超絶美少年くんの正体
本日もよろしくお願いします。
私が美少年くんに質問をしようと立ち上がると、既に彼は目の前にはいなくて、どこだろうと周りをキョロキョロと見ていたら、奥の綺麗なバラ園で優雅にティータイムをしていた。
(…あれ?あれれ??さっきまで美少年くん、私を仁王立ちで見下ろしてなかった?)
私は突然目の前から消えて、奥のバラ園でティータイムをしている彼を見て疑問に思った。
(おかしいなぁ…。どうやって移動したんだろ?確かにさっきまで私を見下ろしてたのに…。)
あれ?と、遠くからティータイムをしている彼を見て私は意を決して、質問をしようと彼の元に行った。
その瞬間ーー。
「君が噂の美鈴ちゃんかい?」
(は?今、何が起きたの?さっきまで美少年くんはバラ園でティータイムを…。)
突然の出来事に私は狼狽えてしまった。そして先程まで彼が居た場所に目をやったが…。
バラ園やテーブル、イスやティーカップ等は消えていて、そこには何もなかった。
いつまでもぽかんと唖然している私に、美少年くんはイラつきを覚えたのか、口調が急に強めになった。
「なぁ、いい加減僕の質問に答えてくれない?君が噂の美鈴ちゃんなのか?イエスかノーで答えて。」
(げ、顔はかわいいのに、不機嫌になった瞬間口調が強くなるなんて…。2~3分は黙っていただけで少し不機嫌になるとか心狭いわぁ。というか短気だわぁ。)
突然の出来事に驚いていて黙っていただけなのに、口調が強くなる彼に対して心の中で悪態を吐きつつ、私は質問に答えた。
「あっ、ぼ〜っとしていました、すみません。えと、噂かなんかわからないけど私は美鈴って言います。」
私が営業スマイルを貼り付けて答えると美少年くんも、私より完璧な営業スマイルを貼り付けて言った。
「そう。君が噂の美鈴ちゃんなんだね。噂とは違って可愛いんだね。」
「は?」
突然の謎発言に私は思わず何言ってんのコイツっていう顔をしてしまった。
そんな私の表情を見て笑いながら彼は言った。
「冗談だよ、冗談。君は冗談も通じないんだね。まぁ、こんな話は置いておいて、君に話したいことがあるんだ。」
「私、自己紹介もしてくれない人と仲良くなるつもりなんてありません。それに自分の名前を名乗らない人とは話さないって決めてるんです。」
私が警戒心丸出しで、美少年くんに名前を名乗ってほしいと伝えたら、美少年くんはクスクス笑いながら名乗ってくれた。
「あぁ…。そういえば自己紹介なんてしてなかったんだったね。僕の名前はランスヴァン。言いにくいと思うからランスって呼んでね。」
「はぁ…」
さっきまでの不機嫌はどこに行ったのやら、彼は人が変わったかのようにニコニコと自己紹介をしてきた。
(これは、これでなんか気持ち悪いわね…。)
あまりの変わり様に私は鳥肌が立ってしまった。
「ちなみに僕は君が生きていた惑星、地球の神様だよ。ここは君たちの世界で言う天界というところで、僕は君があまりにも可哀想だと思ったから、ここに呼んだんだよ。」
「えと…?」
あまりの衝撃内容で頭に入ってこないのを彼は見透かしたような目で、更にこう続けた。
「可哀想な君に、僕はギフトをあげるよ。」
(ちょと待って、ギフト?天界?!え、ここは死後の世界で私はもう死んでたってこと!?だから、ここに呼ばれたってこと!?)
ようやく状況を飲み込めた私は思わず叫んでしまった。
「嘘でしょーー!?」
そんな、バナナ…。あんなに口調が強いなんて!
私の中の美少年像が砂のように消えていく…
By美鈴