異世界転生しました
よろしくお願いします。
「んんっ…」
私は目を覚まし、ここがどこなのか辺りを見回そうとしたが、身体が思うように動かなかった。
(待って、そういえば私はあの後どうなったんだっけ?確か、ランスにチート能力をもらって、その後眩い光に包まれて…)
私は目を覚ましたものの、何が起きてるのか理解ができなかったため、緊急脳内会議を行った。
ーー裁判長、ここはどこか分かりますか?
ーーいや、わっちには分からぬ。
ーーそれではこの状況をどうしましょう…。
ーー今は身体が動かない状況じゃからのぅ。とりあえず様子見じゃ。
緊急脳内会議を行った結果、今は様子見をしようと思った。身体も思うように動かないため、私はただただ天井を見つめていた。
ドン‼︎
「あぅ…」
突然の物音にビックリして声を出してしまった。
そして自分の声にもビックリしてしまった。
「俺のかわいい妹、ようやく起きたんだな」
「あぅ、たぁ!」
突然現れた美青年に私は驚きつつ、私は視界が急に変わったため急いでここがどこなのかを見ようとした。が、私が分かったのは今の私は赤ちゃんで、ここは普通の家ではないということだけだった。
(ていうか、この人の力つよっ!)
美青年が私を抱き上げるときの手つきは優しかったが、その後は私はなされるがままだった。
「たぃやぁ!あぅ、あー!」
ほっぺすりすりから逃れようと暴れようとしたが、何せ今の私は赤ちゃんなのだ。私は声しか出せずに、チーンとなっていた。
そんな私に救世主が現れた。
「まぁまぁギルダーツ、ちょっと落ち着こうか。君のかわいい妹が困惑してるよ。」
「たぁ!」
(ありがとうございます…。って、あぁんたも誰!?私を抱き上げてるこの美青年も充分かっこいいけど、イケメンなこの救世主は誰?!)
「そうよ、離してあげなさい。私の可愛い可愛い妹が死んじゃったらどう責任取るのよ」
「まぁまぁ、フィリエルも落ち着いて、ね?」
ギルダーツ青年に怒っている美人だけどロリなフィリエル少女。その二人をなだめる美しい男性といつの間にか現れた絶世の美女が私を見つめている。
(なに、この状況。カオスじゃん。分かんないけど多分これはカオスな状況だと思う。うん、きっとそうだ。)
ギルダーツ青年は、白銀の髪に濃い藍色の瞳を持っている。そして高身長の細マッチョな見た目をしているのに圧を感じさせない美青年だ。
(ギルダーツはイケメン。)
フィリエル少女は、焼けることを知らないような白い肌、白銀の髪に薄い藍色の瞳。そして何より身長は小さいのに零れそうなくらい大きいお胸。
(フィリエルはロリでかわいい。)
ギルダーツを止めた救世主は、白銀の髪に藍色の瞳が小麦色の肌と相まって色っぽさが出ている。高身長で体格はがっしりしており、戦うことが好きな感じがぷんぷんと臭う。
(救世主は戦闘狂。)
私をじっと見つめている絶世の美女は、腰まである白銀の髪を綺麗に編み込んでおり、私を見つめる瞳は藍色と朱色のオッドアイになっている。
(絶世の美女はとても綺麗。)
一人一人を観察して私は脳内メモにそう綴った。
そうやって私がみんなの容姿について感想を心の中で言っていると、絶世の美女さまがギルダーツの腕からひょいと私を抱き上げた。
「うふふ、ねぇフィニック。この子は1000年に1度生まれるという噂の子供なんじゃないかしら?」
「確かにそうかもな。俺たちとは桁違いの魔力の強さ。そして何よりの証拠が様々な神、妖精、精霊などの祝福が舞い降りてきている。」
「うふふふ、私たちの娘はきっと将来すごい子になるわよぉ」
(…ちょっと何を言っているのか理解できないんだけど。祝福?桁違いの魔力の強さ?しかもこの人たち、私のことを娘って言わなかった?!)
突然のカミングアウトで私はビックリして固まってしまった。そして、思わず泣きそうになった。
「あぅ、ふぇ、ううぅ」
「うふふふ、フィルラはもうそろそろ寝ましょうね〜?」
絶世の美女さまがそう言って私の目に手をかざしてきた。
(ちょっと、何すんのよ。ま…だ寝な…いわよ…)
必死に抗おうとしたが、彼女の魔法の力なのかなんなのか分からないけど、泣く前に強制的に寝かされてしまった。
「あらあら、可愛い寝顔だこと。おやすみなさい。私たちの可愛いフィルラ」
お気づきでしょうか…。
ギルダーツ青年がドアを蹴って開けたことを…。