんとも知り合いやったんやな」
「・・・ああ、仕事仲間だった」
大河からは力也の顔は見えなかったが、焔はどこか懐かしそうに答えた。
「つーことは、力やんって教師に、執事に、アトラスやったか? 三つも仕事掛け持ちかー」
「そういうことだな」
さて、どうでしたでしょうか?
感想などありましたらよろしくお願いします。