事件を整理してみようか?ーーうーん、迷宮入り決定!!って誰!?
私、ルーナ・ナハトメイヘルンは5歳の誕生日になんらかの毒を盛られ、生死を彷徨う
これは、外伝ストーリーにも描かれており、ファンとしては周知の事実である
エミリーの話から察するに、私が今まで眠っていたのはその毒物によるもの。そして、生還したんじゃないかな
そして、ここからは私の推測になるが
本当のルーナ・ナハトメイヘルンの魂はここで死んでしまったのだろう
そして、そのことにこの世界の神様(いるのか知らないけど)は困った。何故なら、『ナナコイ』という世界において『ルーナ・ナハトメイヘルン』はなくてはならない存在だったから
そこで、神様(仮)は何故だかわからないけど私の魂を連れてきて彼女の身体に突っ込んだ。形だけでも『ルーナ・ナハトメイヘルン』を残すために
なーんて。夢小説とかの読みすぎかな?
でも、そう考える時オタクの身としては納得しやすいというか…まあ、答えはわからないし、今はこの考えでいよう
話を戻そう
『何故、ルーナ・ナハトメイヘルンは毒を盛られた』のか、だ
誰が?どうやって?何を目的に?
実の所、ルーナが5歳の時に毒を盛られたのはファンの間では有名な話ではあるのだが、その犯人や手法、目的なんかはわかっていない
情報を付け加えるのであれば、簡単な回想でシーンのみしか記載されていないその話は父である公爵がどんな判断をしたかすら、何も、本当になにもわからないのだ
外伝ストーリーの主役はルーナではあるけど、それは各ストーリーでのルーナ目線での話が描かれているだけで、内容は浅いものだからだ。そこから何かを得るというのは無理な話である
「お嬢様…?」
いけない、いけない
1人思考にふけっていたせいで、エミリーのことを放っておいてしまっていた。このままでは、毒の後遺症があると思われそうだ
「だいじょうぶよ、エミリー。しんぱいをかけてしまってごめんなさい」
素晴らしい答え!実に心優しいお嬢様っぽいぞ!令嬢としての話し方はわからないけど、これで正解だろう!知らんけど!
どうするかはわからないけど、ひとまず育ちの良い優しい令嬢になることにしよう
「お優しいお嬢様っ…私にそのようなお言葉は不要でございます…」
正に感激至極といった様子のエミリー
それにしても、侍女ってこんなに主人(の娘だけど)のことを慕ってるものなのかな
なんだか、凄く大切にされている気がするぞ
「あぁ、いけない!私ったら!…すぐに旦那様たちにもお嬢様の無事を伝えて参りますね」
そういうや否や慌ただしくエミリーは部屋を後にした
うん、確かに娘が目覚めたのなら一大事だよね。主人に報告しないとダメだよね
じゃあ、両親のことはエミリーに任せるとして、私は毒を盛られた件について考えることにしようじゃないか
立ってるのも5歳の病み上がりの身体には疲れるし…窓際に椅子がある。よし、あそこに移動だ
では、椅子に座り直して考えていこう
気分は名探偵だ
実は、ルーナ・ナハトメイヘルンについて思い出したのと同時に、これまでこの子が過ごしていた記憶も一部分だけど蘇ってきている
私が倒れたのは誕生日パーティーの実は前日の夕食の時である
何故なら、誕生日パーティーに呼ばれている母方の祖父が領地の関係から1日くるのが遅くなってしまったからだら。誕生日は迎えたものの、盛大なお祝いは次の日、みんなが揃ってからとされた夜に事件は起きたのだ
私が倒れたのも食事が終わるくらいだったはずだから、タイミングとしては夕食に毒が混ぜられていたと考えるのが自然だろうか
確か、誕生日に間に合った父の弟である叔父様とその奥さんの叔母様、父と母、私の5人で食卓を囲んだはずだ
叔父様の家にも私の同じ歳の子供がいるが、今回は体調が悪いということで来ていない
ついでを言うと、この私でいう従兄弟は攻略キャラの1人である。
ただ、王宮で財務官をされている叔父様の影響で王都に暮らしている為この領地にはなかなか来ないので顔を合わせたことは今はない。もちろん、ゲームの攻略の方はした
普通に考えて怪しいのは叔父様夫婦だ。
理由としては私がいなくなればこの家には子供がいなくなる、自分の子を養子に迎えさせてゆくゆくは父の跡を継がせる形で公爵にしてしまえば自分たちは権力を得ることができる
ただ、これを考えるにはちょっと無理があるのも事実
そもそも、私の両親が養子を取ることに賛成しないと話は始まらない。どうなるのかわからない事象に関して毒を盛るなんて大それたことが出来るだろうか
次に怪しいのは料理長
食事に毒を盛るなら真っ先に疑われるだろうし、もっとも毒なんかを混ぜやすい
でも、料理長を疑うのもナンセンスだろう
今回のタイミングで毒を持ったのが自分じゃないとカモフラージュするためだったとしても、怪しすぎる。食事中ないし食後に倒れたのなら最初に疑われるのは作った本人だ。なにより、彼には私を殺したい動機がわからない
最後は給仕を行ってくれた執事
料理長の次に疑われそうなのは彼だ
それでも、料理長と一緒の理由で犯人とは思えない
なにより、ここは公爵家だ。採用する前に彼らの家庭環境やらはしっかりと下調べされ、問題がない忠誠心の厚いものしかここにはいない
それくらい、高位の立場の者は命を簡単に狙われるのだ(多分)
そうなると、困った
お手上げ状態じゃないか
それに、犯人がわかったところで目的やどんな毒を使ったのかさえわからない
「事件は、めいきゅう入りか…」
「そうでもないかもよ?」
!!
ぽつりと呟いた言葉に、軽い少年の声が応えてきた
1ページどれくらいの文字量だと読みやすいでしょうか?
出来るだけサクサク読めるを意識して書いているのですが…よければそんなことについてもコメントをいただけますとうれしいです
次の話でもよろしくお願いします