目が覚めたら美幼女でした!?ーーなんて、信じられますか?
初めての連載です。至らぬ点が多いと思いますが、温かい目で見守って頂けますと幸いです
これからよろしくお願い致します
「うーーーん…」
なんだか、いつもより布団がふかふかしてる気がする…最近、干したっけ?
素肌から伝わってくる布団は肌触りがとても良い。鼻腔から入る空気からはお日様の匂いがする気がする。まるで、干したての最高級羽毛布団のようだ
いや、私の布団はお値段以上のお店でセールの時に買ったものですけどね
ああ、でも、なんでもいいかなぁ
こんなに気持ちよく眠れてるんだし…
流石はお値段以上…買ってから数年経ってもこんなに気持ちいいなんて…そんなことあったかな…?
最近、仕事が忙しかったからそんなこと考える余裕がなくて、気づかなかったのかなぁ
ふふ、それにしても、こんなにゆったりしてる時間ってのはいつぶりだろう…アラームの音もしないし、静かでのんびりゆっくりと…
うん?ん?ゆっくり!?
「今なんじっ!?」
今日は確か朝イチで提出しないといけない書類があるはず!!少しでも遅れようものならあのハゲ部長にどんな文句を言われるか!!
「はい?」
バサっと掛け布団を跳ね除けて飛び起きると目に入ったのはどうみても自分の見知った1Kの部屋ではなかった
そう、まるでヨーロッパのお姫様の部屋のような煌びやかな家具が置かれている水色とレースが基調とされた上品な部屋
まだ寝ぼけているらしい。ぐしぐしと両目を擦ってみる
いざ、開眼
「うーーーん?」
目を開けて見ても部屋は元には戻らない。
腕を組んで首をかしげる
すると、さらりと胸元まである銀髪が肩から滑る
銀…銀髪…!?
「え!銀いろ?んなアホな」
おっと、思わず使い慣れてない関西弁が…
視界に入った毛先を両手で弄ぶと日に透ける髪は美しい白銀色で、サラサラととても触り心地が良い
カツラとは思えない手触り。私の元の髪よりも圧倒的に質が良い
それにしても、純日本人である私は髪は生まれつき真っ黒だし、社内規則がいくら許しても銀髪は許されないし、そもそもその色が似合う顔ではなかった。あと、考えたら染めたことがなかった
グイグイと髪を引っ張ってみる
うん、ちゃんと頭皮が引っ張られてる感じがあるし、痛いわ。うっ、ちょっと涙が…
やっぱり、カツラじゃないな
そのまま髪から手を離し、手のひらを見てみる
「小さい…」
さながら、紅葉のような可愛らしいおててである
いつから私は妖精系乙女女子になったというのか
いや、27歳になって自分に“乙女”と呼称をつけるのはやめよう。痛いわ
さて、思考を飛ばすのはやめよう
現実を見るのだ
まずは自分の今の状況を確認しなければならない
判断をする前に状況整理、これ鉄則
恐らくは小さい体の私に対しては非常に大きなベッドをのそのそと移動する。
そのまま目的地である部屋の中にある姿見の位置を確認。移動を開始する
「おっとと…バランスがわるいなぁ」
ベッドから降りるだけでも一苦労だ
降りたはずみで転けそうになる
うん、でも歩くのは大丈夫そうだ
距離にして十数歩。大人が歩けば数歩程度のそんなにない距離の筈なのに、小さな歩幅ではなかなか辿りつかないように感じる
ああ、そもそも部屋広いのが悪い!!
転ばないように気をつけながら姿見の前までくる
姿見に写るのはやっぱり、見慣れた自分の姿ではなかった
サラサラとした美しく輝く白銀の髪
深い夜空のような紺碧色のぱっちりとした瞳
外に出たことのないような白雪のような柔肌
頬はうっすら薄桃色で顔はどこからどう見ても可愛らしい美少女(というか、美幼女)
将来は間違いなく美人さんになるだろう
年齢は4、5歳位だろうか。手足は短いし、もちもちしてそうだ。薄ベージュ色の寝巻きすら着こなしている姿は絵画にでも描かれててもおかしくないくらい神秘的だ
それくらい美しくて可愛らしい。日の打ちどころのない容姿の良さ
見覚えがない、現実味のない美幼女
でも、どこかで見たことがある気がする
むむっと眉を寄せると鏡の中の彼女も同じように眉を寄せる
右手を姿見に合わせると鏡の中の彼女も合わせてくる
ああ、どうやら私がこの美幼女であることは間違いはないようだ
うーん、でも、本当にどこで見たんだろうか
こんな美幼女一度見たら忘れないと思うんだけど…
うんうんと1人、姿見の前で唸る
もう少しで思い出せそうなのに、あと一歩で思い出せないモヤモヤ感
歳のせいなんだろうか…(いや、身体は若いけども)
私のそんな悩みは、次の瞬間に解消されるのだった