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~新世界の英雄譚~  作者: 宇良 やすまさ
第9章

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832.スマート

 やりたいことが無数に湧き上がってくる。

 〝気配面〟以外の〝覇術〟の安定化。〝覇術〟と〝雷〟の連携。〝コード〟の解明。〝魅了〟のコントロール……。

 うずうずとしてネメアを見つめると、彼女は楽しそうに笑った。


「いいね。私たちも全面的に協力するよ。キミの体にはまだまだ謎が隠されてるみたいだからさ。ただ、あともうちょっと辛抱ね。これからの計画をちゃちゃっと話すから。ね、リーダー」

 ネメアはそう言いながら〝ゾーケー・モニター〟に置いていたスマホを手に取り、何やら操作を始める。それからすぐに耳に当て、その場を離れて電話に集中する。


「話が長くなった。簡潔にまとめよう。――まず計画の最終目的は、『地上での平和を取り戻すこと』」

 マントスが低く渋い声で続ける。

「この目的を達成するには、〝六つ目の獣〟と〝亜人〟の討伐が必要不可欠となる」

「地上の奪還、ってことだ。だから当然、〝獣〟のほうが順番としては先……なんだよね?」

「そう。そのあと、〝亜空〟から〝亜人〟を引き摺り出し、戦争を仕掛ける。――こういう流れとなるため、君たちが関与するのは〝六つ目の獣〟との接敵まで。いうまでもないが、戦う必要はない。」


「僕らが目をつけられるから、その間に……って話だったね。まあ、いまさら〝六つ目の獣〟に単身立ち向かえるだなんて思わないけど……本当にそれでいいの?」

「なに、心配は無用だ。〝六つ目の獣〟についても、〝亜人〟についても、この二千年で研究が進んだ。あとは粗探しのみという状況だ。むろん、トラブルや異常事態はついてまわるだろうが……私たちには、その全てを捌く脳みそがある。――大丈夫だ」

 いかに〝神〟の領域に足を踏み入れていようと、古代人も人であることには変わりない。マントスは己の中に燻る不安を払うかのように断言し、背中を向けた。


「作戦の開始は一ヶ月後。時の〝神力〟のデータ採集のほかにも、〝ママ・ポッド〟の完成に各種兵器の製造にも時間がかかるのでな。その間、君らにも……ブラックくんも含めて、さまざま協力してもらう」

「わかった。……ブラックは素直に言うこと聞かなさそうだけど」

「ふふ……。確かに、彼は一匹狼な気質らしい。オロスから連絡があったが、すでに修行に入っている。ただ、どうにも検査の類には非協力的らしい」

「だろうね……。その分ってわけじゃないけど……僕らはできる限り協力するからさ。知りたいこともあるし」


 なすべきことは決まった。

 現実離れしたことばかりではあるが、地に足がついてきた気がして……キラはエルトとともにやる気を燃やした。




 〝雲島〟のすべての建物は、太陽のエネルギーを吸収できる造りになっているらしい。

 その日差しから得られるエネルギーは無視できないほどに膨大らしく、だからこそ、真っ黒なクリスタルのような形状にしたのだと言う。

 ただ、そういった効率面ばかりを追い求めた結果、思わぬ弊害が生じた。

 真っ黒な建物ばかりで、どれがなんなのかが判別つかなくなったのだ。古代人らしからぬミスと言えるが、それほどにまでエネルギー問題というのは重いのだろう。


 しかも空に浮かぶ〝雲島〟の特性上、土地が限られている。

 ゆえに、多くの建物を建てられるよう最大効率を求めており……いくら標識を設置しても複雑化する一方。

 とはいえ、高い知能を有する古代人たちにとって、地理の把握は朝飯前。五歳の子供でも、一日もすれば迷うことはないという。

 そうはいっても、古代人ではないキラにとっては〝本部〟から一歩出ただけでも迷いそうになり……ネメアから予備のスマートフォンを借りることとなった。


「これを……? 指で……?」

「そうそう。そこ、タップ。みゅ、って指の腹で抑えるんだよ」

「お? おお……!」

「それが〝ヘクトル〟のマップね。で、ここが本部で、この矢印がキミ……っていうかこのスマホ。私たちは今から〝第三研究所〟に向かうわけで、その順路を調べるには――『〝第三研究所〟に案内して』」


 ネメアの言葉に、スマートフォンが反応した。

 画面上のマップが鼓動のように波打ち、少しばかり全体が暗くなる。その後、〝カソウ・パーティクル〟のような青い粒子が中央に集まり、立体感のある球状を描く。

 そうして返事をするかのように、フォンッ、と聞き慣れぬ重低音が鳴ると、

『案内ヲ開始シマス。百メートル先、左、ニ曲ガッテ下サイ』

 スマートフォンがそう答えた。


「おお……」

〈〝神殿〟で聞いたのと似てる。あれはもっとザリザリッてしてたけど〉

 スマホの画面はマップに戻り、矢印で示して案内を開始してくれる。バカでもわかる親切設計にキラは感動してしまい、エルトの言葉を聞き逃してしまった。


「何度か聞いてるその〝神殿〟ってさ。一体何?」

〈私たちもよくは知らないんだよ。鉄の巨人に追われたり、雷で追い立てられたり……。挙げ句の果てには強制的な〝転移〟。ずぅっとパニック状態だったもん〉

「へえ……キミらが……。断片的な内容から考えると、私たちの時代に造られたものだよね」

〈たぶん、そう。今思い返すと、ここで見たものと似たものがいっぱいあった。けーぶる? とか、ぱそこん? とか〉

「で、鉄の巨人……きっと自立型ロボットのことだろうけど。それだけだといつ出来たものか判断がつかないなあ……。私たちも知らないずっと昔のことか、それとも、これから先の未来のことか……。鉄製のロボ……?」

〈今から未来のことなんじゃ、とは想うようになったよ〉


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